Eighter -Grand Harmonise-
59ther 〜牙を剥く歳星黄幡さいせいおうばん B〜



#3
沢斗たくとを殺すために現れた御座四聖獸みざしせいじゅう闇火守アピス……闇火守アピスの攻撃をただ逃げるしか無い沢斗たくとに勝算はあるのか
……
闇火守アピス「いつまでも逃げられると思うな……人間ヒトよ……龍虎相縛りゅうこそうばく!」
ドドンドドンドドンドドンッ
斬撃と衝撃波がセットで次々に沢斗たくとを襲う
河上沢斗たくと「ち……くしょおおお!!!!」
ギュルンッ
紙一重で回避し、闇火守アピスとの距離を詰める
ダダンッ
闇火守アピス「逃げ脚だけは大したものだな……」
沢斗たくと「ハッ!九留極天くどきょくてん」
ドバババババババババッ
闇火守アピスが余裕で沢斗たくとを称賛しているその隙を突き、間合いを詰めて1度に9回の斬撃を叩き込む
闇火守アピス「フン……だが、無駄である……」
スカアアアッ
だが、全て無意味に終わる
沢斗たくと「く……くうっ……」
ヒュバウッ
闇火守アピス「ハッ!」
ズガァムッ
飛び込んできた沢斗たくとに刀を振りおろす闇火守アピス……しかし、それよりも早く沢斗たくとはその場を離脱し……かくて
闇火守アピスの刃は地面に突き刺さる
闇火守アピス「……何度も逃げ回られるとあまり気分のいいものではないな……」
ズッ
地面から刀を退きぬきながら闇火守アピスが呟く
沢斗たくと「……人斬りとはあまり、追撃を考えない生き物なんでね……」
チキッ
沢斗たくとも刀を構え直しながら呟く。
闇火守アピス「……『人斬り』……確かに、その技は称賛に値する……が、しかして、汝に神は斬れまい……」
ゴアッ
言い終えるなり一気に間合いを詰める闇火守アピス
沢斗たくと「うおおおお!紅臠襲緋こうれんしゅうひ!」
ババシュアアアアッ
幻影を作り、一気に斬撃を叩き込みつつすれ違う
闇火守アピス「……先ほどから何度も言っている……汝の技はには通用せんと……」
どおおんんっ
いかに、沢斗たくとの技が強力であれ……所詮人間の使う技……やはり……神には届かない……のか!?
沢斗たくと「ちいい……」
ザザザザザザッ
また、距離を置く沢斗たくと……
闇火守アピス「逃げたと思わせ敵を誘い……攻撃しては距離を置く……それが『お前人斬り』の剣の本質か……」
ヒット&アウェイ……それが沢斗たくとの剣だ……と……即座に理解する闇火守アピス

#4
沢斗たくと「ええ、解説通りですよ。神サマ……」
沢斗たくと(……これでこの方法も使えなくなったか……しかし……究極奥義ですら傷1つつけることできない
 なんて……神とはよく言ったものだな……)
言葉とは裏腹に、瀬戸際まで追いつめられた沢斗たくと……そして、そんな明殺みょうさつ者を案じる美鈴メイリン……
元石美鈴ウォンソ・メイリン明殺みょうさつ者……)
闇火守アピス「……さて、人間ヒトよ……次は我に何を見せてくれるのか……?」
沢斗たくと「やれやれ……人斬りの剣は見世物じゃないのに……」
チキッ
刀を構えなおす沢斗たくと
沢斗たくと(ヤベぇ……最初の一撃が効いてる……眼がかすんできやがった……次で決めなきゃ本当に……
 ヤバイ……)
闇火守アピス「そうか……ならば……余興もこれまでとするか……」
ゴゴゴゴゴゴッ
闇火守アピスが高まる
沢斗たくと(どうする……どうする……手持ちの技じゃあもう通用しないぞ……)
闇火守アピス「……最後に聞いておこう……歳星黄幡さいせいおうばん流……そのどの技で死にたいか……そこの赤い眉の人間ヒト
 にも聞いておこう……」
美鈴メイリン「ナっ!?……沢斗たくと……」
いきなり自分も標的に加えらてびっくり仰天な美鈴メイリン……しかし、沢斗たくとは未だ動かない……
沢斗たくと(手持ちの技……いや、俺が使う全ての技は……アイツに筒抜け……違う……もともとアイツが
 創ったものだから……通用しないのも当然か……だったら……)
グオオオオオッ
沢斗たくとも殺気を吊り上げ、覚悟を決める……一か八か……自分オリジナルの技で……全てを決める……と
闇火守アピス「覚悟決めたか?!……うん?」
沢斗たくと(精神を集中させろ……今まで培ってきた明殺みょうさつの技術、人斬りの剣術……そしてこの歳星黄幡さいせいおうばん流……
 これらから作り出す俺の……最後の技は……)
闇火守アピス「……やはり、獅子欺かざるの力……で応戦するのが礼儀というものか……行くぞ……人間ヒトよ
 ……紅臠襲緋こうれんしゅうひ!」
ドッ
大量の幻影を作り、一気に襲い掛かる
美鈴メイリン沢斗たくとノ技ノ比じゃ無イっ……これハ……私モ殺すだけノ……」
狼狽える美鈴メイリンを余所に、沢斗たくとは咆える
沢斗たくと「行くぜ!神ヤロウ!コレが俺の最後の剣だ!!瓏皋天祚ろうこうてんそ!」
ドギョアアアアアアアッ
剣気が白き光の龍を具現化する
闇火守アピス「そんなもので、神を殺せると思う……」
ズバシュッ
バシュアアアッ
ドシュバシュアアアアッ
闇火守アピス「な……何だと!?」
次々に幻影が切り刻まれていく
沢斗たくと「白龍にスピードで勝るものは無い……なぜなら……白龍は超光速で移動しているから……」
キュウオアッ
闇火守アピス「ガ……ハ……!!?」
全ての幻影を斬り飛ばし、最後に向かったのは本体……
闇火守アピス「こ……こんな……こんな……こんなことがああッ!!!?」
沢斗たくと「見たか!神サマよぉ!!……これが人間の底力だ!」
闇火守アピス「見事……である!」
ボシュウアアアアアッ
沢斗たくと「はぁ……はぁ……」
……かくて、闇火守アピス……ここに滅する。


END

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