Eighter -Grand Harmonise-
57ther 〜牙を剥く月陽歳刑つきかげさいぎょう B〜



#3
いさむの元に現れたのは月陽歳刑つきかげさいぎょう流を創りし神、涅苦別斗ネクベト……人類抹殺計画を止めるべく、いさむは善戦するも神の
前ではそれも虚しく……果たして、いさむは神の試練を乗り越えることができるのか……
某敢それがし・いさむ(……どうすれば……いいでござるか!?……この……状況……師匠……)
明星幻爪みょうじょうげんそうを構えながら、必死に考えるいさむ……
涅苦別斗ネクベト「……時は金なり……ことに神の時間は高くつくよ……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ
あまり神を待たせるものではない……と涅苦別斗ネクベトの刀に気が集まる
涅苦別斗ネクベト「そろそろ滅びなさい……人間ヒトよ……駆元紅天舞くげんこうてんぶ!」
ギュオアッ
次元を駆け、いさむを斬り裂こうとする涅苦別斗ネクベト
いさむ「くっ……視薨一線舞しこういっせんぶ!」
ズヴァアアアアアアッ
涅苦別斗ネクベトが駆け込んだ次元ごと、その空間を横に薙ぎ払ういさむ
バッシュッ
いさむ涅苦別斗ネクベト「く……くうう……」
ザザザザザザザッ
互いに斬り付けられる……
涅苦別斗ネクベト「……を傷つけるとは……」
いさむ「はぁ……はぁ……」
人が神の体に傷をつけることは赦さん……と怒るのではなく、あくまでも、人の身でここまで月陽歳刑つきかげさいぎょう流を
扱えるとはたいしたものだ……と感心する涅苦別斗ネクベト
いさむ(くっ……伝えられた……究極奥義でも……あの程度……でござるか……)
しかし、奥義と奥義の激突とはいえ、いさむは究極奥義、涅苦別斗ネクベトは奥義……それでも、互いにダメージは同じ
であり……明らかにいさむが劣勢なのは明らかである……
ギリッ
いさむ(これは……死を覚悟した方がよさそうでござるな……)
チキッ
明星幻爪みょうじょうげんそうを構えなおすいさむ
いさむ某敢それがし・いさむ……参る!」
涅苦別斗ネクベト「『参る』!?……そこは『参りました』と敗北を認めるところよ……」
ひゅっ
バシュッ
ビシュッ
ドシュアアアッ
いさむ「ぐ……ぐおああああ!!?」
超高速で移動しながらいさむを斬り付ける涅苦別斗ネクベト
涅苦別斗ネクベト人間ヒトは全て滅ぶ……いや、滅ぼす……大人しく、その運命を受け入れなさい」
ズギャアアアッ
いさむ「がはあ!!?」
そして、涅苦別斗ネクベトの渾身の一撃がいさむをアルティマイトの壁に叩きつける
いさむ(む……無念……でござる……師匠……)
ガクリッ
ドサリッ
そして、いさむは刀を地面に突き刺し、跪く……
いさむ「師匠……今……そちらへ……」

#4
涅苦別斗ネクベト「……今までの足掻きが無駄な抵抗だと……ようやく悟ったようね……人間ヒトよ……」
グオアアアアッ
そして……涅苦別斗ネクベトの刀に神氣が集っていく……
涅苦別斗ネクベト「おやすみなさい……我が流派を受け継ぎし……最後にして最高の弟子よ……」
ゴッ
最早、月陽歳刑つきかげさいぎょう流など使うまでもなく……ただの上段からの降り降ろし……しかし、その太刀筋は……
先ほどの究極奥義に匹敵する
*(まだだ……まだ……諦めてはいかん!いさむ!!)
いさむ(……だ……誰で……ござるか!?)
諦めかけていたいさむに……いさむの頭の中に声が響く……
*(……神が作り出した剣術をいくら模倣しようとも……オリジナルを超えることは出来ぬ……だから
 ……おまえ自身が技を作り出せ!)
いさむ(拙者自身の……技……でござるか!?)
*(そうだ……お前に眠る……『獅子』を揺り起こせ……お前は剣聖なのだぞ!)
いさむ(……拙者の……眠れる……獅子……)
……その会話がどれだけの時間で行われたのか……いや、時間で推し量ったところで何の意味も無いだろう
……既に眼前に兇刃が迫っている
いさむ「う……うおおおおおおおおお!!!!」
コアアアアアアアアッ
涅苦別斗ネクベト「何……?!」
明星幻爪みょうじょうげんそうが光り輝く
ザザザザッ
その光を見て、刀を退き、距離を取る涅苦別斗ネクベト
いさむ「拙者は……まだ……こんな場所で立ち止まるわけにはいかぬでござる……」
ググググッ
ズッ
立ち上がるいさむ。そのまま、床に突き刺していた明星幻刃を再び手に取る
涅苦別斗ネクベト「往生際が悪いのも人間ヒトの性……しかし、無駄よ……」
言ったはずだ……子は親を越えられぬ……と……涅苦別斗ネクベト
いさむ「……子は……親を超えて初めて一人前に認められるでござるよ…………」
対して、いさむも咆える
涅苦別斗ネクベト「思い上がりも甚だしい……もういい……死ね……」
グオッ
また、兇刃が迫る……
いさむ「う……うおおおおおおおおお!!!!獅猊座~舞しげいさじんぶ!」
ドッ
ゴギャアアアアアアアアッ
神眼じんがんを最大限に発動し、その気迫、剣気が獅子を具現化する
涅苦別斗ネクベト「な……何……これ……はぁ!!?」
いさむ「きぇい!!!!」
ズバシュアアアアアアッ
涅苦別斗ネクベト「か……はっ!?」
いさむの一閃……確かに涅苦別斗ネクベトを両断する
涅苦別斗ネクベト「…………が……人間ヒトに……敗れるなど……」
ボシュアアアアアッ
涅苦別斗ネクベト……消滅
いさむ「はぁ……はぁ……師匠……拙者は……拙者は……また……一歩剣の道を極めることに成功
 したでござる!!……ありがとうでござる。師匠!!」
いさむ、感謝の極み……
……さて、残りの御座四聖獸みざしせいじゅうは……今、どこでどのような状況になっているのだろうか!?


END

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