Eighter -Grand Harmonise-
57ther 〜牙を剥く月陽歳刑つきかげさいぎょう A〜



#0
望均羅モイラがかんなの元を訪れる少し前……御座四聖獸みざしせいじゅうはそれぞれ自らの力を持つ『子』らを殺しに下界に降りて
きた……人類抹殺計画の発動のために……

#1
天四斗あまよと、剣聖剣術道場・地下
……アルティマイトにて作られしその空間に……いさむと……更にもう1人……謎の女性が……
*「……下界にも……かのような場所があるとは……ね……」
ズズズズズズズズズズ……・
某敢それがし・いさむ「誰でござる!?お主……」
ふと、気が付くと、いさむの背後に謎の女性が……立っていた……
その威圧感……ただならぬ気配……それは……とても、人とは思えなかった……
※羽も生えているし……どこからどう見ても人ではないとか突っ込まないこと。
*「我か……我は涅苦別斗ネクベト……汝らの定義では……神と呼ばれる存在ものよ……」
いさむ「神……でござるか?」
いさむいさむで、いままで(主にかんなを通して)色々と神を見てきたので、今更驚きはしない
涅苦別斗ネクベト「……そして、汝の使う流派、月陽歳刑つきかげさいぎょう流を作ったのはこの我」
自分自身を指差して呟く涅苦別斗ネクベト……
いさむ「……月陽歳刑つきかげさいぎょう流を……」
俄かには信じがたいことでござるな……といさむ……しかし、以前、月陽歳刑つきかげさいぎょう流を会得した際に見た影……
アレの気配は確かに……今、眼前にいる涅苦別斗ネクベトのものと同じであった……
涅苦別斗ネクベト「汝が我のことを信じようと信じまいと……別にどうでもいいのよ……汝は今、ここで死ぬの
 だから……」
シュラランッ
持っていた刀を抜刀しつつ、そう呟く涅苦別斗ネクベト……
いさむ「神……であるのならば、それはそれで良しとするでござる……しかして、その神が何故拙者の前に……
 拙者の生命を狙うのでござるか?」
チキッ
いさむ明星幻爪みょうじょうげんそうに手をかけ問いかける
涅苦別斗ネクベト「……汝ら、人間ヒトは、最早この世界に不要……」
だからこそ、我が流派を受け継ぐお前を真っ先に始末しに来た……と涅苦別斗ネクベトは語る
涅苦別斗ネクベト「安心して、死ぬがいい……我は生命を創るものだから……汝が……人間ヒトが滅びたとしてもすぐ
 別の生命を創ってあげるわ……」
神だからこそのこのもの言い……失ったならば、別のものを作り出せばいい……涅苦別斗ネクベトはそんな性格の
持ち主のようだ……
いさむ「……」
涅苦別斗ネクベト「汝が簡単に死を受け入れるなんて思いはしない……存分に抵抗するがいいわ……」
いさむが無言のまま屹立していると……涅苦別斗ネクベトは続ける……無駄だとは思うけど、好きなだけ足掻いてみなさい
……と……

#2
いさむ「……」
すすっ
しかし、いさむ明星幻爪みょうじょうげんそうに手をかけたまま抜刀するそぶりを見せない
涅苦別斗ネクベト「……そうか……汝は女、子供を斬る剣を持たない……思い上がるのも大概にしなさい……」
女神を女、子供と同列に扱うな!と涅苦別斗ネクベトの一喝……その声は空間を震撼させる
いさむ「くっ……」
スラッ
確かに、眼前にいるものは女性の姿をしてはいるが、神……かくて、いさむ明星幻爪みょうじょうげんそうを抜き放ち、涅苦別斗ネクベトを
睨む
涅苦別斗ネクベト「……汝が、我が流派……どこまでものにしたのか……見せてもらうわ!」
ゴアッ
キュガギイッ
言い終えるなり、瞬時に間合いを詰めて斬りかかる
いさむ「ぐっ」
ギリギリギリギリ……
その、速くて、重い一撃を、どうにか神眼じんがんを駆使して受けるいさむ
いさむ(は……速い……さすがは……神……を名乗る存在でござる……神眼じんがんでなくては……対応できな
 かったでござる……)
涅苦別斗ネクベト「流石……我が流派を継ぐ者……だが……」
ガインッ
ゴガンッ
ドオオオンッ
いさむ「ぐっ……くう……」
ザガガガガガッ
猛攻の涅苦別斗ネクベト……その前にいさむは防戦一方なのだが……決して隙が無いわけでもない……
いさむ(……何かひっかっかる……でござる……)
涅苦別斗ネクベト人間ヒトの割りには……なかなか……」
ゴガアアアッ
いさむ「くっ……」
ザザザッ
涅苦別斗ネクベトの迫る上からの一閃……辛うじて回避したいさむいさむ「おおお!!恒娥震臠舞こうがしんれんぶ!」
ドドドドドドドドドッ
切り裂く、滅ぼす、断つ、の三段攻撃を繰り出す
涅苦別斗ネクベト「……よき技です……」
いさむ「なっ!?無傷……でござるか!?」
ドギャアアアアアッ
いさむ「ぐ……ぐぅうううう……」
いさむが呆気にとられていると瞬時に間合いを詰められ弾き飛ばされる。
涅苦別斗ネクベト「子が親に敵う道理はない……」
アルティマイトの壁にいさむが激突したのを確認して涅苦別斗ネクベトがポツリと呟く涅苦別斗ネクベト
涅苦別斗ネクベト命驪天禽舞みょうりてんきんぶ!」
ゴカオアアアアアッ
そして……光がいさむに落ちてくる
いさむ「くぅ……」
ドゴアアアアアアアアアッ
間一髪……光を回避するいさむ
ダイヤモンドの1000倍の硬度を誇るアルティマイトもさしもの神の一撃の前では紙くずも同然……
涅苦別斗ネクベト「……ほう、回避するか……」
いさむ(くっ……この御仁……強さの次元が強すぎるでござる……)
涅苦別斗ネクベト「ふふふふ……」
嘲笑うかのように見守る涅苦別斗ネクベト……果たして……この絶望的な状況の中……いさむに勝ち目はあるのか!?


続

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