Eighter -Scarlet Nocturne-
52nder 〜降真靈(こうしんりょう)は高くない C〜



#5
 ここで、話はEighter・有嗎幇(ユーマハン)連合軍が兵庫に旅立ってしばらくたった後に戻る。
 天四斗(あまよと)、某漫画喫茶
白拍子かれん「う〜〜ん、今日は絶好の堕落日和ね。さぁて、元を取るためにしっかりとマンガ読んで映画を鑑賞
しなくちゃ……」
 そんなことを呟きながらかれんが自分の個室へ戻ったところで、悲劇は起こる。
白拍子かなり「だめよ、ダメダメかれん、こんなところでエロ動画見ながら一日シコシコするなんて体に毒よ?」
かれん「ギャ〜〜、出た〜〜ッ!」
 すぐさま逃げようとするも、それよりも早く、ガシリと襟首を捕まれる。
※ってかエロ動画の件、ちゃんと否定しとけよ!恥女だと思われちゃうぞ
 大魔王(かなり)からは逃げられないのだ。
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
白拍子かんな「はっ!?」
 かれんとかなりがアホなやり取りをしているちょっと前、かんなもあることを察知する。
かなり「どうやらちょっとばかし、厄介なことになりそうね?」
かんな「えぇ……」
 そこへ、神がかったタイミングでかなりも推参。襟首を捕まれたかれんがしくしく泣いているが、ガン無視だ。
かなり「さぁ、イくわよ!かれん!ただし私より先にイったら許さないからね!」
かんな「かなり姉さん、それ意味が……」
 そんなアホなやり取りを行いつつ、白拍子三姉妹はヘリをチャーターし(無論、費用はかなりに脅されたかれん
が支払い)兵庫へと向かうのであった。

 兵庫県某所、嘉曦渋寺(かぎじゅうじ)付近上空
かなり「あ〜、あそこね……あの氷で閉ざされた場所……」
茜瑙哭(セドナ)(この気配……やはり……)
女王禍(ジョーカー)(だが、妙な話だ……奴は既に……)
奠夷瑪(ディーヴァ)(それを確かめるという意味でも、行くしかない……)
 白拍子三姉妹に力を貸している神々もまた、この異変について話し合ってみるが、しかし、答えは出ない。
かなり「じゃ、いくわよ、かれん、かんな、準備はいい?」
かれん「え?行くってまさか……ヘリから飛び降りるなんて言うんじゃないでしょうね?」
かなり「当然でしょ、近くにヘリポートなんてないんだから、ここからあそこへ行くには飛び降りるしかないじゃ
ない」
かれん「あの……ちなみにパラシュートは?」
かなり「メル○リで頼んだからそのうちに届くわ」
かれん「メ○カリにパラシュート出品する奴なんていねぇよ!」

#6
 かくて、白拍子三姉妹は嘉曦渋寺(かぎじゅうじ)に降り立つ。
 ズドンッ
※かんな達の超運をもってすればパラーシュートなしでも無傷で着地できるのだ。與鷹(よたか)「な、なんだ……」
 突如本堂に降り立つ三人の影を見て、與鷹(よたか)は驚きと共に安堵した。
(かみ)総介「フッ、少しは勝ちの目が見えてきたな!」
 しかも三姉妹は最初から女王禍(ジョーカー)覚醒、奠夷瑪(ディーヴァ)覚醒、茜瑙哭(セドナ)覚醒済みだ。
 それは頼もしくあるが、しかし、逆に言えば、そこまでしないとこの事態を収集できないという意味でもある。
かなり「あ〜、やっぱり……」
 その神を見て、ぽつりと呟くかなり
かれん「ってか、一体どうやったらこんな事態になるのか知りたいんですけど……」
山咲(やまざき)桜「では、お答えしましょう」
 桜とかれんがわちゃわちゃやっているが、それはこの際おいておこう
かなり「アレが何か知りたいって顔しているわね……はい、かんな、答えてやっちゃって!」
かんな「はい。あの神は『氷』の破壊神、刺舞鴉(シヴァ)……浚澄羽帝(サラスヴァティー)世界の神が一柱にして、とある神に敗北を喫し、死
した神……」
 その精神は打ち砕かれ、その肉体は虚空へと消えた……そして今、なんの偶然かその肉体が呼び出されてしまっ
た。
 與鷹(よたか)が聞きたいと思っていたことを問いかけられる前に答える。これが超運のなせる技である。
かなり「大人しく浚澄羽帝(サラスヴァティー)世界に帰ってもらうのが一番いいんだけど……無理そうねぇ……」
 だったら、次の策、とりあえず動きを止めて封印する。最も、人の手による術式でどこまで神を封印できるかは
未知数だが、やらなければ最悪兵庫を中心に日本が氷河期に閉ざされる。
かなり「さぁ、かんな、かれん、気合入れなさい!」
 そういってかなりは真殺影刃(しんさつえいじん)を大鎌の形状に変更し、かれんは予兆共鳴者(オーメンレゾナンス)光焔熾(こうえんし)……炎を集めて作った刃の二
刀流、かんなは神滅超越者(ラグナロクエクセル)の刃を五尺の長さにして構える。
 茜瑙哭(セドナ)奠夷瑪(ディーヴァ)女王禍(ジョーカー)刺舞鴉(シヴァ)と同じ浚澄羽帝(サラスヴァティー)世界の破壊神ではあるが、強さの格は刺舞鴉(シヴァ)の方が遥かに上で
ある。
 ましてや白拍子三姉妹は人の身で神の力を借りているのに対し、刺舞鴉(シヴァ)は正真正銘の神という差分付きだ。
 通常ならば、白拍子三姉妹に勝ち目などない。

#7
 そして、置いてけぼりの大神の降真靈(こうしんりょう)はと言うと……
反永(たんえい)「なんだ、これは……一体何が起きている……いや、起こるというのだ!?」
韻麗(いんれ)「何ということだ……ここまで来ればもはやオーパーツを駆使して異世界の神召喚ガチャを行うことは無理と
いうことか……」
慈円(じえん)(こうなっては悔しいですが、奴らに全てを任せるしかなさそうですね……)
 Np.2以下の高僧が狼狽える中、トップたる袰烏(ほろう)だけは違うことを考えていた
袰烏(ほろう)(そうか!そういうことなのか!異世界の神召喚ガチャに必要なのは人柱……わっちにも素質があればその身
に異世界の神を宿すことができる!)
※いや、かんな達は人柱ではないんだけど……寧ろ柱の女達?(をい)
 これは面白いことになってきた。奴らの活躍を見届けねば……そして、それを次の異世界の神召喚ガチャの糧に
せねば!と、ふんすと鼻息を荒げつつ事の成り行きを見守ることにした。
 そして、山門付近にいる陀疎(だうと)とノイエDAの連中は蚊帳の外であり、この戦いを見守ることすらできないのだ。


END

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