Eighter -Scarlet Nocturne-
50ther 〜姉の仇を弟で討つ A〜
#0
江戸の敵を長崎で討つという諺がある。
意外な所、時または筋違いなことで、過去の仕返しをすることの意味だが、じゃあ、姉の仇を弟で討つのはコレ
にあたるのだろうか？
※少なくとも『以外』とか『筋違い』ではなかろうよ
#1
出音・グロウシュベル「《ザ・テンペスト》！いや荒曲井ソカタ！姉さんの仇！」
荒曲井ソカタ「吠えるだけならば誰にでもできる……」
出音「吠えるだけかどうか、見せてやる！」
ガルシテラヴをズビシっと突き付けて出音は吠える。
ソカタ「ならば、俺の幽闘術に抗って見せよ、量の軽重を問う！」
ズシンッ
出音「ぐうおぉ！？」
重力で押しつぶされそうになる出音。しかし、何とか持ちこたえる。
ソカタ「ほぉ、耐えるか……」
だが、これはほんの序の口だぞ？と告げるとパチリと指を鳴らす。
ズズンッ
出音「ぐっ？！」
更なる加重が襲い掛かり、出音はガルシテラヴを杖代わりに何とか踏ん張る。
ソカタ「頑張るねぇ……」
だが、勘違いしてもらっては困る。俺の攻撃は量の軽重を問うだけではない。
そう告げるとソカタは出音の下に歩み寄るとゆったりとした動作で拳を突き出す。
出音「ごふぁ！？」
緩慢な動作の割に衝撃が半端ない。ソカタに吹き飛ばされた出音は直後、加重で地面に縫い付けられてしまう。
量の軽重を問うとは、重量を自在に操作するエクストラスキル
付け加えるなら、ソカタと初めて戦った時、三人がかりでも攻撃が通用しなかったのも、攻撃のインパクトを軽
くして威力を削いでいたため。
相手の攻撃の威力を軽減するのが防御の要であり、自分の攻撃を増大させるのが攻撃の要である。
※え？じゃあ、相手に加重をかけて動けなくするのは何の要なんですかね？
ソカタ「やはりこの程度か……」
暫く出音を見つめて、ソカタはため息をひとつ
梓與鷹「で、出音！？」
上総介「待て！」
これ以上の戦闘は不可能と判断した與鷹は助けに行こうとするが、しかし、それを総介が止める。
総介「今俺たちが向かったところで奴の幽闘術の餌食になるだけだ！」
與鷹「ぐっ……」
※いや、重力を操作するんじゃなく、重量を操作する幽闘術なんて與鷹らが助けに行ってもすぐ加重でやられるな
んてことはないのだが、総介はあえて黙っていた。
#2
ここで、死合は謂之府ソリス VS 包英清堅に切り替わる。
謂之府ソリス「貴様ッ」
突如として現れ、自分を一瞬のうちに連れ去った清堅を睨みつけるソリス。
包英清堅（やはり、どんな達人でも意識の外から繰り出される攻撃には反応ができない……）
自分の周りの空間を自在につなぐエクストラスキルたる無を繋ぐ産声を駆使するソリスを捕まえて移動すること
は通常では不可能だ。
だが、ソリスが幽闘術を発動する前にソリスに近づき、ソリスを捕まえて移動することは可能なのである。
ジャラリ……
ソリス「何！？」
それだけではない、いつの間にかソリスと清堅は手枷のついた鎖で繋がっていた。
直接的にしろ間接的にしろ触れていれさえすれば迂闊に相手に幽闘術を使えない。なぜならば触れている相手に
幽闘術を使えばその効果が自分に跳ね返ってくるからだ。
それがソカタやソリスの幽闘術の弱点なのだ。
ソリス「貴様ッ」
このために鎖で繋がったのかとソリスは忌々し気に叫ぶ。
清堅「……ただ一つだけ誤解のない様に言っておこう。貴様を倒すのは俺ではない」
ソリス「何？」
清堅「それは俺の役目ではない」
ソリス「貴様は、何を言っている？！」
ソリスを倒すのはセイの役目である。だから清堅がソリスを倒すことはない。（間違って倒してしまったらセイ
に殺されてしまう）
ソリス（……まぁ、なんでもいい。相手や自分に使うだけが無を繋ぐ産声の全てではない！）
自分の周りの空間を自在につなぐのがこの幽闘術の真骨頂。ならば、清堅の周りの地面を空に繋ぎ、落とし穴を
作る事だって可能。
清堅「行くぞ！」
あと一歩足を踏み出せば、無様に空中に落ちる（なんか表現が怪訝しいけど、そういう能力なので）
勝利を確信したソリスだが、しかし清堅は何事もなかったかのように地面をしっかりと踏みしめていた。
ソリス（な、何ぃ！？）
ソリスの敗因は清堅の幽闘術を知らなかったことにある。清堅の幽闘術、天翔る流の運びの真骨頂はあらゆる場
所に足場を作り出すことなのだから
続
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