Eighter -Scarlet Nocturne-
49ther 〜嵐を呼ぶ影の大戦 B〜



#3
 一方その頃、《ザ・テンペスト》はと言うと……
 イングランド某所、嵐ヶ丘
謂之府(いわのふ)ソリス「ヴァルカナをばら撒くのではなく、人に与え、ヴァルカナリアクターを新たに生み出しているみた
いだが、あまり効果がないようだが……」
ユーサー・コージィ「ごめんなさい、すいません、もうしわけないです」
 ぺこぺこ頭を下げるユーサーだが、別に詰問されているわけではない
荒曲井(あれくせい)ソカタ「そう言うな。こちらとしても、なぜすぐに特定されているのかが不思議でならんのだが……」
 《ザ・テンペスト》の連中はヴァルカナを望む者たちにヴァルカナが出現した位置が知られていることを知らな
い。
 それでもヴァルカナをただ配置するだけではなく、新たなヴァルカナリアクターを生み出しているのはその中か
ら《ザ・テンペスト》に賛同してくれる仲間が出てくるのではないかという期待があったからだ。
 だが、今のところ、その期待に応じられるような逸材は存在していなかった。
ソリス「そんな事よりもだ……ユーサー、お前宛に挑戦状が届いている」
ユーサー「挑……戦状?」
ソリス「セイ・ニングライトから、お前をぶっ殺すから指定の場所へ来い……だとさ……」
ユーサー「ヒィ〜〜……」
ソカタ「どう考えてもここ嵐ヶ丘からユーサーを遠ざけるのが目的だろ」
ユーサー「だとしても、売られた喧嘩は買いますよ……何、大丈夫ですよ。サクっと行って、殺して戻ってくれば
いいだけの話ですから……」
 既にそこには弱腰のユーサーはいなかった。
ソリス「そうか……ならばそちらはお前に任せよう……」
ソカタ「ならば、俺たちも迎え撃つ準備をしようではないか……」
 ところで、銀嵐と紅嵐は?と聞いてみるが、相変わらずの音信不通で連絡が取れないんです……とイスマイル兄
弟とバイラヴァ兄弟が告げる。
ソカタ「全く、あいつらはどこで何をやっているんだ?」
 毒づくソカタに何だったら探してきましょうか?とイスマイル兄弟とバイラヴァ兄弟は提案するのだが、いつ敵
が攻めてくるかもわからない状況で戦力を無駄に減らすことはしたくないため、その提案は却下された。
 そう、ソリスやソカタも馬鹿ではない。ユーサーを遠ざけている間にEighterらが攻めてくることは分かってい
るのだ。

#4
 そしてEighter・有嗎幇(ユーマハン)連合軍は行動を開始する。
 イングランド某所にて……
(かみ)総介「これより、《ザ・テンペスト》を叩き潰す!」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「いよいよだぜぇ!」
新田姜馬(きょうま)「本当に大丈夫なんだろうな?」
山咲(やまざき)桜「そこは警部を信じてくださいとしか言えませんが……」
出音(でおん)・グロウシュベル「……そういえば、セイの姿が見えないが……傭兵として雇ったんなら今回の作戦にも協力
してくれるんじゃないのか?」
総介「あぁ、あいつにはユーサーを引き付けるという重大な任務があるからな、別行動だ」
出音(でおん)「なるほど……」
一同「って、なんだって!?」
 ここで唐突に作戦の一部が明かされ一同は驚きが隠せずにいた。
與鷹(よたか)「……よくもまぁ引き受けてくれたな……」
総介「フッ、何せユーサーはセイの仇の一人に当たるからな……手ずから殺したくなるのは必然と言うものだ」
古畑呂司(りょうじ)「いやいやいや、初耳なんですけど……」
 更なる事実にまたしても驚愕する一行。
姜馬(きょうま)「なるほど、ユーサーさえいなければこちらとしても幽闘術を使えると言うわけか……」
 だが、それで勝てるほど《ザ・テンペスト》は弱くないのではないか?と姜馬(きょうま)が疑問を口にする。
総介「確かにな……だが、全てを無効化される幽闘術を気にせず戦えるのはアドバンテージだろう?」
御御脚(ユウ・ユウジャオ)「確かニ……」
旧透水(ジウ・トウシュイ)「それデ我々まで駆り出すのダから勝算はあるのだろうナ?」
総介「フッ」
 しかし、ニヒルな笑みを浮かべるだけで特に何も答えない総介であった
一同(いや、答えろよ!)
 ともかく、一行は嵐ヶ丘へと足を運ぶ。

ソリス「来たか……」
イシュー・ネゼリアル、マイル・ネゼリアル「ユーサーさえ遠ざければどうにかなるとは考えるとは甘い」
バイラ・エウリデス、アーヴァ・エウリデス「その甘い考え、この場で打ち砕いてくれるわ!」
 シュババババッ、ダンッ
ソリス「んなっ!?」
 突如音もなく(え?音でてたじゃん、とは言わないでね)ソリスの背後に忍び寄るのは包英清堅(つつみひで・きよかた)である。
 そのままソリスを掴むとその場を離脱。

#5
イシュー、マイル「な、なんだアイツ!?」
バイラ、アーヴァ「ま、まさか、ソリス様の幽闘術をすり抜けたとでも!?」
 全てを無効化するユーサーの反幽の領域(アンチ・レイス・フィールド)は最大の脅威だが、ソリスの空間を自在に操る無を繋ぐ産声(リンク・ゼロ・バースデイ)も十分脅威
である。
 故にこの場所から遠ざけるのは当然の策である。
※ってかソカタの重量を操る量の軽重を問う(ウェイト・ア・モーメント)も十分脅威ですが……そこは出音(でおん)が何とかしてくれるでしょう。多分。
総介「では、手筈通りに行くぞ」
一同「おうよ!」
 叫ぶと同時にバイラには御脚(ユウジャオ)、アーヴァには透水(トウシュイ)、イシューには姜馬(きょうま)、マイルには梶太郎(かぢだろう)が相手となる。
 そして、当然のことながら、ソカタに相対するのは出音(でおん)出音(でおん)「姉さんの仇……今日こそお前を倒す!」
ソカタ「ならば、やって見せろ!」
 かくて、戦争は始まる。
與鷹(よたか)と総介(あと呂司(りょうじ))は何の為にいるんですか?とか突っ込まないように。彼らには彼らの役目があるんです
 よきっと……


END

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