Eighter -Scarlet Nocturne-
49ther 〜嵐を呼ぶ影の大戦 A〜



#0
 ヴァルカナ争奪戦を終結させるため、総介は《ザ・テンペスト》の拠点に乗り込む決意をする。
 だが、そのまま突っ込んでも森羅万象を無効化する幽闘術の前に砕け散るしかないのだが、果たして、総介には
どんな手があるというのか?

#1
 Eighter・有嗎幇(ユーマハン)送魔(オクタマ)連合軍が奥多摩から帰還して直後、総介は桜と共に個別にセイを呼び出していた。
セイ・ニングライト「……で、俺に何の用だ?」
上総介「お前にはユーサーを倒してほしい……いや、殺してほしい」
セイ「とてもじゃないがSRAP(警察)のセリフとは思えないな……」
 だが、どれだけ金を詰まれようとも、その依頼は受けられないとセイはいう。
 当然だ、あらゆるモノを無効化する幽闘術を相手に戦うなどと正気の沙汰ではない。
セイ「話がそれだけならば、俺は帰らせてもらうぜ……」
山咲(やまざき)桜「いえ、それだけではありません」
 早々に去ろうとするセイを引き留めるのは桜
桜「……あなたの友が殺された任務について、少し調べさせてもらいました」
セイ「てめぇ!」
 その言葉を聞くなり、振り返ると一気に間合いを詰めて桜目掛けてウルフ・オブ・イザナギを振り下ろす。
 しかし、その斬撃は空を切る。
桜「あなたの友達は殺されて幽闘術を奪われたそうですね」
セイ「どこでそれを聞いた、誰に聞いた?」
 セイの殺気が迸るも、蛙の面に水な感じの桜は淡々と話しを続ける。
桜「無論、あなたはその下手人を既に処断していますね?……ですが、その下手人を裏で操っていたのは黄嵐……
まぁ、当時はそこまでは分からなかったようですが、《ザ・テンペスト》だということまではわかっていたからこ
そ、あなたはここまで戦ってきた」
 よく調べたもんだぜ……とセイは内心思った。
桜「さて、ここで質問しますが、あなたの友達を殺した下手人は、本当にその友達より強かったですか?」
セイ「何が言いたい?」
総介「お前の友達は銃撃されて殺されたそうだな……」
 だが、お前の友達は用意周到にもアラミド繊維の防弾ウェアを着込んでいたと聞く。なのに、銃弾を頭に受けて
死亡ではなく、体に受けて死亡と来た……
 まるでアラミド繊維の防弾ウェアが紙装甲の様に銃弾が貫通していたそうだな……と総介は続ける。
セイ「まさかッ!まさかッ!まさかッ!」
 歯車がカチリと合わさる音がする。

#2
桜「あの場所にはユーサーもいた。そして、ユーサーの幽闘術の効果でアラミド繊維の防弾ウェアが無効化された
……」
 だから、お前の友達は銃弾なんてチンケなもので死んだ……
セイ「オアアアアッ!ユーサーッ!てめぇッ!」
 セイの怒りが爆発し、近くの岩相手に親の仇の様にウルフ・オブ・イザナギを叩きつける。
※事実友達の仇……いや、違うけど……

総介「さて、ユーサーの抹殺、引き受けてくれるか?」
 暫く岩に怒りを叩きつけ、怒りが収まった頃合いを見計らって総介が声をかける。
セイ「ユーサーの野郎が俺の仇であることは分かった。だがッ!どうやって奴の幽闘術を破る?」
総介「それは貴様にしかできないことだ……いや、正確にはもう一人いるのだが……そいつが協力してくれるとは
とても思えんのでな……」
セイ「あぁ?どういう?」
 セイは総介が何を言っているのか理解できなかった。
総介「愚か者のお前ならばその意味が分かるだろう」
セイ「てめぇ、巫山戯(ふざけ)てんのか!」
 ガキィンッ
 総介の言葉にカっとなってウルフ・オブ・イザナギで斬りつけるが、しかし、突如桜が間に割って入り、右の人
差し指と中指でその凶刃を止めて見せる
セイ「なっ!?」
 桜の眼がギラリと紅く怪しく光り輝いているのは気のせいではない……
総介「そして、無事に奴を抹殺出来たら、コレを報酬にやろう。その時のお前にとって絶対に必要なものだ」
 すっと総介は懐から何かを見せる
セイ「それはッ!」
 そして、そのとき、セイは閃く。
 先ほど総介が言ったセリフの意味を理解する。
セイ(愚か者の俺にしかできない役目……そういうことか……)
 更に同時に理解する。確かに俺以外にもう一人、ユーサーを倒せる可能性がある漢がいることを……しかし、そ
いつは敵であり、総介の望み通りに動いてくれないことも理解した。
セイ「……だが、ユーサーも同じである可能性はないのか?」
総介「フッ、その心配はいらない。なんせ運の女神のお墨付きだからな……」
 それがどういうことなのか、セイには分からなかった。しかし、セイはこの依頼を引き受ける決意をした
セイ「いいだろう。俺が(ユーサー)を抹殺する!」


続

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