Eighter -Scarlet Nocturne-
48ther 〜影の影闇中に送る B〜



#3
 総介が送魔を丸め込んでいる間、撤退した大神の降真靈(こうしんりょう)は今回の軍事遠征の反省会みたいなものを行っていた。
 兵庫県某所、嘉曦渋寺(かぎじゅうじ)
韻麗(いんれ)「……と、言うわけだ」
 事の顛末を語るのは韻麗(いんれ)である。陀疎(だうと)が語るのでは、話に誇張が含まれるかもしれない為、第三者から話を聞く
のが一番なのだ。
慈円(じえん)「一定の効果があった……と言うのは認めましょう」
陀疎(だうと)「では……」
 しかし、最終的には成果を上げられず撤退せざるを得なかったことで、陀疎(だうと)は何かしらの処罰が下ることを内心
恐れていた。
韻麗(いんれ)「あとはノイエDA全員に量産型百万朱版の転生小聖印(ヴァーミリオン・トランスマイグレーション)が行き届けば今後のヴァルカナ争奪戦も有利に動けるは
ずだ」
慈円(じえん)「と、いうわけです。やってくれますね?やってくれますね?やってくれますね?」
陀疎(だうと)「え?……あ、はい」
 この件に関しては、特に処罰なし……と言うことがわかりホット安堵する陀疎(だうと)※ってか、ここでも同じ言葉を三回繰り返し、仏の顔も三度までとか言い出すのは何なの?
 しかし、よくよく考えてみると、大神の降真靈(こうしんりょう)の究極の目的は異世界の神召喚ガチャであり、そのためにヴァル
カナを求めていたのであって、ヴァルカナの力を求めていたわけではなかったはずだが……
 目的のために手段を択ばないどころか、手段のために目的を選ばないみたいな感じで迷走しているのではなかろ
うか……と、思われがちだが、実は個々の戦力のパワーアップというかレベルアップには意味があるのだ。
 異世界の神を召喚した際、常人ではその神気に充てられて精神崩壊してしまう虞がある。だからそんな事態にな
らないように強靭な精神と肉体は必須なのだ。(なお、以前異世界の神召喚に成功しつつも、その神に潰されてし
まったことが教訓となっているらしい)
慈円(じえん)(ノイエDAの連中全てにも量産型百万朱版の転生小聖印(ヴァーミリオン・トランスマイグレーション)が行き届けば、いよいよ……)
韻麗(いんれ)(異世界の神召喚ガチャを行うというわけですね……)
 今からそれが楽しみだ……と言った感じの二人であった。
 なお、この場に居合わせていないが、組織のNo.2たる反永(たんえい)としてもこの考えには同意している。
 と、言うか、陀疎(だうと)が遠征に行っている間に慈円(じえん)韻麗(いんれ)に伝えているのだ。

#4
 そして、話は奥多摩へと戻る。
(かみ)総介「知っての通り、最早ヴァルカナ争奪戦は意味をなさなくなった」
梓與鷹(よたか)「一体何を……?」
新田姜馬(きょうま)「それはヴァルカナの出現の反応がすぐ収まってしまうからか?」
総介「そうだ」
 場所を特定する前にヴァルカナ出現の反応が消えるのでは、誰もそこへ辿り着くことができない。
出音(でおん)・グロウシュベル(いや、でもお前らはたどり着けてるじゃん)
與鷹(よたか)(ま、まぁ……それは何と言うか……俺も不思議に思っていたことなんだが……)
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)(ハッ!細かいことはどうでもいいじゃないか!)
 全然細かくねぇよ!と梶太郎(かぢだろう)に全員が突っ込みを入れるが、それはさておき……
山咲桜「ヴァルカナの反応が一瞬で消えるのは、ヴァルカナリアクターが生み出されるからです。そしておそらく
これは止められない……」
包英清堅(つつみひで・きよかた)「話が見えてこないが、ヴァルカナリアクターと交渉してヴァルカナを譲って貰えば済むことではないの
か?」
 すっと右手を差し出しつつ清堅(きよかた)が会話に口をはさむ
総介「フッ、やはり貴様はユーサーから肝心なことは知らされていないようだな」
與鷹(よたか)「……ヴァルカナリアクターはヴァルカナを奪われると死亡するんだ。だからヴァルカナリアクター相手にそ
んな交渉なんてできるはずがない」
清堅(きよかた)「な、なんだと!?」
 だから、今後新たなヴァルカナリアクターが出現したならば、説得するか殺してでも奪い取るしかない……
 総介の言葉に嫌な沈黙が辺りを支配する。
総介「だから、このバカげた騒動を一刻も早く終わらせる!」
梶太郎(かぢだろう)「終わらせるぅ?……一体どうやって?」
桜「具体的にはヴァルカナ争奪戦を巻き起こす元凶を叩く……
梶太郎(かぢだろう)「そんな事、出来るわけがッ!?」」
 そこまで言って梶太郎(かぢだろう)は思い出す。俺たちは既に《ザ・テンペスト》の拠点がどこにあるのかを知っていると言
うことを……
セイ・ニングライト「しかし、奴らの拠点に殴り込みをかけたところでユーサーがいる限り俺たちに勝ち目はない
んじゃないか?」
清堅(きよかた)「だ、誰だ!?」
 と、そこへ遅れながらセイも推参。
與鷹(よたか)「お前は……どうして?」
総介「フッ、俺が呼んだ」

#5
出音(でおん)「呼んだ?」
桜「正確には雇った……になります」
セイ「俺は傭兵だからな……雇われれば、雇い主には一応従うまでだ……」
 黄昏れつつ、そんなことを呟くセイ。
與鷹(よたか)「で、総……《ザ・テンペスト》の拠点を叩くと豪語したんだから、何かしらの策はあるんだろうな?」
清堅(きよかた)「ザ・テンペスト……?」
桜「ユーサーらが属する組織であり、我々の敵です」
 ひとまず口をはさんでくる清堅(きよかた)には桜が答える。

総介「フッ、当然だ!既に策は考えてある!」
 そして、総介は満を持してそう宣言する。
姜馬(きょうま)(奴め、一体どんな手を考えたというんだ?……あの、あらゆるものを無効化する幽闘術に対抗できる術など
本当にあるのか?)
 そんなことを考えつつ、お手並み拝見といこうか!と姜馬(きょうま)は思った。
 ここで、君たちに最新情報をお伝えしよう
※だから唐突なガオ○イガー何なん?
 総介が考えた策……それに必要不可欠なのはセイ・ニングライトの存在である。セイ・ニングライトなくしてこ
の作戦に活路はない……
 すなわち、彼が勝利の鍵だぁ!


END

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