Eighter -Scarlet Nocturne-
48ther 〜影の影闇中に送る A〜



#0
 奥多摩へヴァルカナを探しにやってきたはずが、突如大神の降真靈(こうしんりょう)との戦闘に発展してしまった。
 しかし、あと一歩と言うところまで追いつめたところで大神の降真靈(こうしんりょう)は撤退。
 後には送魔(オクタマ)のヴァルカナリアクターとEighter・有嗎幇(ユーマハン)連合軍だけが残された。

#1
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「……逃げられた!?」
御御脚(ユウ・ユウジャオ)旧透水(ジウ・トウシュイ)「……」
 え?折角援軍に来たのに、活躍無しで終わりなの!?って感じの有嗎幇(ユーマハン)幹部二人であった。
古畑呂司(りょうじ)「ええと……帰るか?」
 最早全てが終わったのならば、この場にいる意味もない。呂司(りょうじ)がぽつりと呟いたことで有嗎幇(ユーマハン)の連中と出音(でおん)は帰
り支度を始める。
包英清堅(つつみひで・きよかた)「ま、待て!」
 しかし、清堅(きよかた)が一行を呼び止める。
御脚(ユウジャオ)「何ダ?」
透水(トウシュイ)「まダ何か用ガ?」
(かみ)総介「……そうだな、こちらにもお前に用はある」
 援軍として駆けつけてもらった有嗎幇(ユーマハン)にはもう帰ってもらってもよかったのだが、引き留めたのならば、別にい
てもらっても構わない。
総介「さて、では本題に入ろう」
梶太郎(かぢだろう)「本題?」
梓與鷹(よたか)「いやいや、当初の目的を忘れんなよ!」
 俺たちの目的はヴァルカナを探し、確保すること。奥多摩の六ツ石山にやってきたのは、ヴァルカナの反応が検
出されたから。
 そして、包英清堅(つつみひで・きよかた)というヴァルカナリアクターに出会った。
総介「話を進めるぞ……」
 このままウダウダしていては話が進まないので、総介が仕切り直す。
総介「まず、お前の処遇だが、ヴァルカナリアクターになったのならば、仕方あるまい。俺たちと一緒に来てもら
うぞ」
一同「な、なんだと!?」
 既に騒動が終わったため、ペンションの中から送魔(オクタマ)の連中も出てきており、総介の言葉に耳を傾けていたのだが
総介のあまりにもな言葉に反発の意を示す。
総介「無論、お前たちも一緒に来てもらうことになる」
*「そんな、横暴な!」
清堅(きよかた)「理由を聞かせろ」
 喧々囂々とする送魔(オクタマ)を一括して制止すると、清堅(きよかた)は総介にそう問いかける。
山咲(やまざき)桜「では私から。一つはこの場所が敵に知られてしまったからになります」
清堅(きよかた)「敵……元咲魔(サイタマ)の連中か……」

#2
総介「そうだ、また同じことが起きた場合、貴様に守れるか?」
清堅(きよかた)「それは……」
 奴らのが再び攻めてきた場合、送魔(オクタマ)の力では止めることはできないだろう。そのことは奴らと死合った清堅(きよかた)が十
分にわかっていることだ。
桜「もし仮に送魔(オクタマ)の連中が人質にされ、貴方が奴らに従わざるを得なくなったら……」
清堅(きよかた)「……」
 そうなったら、俺たちのことは見捨ててください……と送魔(オクタマ)の連中は言うのだが、しかし、清堅(きよかた)の辞書に仲間を
見捨てるなんて文字はなかった。
総介「俺もできることなら貴様らと死合いたくはない……」
 そして、総介はさらに畳み込みにかかる。
清堅(きよかた)「ならば、捨てろというのか、この土地を……」
総介「ある意味ではそうなるのかもしれんな……」
 そうだな、お前たちはひとまずは有嗎幇(ユーマハン)の下に身を寄せてもらおうかなんて言い出す総介に、御脚と透水はビッ
クリ仰天である。
梶太郎(かぢだろう)(おいおい、大丈夫か?……有嗎幇(ユーマハン)の奴ら、『え?聞いてないんでけど』って表情(カオ)してるんだが……)
與鷹(よたか)(総の奴、送魔(オクタマ)を全員配下に置くつもりだな……)
 しかも割と苦労せずに送魔(オクタマ)という集団を手に入れるつもりである。
総介「フッ、どうやら話は纏まったようだな」
 纏まったというか纏めたというか丸め込んだというか……
御脚(ユウジャオ)「そちらノ話ガ纏まったのハいいだろう……」
透水(トウシュイ)「だが、こちらとしてモいきなりこノ集団の面倒ヲ見ろと言われても困ル」
総介「何も送魔(オクタマ)有嗎幇(ユーマハン)のメンバーに組み込めと言っているわけではない」
御脚(ユウジャオ)「どういウことダ?」
総介「お前たちが日本で活動している拠点……そこで送魔(オクタマ)も一緒にいてもらうというわけだ」
透水(トウシュイ)「しかし、そんなことハ我々でハ判断しかねル!」
総介「フッ、心配するな、既に話はつけてある」
御脚(ユウジャオ)透水(トウシュイ)「なン……だとッ!?」
 一体いつの間に話を付けてきたのか、あまりにも行動が早すぎてついていけない有嗎幇(ユーマハン)幹部であった。
呂司(りょうじ)(いいんですかね?)
新田姜馬(きょうま)(上層部が判断したことならば、俺たちがどうこうしても仕方がない……)
呂司(りょうじ)(ですよね〜)
総介「さて、では話題を変えよう……」
與鷹(よたか)「総?」
 このまま帰るのだと思っていたが、しかし、総介はまだ何かを行うつもりらしい。
 果たして、それは……


続

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