Eighter -Scarlet Nocturne-
47ther 〜影の影闇中に咲く B〜



#3
包英清堅(つつみひで・きよかた)「あ、あいつは一体何なんだ?」
(かみ)総介「今は目の前の死合に集中しないと死ぬぞ」
清堅(きよかた)「ぐっ……」
 梶太郎(かぢだろう)の無駄な生命力の高さに疑問はあるが、今は目の前の死合に集中しないといけないのもまた事実。釈然と
しないものの気持ちを切り替える清堅(きよかた)。
梓與鷹(よたか)「……自爆戦法か……全く、厄介なことを……」
総介「フッ、だが、本当に厄介なのはここからだ」
與鷹(よたか)「総、それはどういう?」
総介「アレを見ろ!」
 先ほど梶太郎(かぢだろう)を掴んで爆死したはずの元咲魔(サイタマ)を指さす総介。
與鷹(よたか)「なっ!?」
 相打ち覚悟で爆死したのならば、死んでいると思われたが、しかしその元咲魔(サイタマ)は生きていた。
 しかも、辛うじて虫の息……ではなく、割とピンピンしているではないか。これには與鷹(よたか)も踊を気を隠せずにい
た。
総介「デミカナリアクターと遜色ない力……それは、デミカナリアクターの回復能力も含んでいるのだろう」
與鷹(よたか)「そんなっ!?」
 ならば、状況は悪化の一途をたどる。このまま戦い続ければ、いずれ疲弊して敗北は必至である。
総介(やはり、援軍を呼ぶしかないな……)
與鷹(よたか)(援軍?)
 誰が?どうやって?と與鷹(よたか)が首をかしげている間に総介は動く。
総介「山咲(やまざき)!」
山咲(やまざき)桜「はい」
陀疎(だうと)「何をしようとしているか知らんが、逃がすかよ!」
 シュダダダッ
 数人の元咲魔(サイタマ)が桜に襲い掛かる。しかし、桜は常軌を逸したスピードでその場を離脱。
一同「なっ、何ぃっ!?」
総介(援軍が来るまで持ちこたえれれば、俺たちの勝ちだ!)
與鷹(よたか)(総……)
 総介がそこまで言い切るのならば、状況を打開できる策があるということだろう。ならば、援軍がやってくるま
で粘るのが與鷹(よたか)の仕事である。(あ、梶太郎(かぢだろう)梶太郎(かぢだろう)で自由にやってください……)
※ちなみに、梶太郎(かぢだろう)しか戦っていないように見えるが、そんなことはありません。
 それでも全力を出すのは極力最後まで殺っておかねばならないという厳しい戦いである。
陀疎(だうと)(チッ、一人逃がしたが……だが、まぁいい)
陀疎(だうと)「貴様らに大神の降真靈(こうしんりょう)の力、思い知らせてやる。行け!」
元咲魔(サイタマ)一同「オオ!」
 ザッザッザッザッ
 陀疎(だうと)の号令の下元咲魔(サイタマ)一行は軍隊の様な統率の取れた行軍を行いだす。

#4
清堅(きよかた)「こ、これは、まさか……荒川水漣陣(あらかわすいれんじん)!?」
 それを見て清堅(きよかた)は思わず叫ぶ。
梶太郎(かぢだろう)「なんだ、それは?」
清堅(きよかた)咲魔(サイタマ)に伝わる陣形技の一つで、荒川が氾濫するかの如く勢いで敵に攻め入るというものだ……」
梶太郎(かぢだろう)咲魔(サイタマ)という名は捨てたって割に咲魔(サイタマ)の術理を使ってくるのかよ!」
 全く持って咲魔(サイタマ)を捨ててないじゃん!とツッコミを入れる梶太郎(かぢだろう)。だが、今はそんなことをやっている場合では
ない。
 この波状攻撃を凌ぎきらないと道は開けない。

梶太郎(かぢだろう)「くっそ、キリがねぇ……流石にそろそろ俺も疲れてきたぞ」
 まぁ、真っ先に虎伏絶掌(こふくぜっしょう)とか切り札を使ったんだから、当然だろうな……と與鷹(よたか)。
総介(お前の方はまだ余力はあるか?)
與鷹(よたか)(まぁ、それなりには……だが、正直あまり長くはもたないぞ……)
総介(そうか……)
清堅(きよかた)「……ここまで来たらもはや貴様らに賭ける!」
 與鷹(よたか)と総介がひそひそ話し合っている間に、清堅(きよかた)が一歩前に出る
與鷹(よたか)「お、おい……」
清堅(きよかた)「俺の幽闘術、天翔る流の運び(スカイウォーク・ストリーム)を見せてやる!」
 叫ぶと同時にシュカカカカっといかにも忍者っぽい感じ走り出す清堅(きよかた)陀疎(だうと)「ほう、それが貴様の幽闘術か……?」
 だが、見たところ、ただ走っているだけにしか見えないが……と、思った次の瞬間、清堅(きよかた)は壁を走り、木を垂直
に走り、最後に何もない空中を走り出す。
一同「なっ!?」
清堅(きよかた)「見たか!まぁ、今のはただのパフォーマンスに過ぎないが、これが俺の幽闘術!」
 それは、あらゆる場所を走りぬくエクストラスキル!
陀疎(だうと)「ただ走るだけの幽闘術に何ができる、行け!大神の降真靈(こうしんりょう)の力を見せつけろ!」
元咲魔(サイタマ)「オオオッ!」
 全員で一つの生き物のように行動を行っていた元咲魔(サイタマ)から分隊が生まれ、そいつらが清堅(きよかた)に襲い掛かる。
清堅(きよかた)「ならば、見せてやろう!天翔る流の運び(スカイウォーク・ストリーム)の真の力を!」
 ズドドドドドドッ
 走る。走る。走る。やはり、一見すると縦横無尽に走っているようにしか見えない。
 しかし……
元咲魔(サイタマ)「ご、げ、ほ、はっ!?」
 清堅(きよかた)の攻撃を食らい、派手に吹き飛ぶ元咲魔(サイタマ)陀疎(だうと)「な、なんだと!?」
 一体奴の身に何が起きたのか!?


続

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