Eighter -Scarlet Nocturne-
47ther 〜影の影闇中に咲く A〜



#0
 埼玉の秩父盆地の咲魔(サイタマ)あり。そして、奥多摩の六ツ石山に送魔(オクタマ)あり。
 これは影が影を狩る忍びの物語……ではないと思う、多分。
※いや、その推定何なの!?
 咲魔(サイタマ) VS 送魔(オクタマ)……その果てに待っているものとは!?

#1
包英清堅(つつみひで・きよかた)「お前が咲魔(サイタマ)の棟梁だというのか?」
陀疎(だうと)「さっきも言っただろう!咲魔(サイタマ)などもはや過去の遺物!私は陀疎(だうと)……大神の降真靈(こうしんりょう)が高僧の一人!」
清堅(きよかた)「ならば、貴様の目的は?」
陀疎(だうと)「知れたことよ、送魔(オクタマ)の壊滅!そのために我らはここに来た!」
 予め断っておくが、ここに元咲魔(サイタマ)の連中が殴り込んでくることなど、ユーサーにとっては全くの計算外の出来事
だった。
 だから、咲魔(サイタマ)を滅ぼしたのがEighterであるというユーサーの悪だくみはここに潰えたといえよう。
(かみ)総介「フッ、もはや奴らは敵でしかない……」
清堅(きよかた)「だからと言って貴様らが味方であるとも限らない」
梓與鷹(よたか)「これは手厳しいな……」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「なぁ、何でもいいが、俺が倒せばいいのは誰なんだ?」
一同「お前なぁ……」
 どんだけバトルジャンキーなんだ……と呆れてものも言えない一行。
 と、ここで、梶太郎(かぢだろう)のいらん一言が陀疎(だうと)に火をつけた。
陀疎(だうと)「だが、貴様らも大神の降真靈(こうしんりょう)の妨げにになる……ここいらで潰しておくのも手だ!」
総介「どうやら是非もない。最早共闘してこの場を乗り切るしか手はないようだな」
清堅(きよかた)「……残念ながら……な」
 三つ巴の戦いとなるよりは、協力して元咲魔(サイタマ)……大神の降真靈(こうしんりょう)を叩くことが得策。
梶太郎(かぢだろう)「おっしゃ〜!行くぜ野郎ども!誰が一番敵を倒せるか勝負だ!」
清堅(きよかた)「あいつは「いつもこうなのか?」
與鷹(よたか)「……残念ながら……」
 嬉々として殴り込みをかける梶太郎(かぢだろう)。そんな彼を見ると最早呆れを通り越して褒めたくさえなってくる。
梶太郎(かぢだろう)「おらあっ……何ぃ!?」
 とりあえず近くにいた元咲魔(サイタマ)の連中に拳を叩きつける梶太郎(かぢだろう)。しかし、そんな梶太郎(かぢだろう)の拳を軽々と受け止める元
咲魔(サイタマ)の一人。
 梶太郎(かぢだろう)にしてみればそこそこ本気を出して殴りつけたのだが、それをいとも簡単に受け止められるとは思っても
見なかった。
梶太郎(かぢだろう)「コイツら……」
陀疎(だうと)「フッ、こいつらは幽闘術は使えないものの、デミカナリアクターと遜色ない力を持つ!」
 雑魚だと思って甘く見ると痛い目にあうぞ!と、言うことだ

#2
梶太郎(かぢだろう)「ヘッ、てめぇらこそ、双虎拳をあまりナメるなよ!……虎伏絶掌(こふくぜっしょう)極彩虎襲(ごくさいこしゅう)!」
 ドドドドドドドッ
 中途半端な力では効果がないのであれば、全力で拳打の嵐を見舞う。
元咲魔(サイタマ)「お、ぐおっ!?」
梶太郎(かぢだろう)「虎は兎を仕留めるにも全力を尽くす!分かったか!」
総介「チッ、馬鹿が……」
梶太郎(かぢだろう)「あぁ?なんだと!?」
與鷹(よたか)「それ、虎じゃなく獅子だからな……」
 総介が梶太郎(かぢだろう)を馬鹿にしたのは慣用句が間違っているからではない。力の使い方に対してだ。
 獅子欺かざるの力……獅子は兎を狩るのにも全力を使うという意味だ。確かに、それならばデミカナリアクター
と化した元咲魔(サイタマ)の連中にも通用するだろう。
 しかし、それは相手が少数だった場合の話であり、大群を前に全力でコトに当たるのは必ずしも正しいとは言え
ないのだ。
※寧ろ途中で力尽きたら一巻の終わり
送魔(オクタマ)「棟梁……」
清堅(きよかた)「お前たちは下がっていろ!」
送魔(オクタマ)「しかし……」
清堅(きよかた)「これは命令だ!」
送魔(オクタマ)一同「はっ、承知……」
 もはや奴らの戦闘力は咲魔(サイタマ)を超越しており、送魔(オクタマ)の手に余る事態になっている。そして、ヴァルカナリアクター
である清堅(きよかた)のみが、この事態に対処できるとして、清堅(きよかた)送魔(オクタマ)の連中にペンションの中で大人しくしていろと命ず
る。
梶太郎(かぢだろう)「てめぇら全員に双虎拳鉄の掟を叩き込んでやる!極彩虎襲(ごくさいこしゅう)!」
 ズドドドドドドッ
元咲魔(サイタマ)「ゲフッ!?」
元咲魔(サイタマ)「ごほあっ!?」
 梶太郎(かぢだろう)の猛攻で吹き飛ばされる元咲魔(サイタマ)だが、中には取りこぼしもあり、そんな一人が梶太郎(かぢだろう)を掴んで離さない。
梶太郎(かぢだろう)「何!?」
清堅(きよかた)「今すぐ奴を振りほどいて逃げろ!」
 カッ、ズドォムッ
 しかし、清堅(きよかた)の忠告は遅かった。梶太郎(かぢだろう)を掴んで離さなかった元咲魔(サイタマ)の一人は突如爆発。
清堅(きよかた)「奴らは……いや、我々もそうだが、死を前提に作戦を立てるのが忍び……」
 残念だが、あいつはもう……と目を閉じて首を左右に振る清堅(きよかた)だったが、次の瞬間には目を疑う
梶太郎(かぢだろう)「ゲホゲホ……死ぬかと思ったぜ」
清堅(きよかた)「え!?いや、今の絶対死んだでしょ……」
総介「フッ、奴は頑丈でな、あれ位では死なん!」
清堅(きよかた)「えぇ〜」


続

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