Eighter -Scarlet Nocturne-
46ther 〜奥多摩は魔影間者 A〜



#0
 数舜しか反応が現れないヴァルカナのおかげでヴァルカナ争奪戦の難易度は跳ね上がった。
 しかし、総介……いや、桜は正確にその場所を見抜けるので、問題はないのだが……一体どうやっているのか、
それは秘密です
※お前はどこの謎の獣神官(プリースト)だよ!
 そして、ヴァルカナリアクターがまた一人、生み出されようとしていた。

#1
 兵庫県某所、嘉曦渋寺(かぎじゅうじ)
 その日、境内ではノイエDAと咲魔(サイタマ)による模擬戦が行われていた。なお、過去形なのは既に雌雄が決しているから
である。
遣陀(やるだ)罵音(ばおと)「馬鹿な……我々ノイエDAが……」
夜灘(よるだん)端診(はしみて)「こうもアッサリ敗北を喫するなどと!?」
韻麗(いんれ)「大した幽闘術だよ」
 パチパチと拍手をしながら咲魔(サイタマ)を賞賛する韻麗(いんれ)陀疎(だうと)「お褒めに預かり光栄です」
韻麗(いんれ)「後はこの力がノイエDAに行き届けば文句なしと言ったところだ……」
陀疎(だうと)「はい。ですが、もう少し腕を試すべく、軍事遠征を行いたいのですが」
 即答は出来かねる……と思っていたのだが、すぐさま、一人の漢が許可を出す
反永(たんえい)「よかろう」
韻麗(いんれ)「た、反永(たんえい)様!?」
反永(たんえい)「ヴァルカナ争奪戦を勝ち抜くために、奴らの力がどれほどであるか見極めるも肝要」
 それに、最近のヴァルカナの反応はすぐ消えてしまってどこだったのか探し出すのも困難である。
 だから、力を溜めてチャンスを待つことも時には必要なのだ。かくて、大神の降真靈(こうしんりょう)No.2の許可も下りたことで
陀疎(だうと)は軍事遠征を開始するのであった。

 一方その事、Eighterは……
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
梓與鷹(よたか)「またか……」
 ヴァルカナ出現の反応が出て、すぐ消えてしまうのもこれで三度目。こうなってはいよいよヴァルカナ争奪戦も
意味がなくなってしまう
(総介)「行くぞ。今回は東京……六ツ石山だ!」
 しかし、例によって例の如く、正確な場所を察知した桜を連れて、総介が推参。
 どうやってその情報を強いれているのか疑問を抱きつつも、與鷹(よたか)は総介と共に六ツ石山へと向かうのであった。
※ってか、ヒロインなのに第六部では全く登場しないかんなの超強運でも分かるのでは?

#2
 東京の奥多摩と呼ばれる場所……そこに六ツ石山はある。
 そんな六ツ石山の中腹部分に一行はやってきた
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「結構な登山だったじゃねぇか……」
 いい汗かいたぜ〜ってな感じの梶太郎(かぢだろう)に、桜はこう告げる。
山咲(やまざき)桜「この六ツ石山は奥多摩三大急登の一つにあげられ、初心者向けとは言えない山になりますね」
與鷹(よたか)「……しかし、本当にこんな場所に!?」
 與鷹(よたか)が疑問を抱くのも無理はない。一行がやってきた場所はペンション・シックスストーンと看板が掲げられて
いる宿泊施設だったからだ
*「……当方に何か御用でしょうか!?」
梶太郎(かぢだろう)「どわぁ!?びっくりした!?」
 その時、突如音もなく気配もなく、梶太郎(かぢだろう)の背後に人が出現し、声をかけてくる。
與鷹(よたか)「あなたは!?」
*「はい。私はここら辺一体の管理を任されております、さる一族に仕える者でございます」
 このペンションもその一族が経営しているのだという。
*「休憩でしょうか?……でしたら2時間ご利用できます。以降は延長料金を頂きます……それとも一泊でご利用
なのでしょうか?」
一同「……」
 そのシステムはどう考えてもラブホじゃねぇか!と一同は心の中で突っ込んだ。
與鷹(よたか)(しかし、なんだ?この違和感……)
 従業員とかを見てみると、何か妙だ……しかし、何が妙なのかが分からない。それが與鷹(よたか)は不気味に思えた。
総介「いや、別に施設を利用するために俺たちはここへ来たわけではない」
*「そうですか……」
 すすっとそのまま施設へ戻ろうとする漢を総介は引き留める。
総介「単刀直入に言おう。俺たちはここへヴァルカナを探しにやってきた……より正確に言うならば、ヴァルカナ
リアクターを探しにやってきた」
 シーランド公国、咲魔(サイタマ)の隠れ里……二度続けてヴァルカナリアクターが生み出されたのならば、三度目もあって
然り。
*「なるほど……つまり、私に用があってきたというわけか……」
 ペンションの奥より、一人の漢が登場し、そう呟く。
*「私は当ペンション、シックスストーンの支配人、包英清堅(つつみひで・きよかた)……そして《病魔(イル)》のヴァルカナリアクター」
 すっと右手の甲を見せつける清堅(きよかた)。そこには赤と青の四角を組み合わせた八芒星に-Vの数値が刻まれていた。


続

前の話へ  戻る  次の話へ