Eighter -Scarlet Nocturne-
42nder 〜智利美(ら伝翳(り剣 B〜
#3
ヴィルヘル・奈美の幽闘術の真実が明らかになり、唖然とする一行
化野梶太郎(「つまり、爆発で防御と加速を行える……正に攻防一体の幽闘術ということだな!」
一同「『攻防一体』という意味をもう一度よく考えてみろ!」
一同の盛大な突っ込みが、またしても梶太郎(に炸裂した瞬間だった。
※なお、攻撃は最大の防御という言葉もありますし、爆発の反動で防御を行うということは、防御すると同時に攻
撃を行っているともとれるのでは!?
古畑呂司(「無茶苦茶だ……」
新田姜馬(「あぁ、無茶苦茶だ」
思わず呟く呂司(に姜馬(も同意する。
そもそも爆発の反動をスピードに転換するということ自体が、人体に過度の負担を強いる諸刃の剣なのだ。
爆発の衝撃を利用して自動的に攻撃を防御する鎧なんてのも戦車だからこそ使える装備であり、生身の人間が装
備できるような代物ではない。
しかし、ヴァルカナリアクターはヴァルカナの力である程度のダメージを回復することができる。だからこそ、
このような無茶な使い方ができるのだ。
ジョスィフ・クロード「……チッ……」
慈円(「あくまで歯向かうというのですか?あくまで歯向かうというのですか?あくまで歯向かうというのですか?
……仕方ありませんね、仏の顔も三度まで……あなたにも仏の慈悲を与えてあげますよ」
ジョスィフに代わって慈円(が前に出る。お得意の一度に同じことを三度繰り返し、仏の顔も三度までを実質一度
たりとも許さんという信念で拳を握りしめ、殴りかかる。
慈円(「幽闘術、三蠱の零(でね!」
ズガアムッ
慈円(「ほげあっ!?」
自信に満ち溢れていたにもかかわらず、結果は変わらなかった。
慈円(の幽闘術、三蠱の零(は同じ攻撃を三度重ねることであらゆるものを粉砕するエクストラスキルなのだが、一
撃でも触れられれば爆発する爆塵の神翼(の前には意味がないということだった。
刹那の瞬間に三連撃繰り出せれば、あるいは結果は違ったかもしれないが……
梶太郎(「ケッ、どいつもこいつも、俺が手本を見せてやる!」
梓與鷹(「お、おい……」
別に敵に攻略のヒントを出す必要はないのだが、梶太郎(は割とノリと勢いで生きているよな人間なのでそんな忠
告よりも速く動いた。
#4
梶太郎(「おらあ!銀號懺月(!」
ゴガアッ
ズドオムッ
虎の咆哮の如き衝撃波を放って倒そうとするも、やはり、攻撃は防がれてしまった。ただ、今までの二人と違い
関節攻撃を繰り出したため、爆発によるダメージは皆無だった。
呂司(「結局ダメじゃん……」
梶太郎(「チッ、めんどくせぇ……おい、與鷹(、双狼拳のインチキ臭い奥義であの爆発回避できねぇか?」
與鷹(「無茶言うなよ!」
それは至近距離から散弾銃を回避しろと言っているようなものであり、いくらなんでも無茶である。
梶太郎(「だ、だが……確かにこっちの攻撃は通用しない。だが、あっちの攻撃もまた、こっちに通用してない!つ
まり勝負は五分と五分だ!」
一同「いや、あっちはまだ攻撃してないが……」
梶太郎(「……」
さておき、そんな梶太郎(の馬鹿な行為を見て、ジョスィフと慈円(は攻略法を見出した。関節攻撃である。
直接攻撃を繰り出せば爆発という反撃で手痛いダメージを受けるが、関節攻撃ならばその心配はない。更に相手
の幽闘術を過度に使用させることで消耗も狙える。まさに一石二鳥の策だ。
まぁ、一つ問題があるとすれば、関節攻撃の手段がないということだが……
※根本的な問題じゃねぇか!
だが、ヴィルヘル・奈美も馬鹿ではない。このまま防御に徹していてはいずれ消耗し、敗北は必至。
だから、今度はこちらから仕掛ける。
ガギュゥウ〜〜〜ンッ
ジョスィフ、慈円(「ゲホフォアアッ!?」
常軌を逸したスピードは敵を巻き込んで吹き飛ばす暴力となる。
與鷹(「ダメだ……あのスピードには対応できない……」
最早このヴァルカナ争奪戦、U(シレントワイザードの一人勝ちなのか!?
姜馬((どうする……奴のスピードを上回ることは流石に……)
上総介(いや、お前らには別の任務がある)
この状況を打破するべく思想に耽る姜馬(だったが、総介がそれを止める。
姜馬((別の任務!?)
総介(そうだ……おそらくこの戦いは陽動……奴に釘付けにさせて、別動隊がヴァルカナを確保する……)
姜馬((まさか!?)
総介(そして、そう考えているのは俺たちだけではないはずだ!)
ノース光輪結社、大神の降真靈(に負けないためにも、こちらも別動隊を使う必要があるのだ
続
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