Eighter -Scarlet Nocturne-
40ther 〜白虎と魔狼の終局 A〜



#0
 ヴァルカナ争奪戦……それを裏から操る組織、《ザ・テンペスト》
 その拠点がイングランドにあることは分かったが、同時に迂闊に手出しできないことも分かった。
 ……それはさておき、今日もヴァルカナ争奪戦は行われる。

#1
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
梓與鷹(よたか)(やはり、あの薙刀は金谷局(かなたに・かぎり)が持っていたものだったか……)
 ある日、與鷹(よたか)は考えに耽っていた。
 ……かつて九星団というEighterの前に立ちふさがった組織があった。
 そのメンバーの一人が刀身に桜の花が描かれた薙刀を操る金谷局(かなたに・かぎり)であった。しかし、九星団が瓦解したのち、彼
女の行方は杳として知れなかった。
 あるいは、既に死亡しており、あの薙刀は形見なのかもしれないが、憶測だけでは天音(あまね)シアの正体が金谷局(かなたに・かぎり)だと
確定できない。
與鷹(よたか)「そして、もう一つ……俺のことを……いや、Eighter(俺たち)の中から誰かを探しているようなバーベラエ……」
 姜馬(きょうま)曰くバーベラエと言うのは蘆薈(あろえ)の最大品種、アロエ・バーベラエからとってつけたコードネームなのではな
いかと言う。
 なお、そんな経緯を聞いた途端、あろえが冷や汗をだらだら流しながら休暇を申請してきたのは記憶に新しい。
與鷹(よたか)(バーベラエとあろえとの間に何が?!)
 まぁ、余計な詮索はしない方が得策だと思うので、放置しているが、向こうがあろえを探しているのであれば、
逃げたところで無意味なのかもしれない。
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「おっしゃ〜、野郎ども!今日も楽しいヴァルカナ争奪戦の時間だ!」
 と、その時、ドアを勢いよく開けて梶太郎(かぢだろう)がやってくる。
一同「お前は人生楽しそうでいいな……」
古畑呂司(りょうじ)「やっぱり《ザ・テンペスト》の連中がヴァルカナを配置していってるんだよな?」
(かみ)総介「あぁ、おそらくユーサーがな……」
一同「なっ!?」
 総介の発言にびっくり仰天。
総介「おそらく奴の幽闘術の本質は、森羅万象全ての無効化……その特性で突如として世界にヴァルカナが出現す
る」
新田姜馬(きょうま)「なるほど、奴は拠点防衛の他にヴァルカナの管理を任されているということか……」
 だから、ヴァルカナは突如として世界に出現する。
※最も、これは総介の推測であり、それが本当に正しいのかはまだ分からない。

#2
梶太郎(かぢだろう)「で、今回の場所は……えぇと、なんだっけ?」
山咲桜「イタリアのシチリア、エトナ火山付近です」
梶太郎(かぢだろう)「それだ!」
一同(駄洒落かよ!)
 あまりのしょうもなさに心の中で突っ込みを入れる一行。
桜「エトナ火山はギリシャ神話とかローマ神話とかでいろいろ伝説が残っているようですね」
 例えば風の神が風を閉じ込めた洞窟があるだの、鍛冶神が炎の神を追いだしただの、噴火の原因は山に封じ込め
られた魔獣のせいだの……
姜馬(きょうま)「そんな伝説が残っているということは……それなりの理由がありそうだな……」
 それはさておき、一行はイタリアへと足を運ぶ

総介「さて、エトナ火山だが、少し前にも噴火したことがある活火山であることを忘れるな!」
呂司(りょうじ)「うへぇ……マジかよ!?」
 そんな中、梶太郎(かぢだろう)だけが頭にハテナマークを浮かべているようなご様子。
 仕方がないので、下手に刺激すると噴火……はしないかもしれないが、とにかく、気を付けないとヤバい場所な
んだよってことを伝えておく。
梶太郎(かぢだろう)「ヘッ、火山如きに後れを取るような双虎拳ではないわ!」
一同「その無駄に根拠のない自信はどこから出てくるんだよ!」
 思わず盛大に突っ込む一行であった。
*「おるぁあああ!」
 ズドオンンッ
 と、そんな時、突如何者かが襲い掛かってくる。
 しかし、そんな不意打ちで倒されるような一行ではなく、散開して距離を置き、襲撃者を確認する。
與鷹(よたか)「お、お前は!?」
 襲撃者は與鷹(よたか)を殺すことだけを人生最大の目的にしているイカれた拳法家、天宮裕(あまみや・ゆたか)であった。
天宮裕(あまみや・ゆたか)與鷹(よたか)!今日という今日こそは貴様を殺す!」
與鷹(よたか)「チッ、いつか来るだろうとは思ったが……」
梶太郎(かぢだろう)與鷹(よたか)、先に行け!ここは俺が何とかする」
一同「はい?!」
 すぐさま臨戦態勢を取ろうとする與鷹(よたか)を止めるのは梶太郎(かぢだろう)與鷹(よたか)「お前、何を言って!?」
梶太郎(かぢだろう)「奴には借りがある……ここで返しておくのも一興」
(ゆたか)「てめぇ……双虎拳如きに用はない、そこをどけ!」
梶太郎(かぢだろう)「ヘッ、だったらご自慢の双狼拳で倒して見せろや!」
與鷹(よたか)「お前……」
 まさか死ぬつもりか!?と梶太郎(かぢだろう)の正気を疑う與鷹(よたか)だが、梶太郎(かぢだろう)は至って真面目の模様だ。


続

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