Eighter -Scarlet Nocturne-
34ther 〜黄泉国(ヨモツクニ)へ繋がる島 A〜



#0
 ヴァルカナ争奪戦は今日も続く。
 果たして、世界にはあとどれだけのヴァルカナが眠っているのか……
 そもそも、眠っているという表現は正しいのか……それは、今はまだ誰にも分からない。
 ただ、一つだけわかっていることは、ヴァルカナ出現の報が出た時、闘いの火蓋は切って落とされるということ
だ。

#1
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「行くぜ野郎ども!ヴァルカナ争奪戦の時間だ!」
 最早何度目になるかは分からないが、今日も今日とて梶太郎(かぢだろう)は楽しそうだった。
(かみ)総介「場所は鹿児島。既に足は用意してる」
シーゼロ「……はぁ、もう、どこにでも連れてってやるから好きにしてくれ……」
 タクシー代わりに使われることに対しては、最早諦めの境地に至った自衛隊海軍特務もそこにいた。
梓與鷹(よたか)「鹿児島……か……」
 この前は小笠原諸島の南端近くにあるSアイランドに出向いたのだが、Sアイランド……硫黄島は実は東京だけの
ものではない。
※その言い方は何か違う気がするが……
 そう、鹿児島にも硫黄島は存在する。通称『薩摩硫黄島』。與鷹(よたか)は内心、まさかに連続で硫黄島ってことはない
よな?……と、そんなどうでもいいことを考えていた。
梶太郎(かぢだろう)「今回もよろしく頼むぜ相棒」
 バシバシと姜馬(きょうま)の肩を叩く梶太郎(かぢだろう)。(例によって例の如く総介が連れてきた)
新田姜馬(きょうま)「いつ相棒になったんだ?と突っ込みたいのはやまやまだが、まぁ、いい」
古畑呂司(りょうじ)「えぇ!?いいんですか!?」
 良いか悪いかで言えば良くはないが、何か言い返したところで蛙の面に水になるのは明白なので折れる姜馬(きょうま)。

総介「ヴァルカナの反応があったのは鹿児島は薩南諸島、上三島のあたりだな」
山咲(やまざき)桜「ちなみに上三島なんて島は実際には存在しません。竹島、薩摩硫黄島、薩摩黒島の三つをまとめて上三島
と言うんです」
與鷹(よたか)(マジかよ……二連続硫黄島!?)
 移動がてら、総介や桜が語る中、與鷹(よたか)はそんなどうでもいいことを思っていた。
呂司(りょうじ)「それはいいとして、ヴァルカナ争奪戦は一体いつまで続くんですかね?」
総介「知るか、そんなものはアドラにでも聞いてくれ」
呂司(りょうじ)「誰だよ、そいつ」
 いきなりそんな名前を言われても、さっぱり訳が分からない呂司(りょうじ)であった。

#2
桜「私もあまり詳しくはないのですが、それでもいいですか?」
 誰もアドラのことを説明しなさそうなので、桜が代表して説明を開始。
呂司(りょうじ)「ええと……遠慮します」
姜馬(きょうま)「どんな些細なことでもいいからアドラについて話せ!」
呂司(りょうじ)「ですよね、俺も聞きたいって思っていたところなんです!」
※このイエスマンは……
 と、言うわけで。有嗎幇(ユーマハン)の二人はアドラについての説明を受ける。
 そんな間に、一行は上三島の一つへと上陸する。
與鷹(よたか)「……おい、総……あそこにいるのはもしかして……」
 島に到着して、すぐに與鷹(よたか)は知人を発見する。
 布でぐるぐる巻きになった櫂を背負う漢を、與鷹(よたか)交喙(いすか)以外に知らなかったので間違いようがない。
元人交喙(いすか)「よぉ、與鷹(よたか)……てめぇらも鬼界島の噂を聞きつけてやってきたのか?」
與鷹(よたか)「いや、そういうわけじゃないが……」
総介「なぜ貴様がここにいる?」
交喙(いすか)「あぁ?それはこっちのセリフだボケ!」
 総介と交喙(いすか)は仲が悪い。よって総介と交喙(いすか)の二人が交差する時、喧嘩は始まる。
與鷹(よたか)「ちょっと待てって二人とも……」
 この二人が出会えばこうなるのは百も承知なので、與鷹(よたか)はすぐさま仲裁に入る。

梶太郎(かぢだろう)「で、なんだ?そのキカイ島ってのは?」
桜「鬼界島……薩南諸島にあると言われている島のことですね」
交喙(いすか)「ちっちっち、違うんだな、実際にあるんだよ、鬼界島ってのが」
與鷹(よたか)「鬼じゃなく喜って漢字の喜界島の間違いじゃなくて?」
 実際に喜界島は鬼界島なのではないかという噂が囁かれているが、信じるか信じないかはあなた次第です。
交喙(いすか)「ちょっと俺について来い。お前らに説明してやる」
 交喙(いすか)に島で一番の展望台に連れていかれる一行
呂司(りょうじ)「こんなところに何があるって言うんだ?」
交喙(いすか)「西に見える島が薩摩黒島だ!」
一同「はぁ……」
交喙(いすか)「続いて東に見えるのが竹島」
一同「……で?」
交喙(いすか)「そして、北に見えるのが……」
梶太郎(かぢだろう)「俺達を馬鹿にしてるのか、薩摩硫黄島ってヤツだろ」
姜馬(きょうま)「ちょっと待て待て待て、それはない。おかしい!」
梶太郎(かぢだろう)「あぁ?何がおかしいってんだよ」
與鷹(よたか)「はっ、そうだ!俺たちが今いる場所が薩摩硫黄島だ!」
 自分たちが上陸した島から海を挟んで自分たちの上陸した島が見えるわけがない。ならば、あの島は!?


続

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