Eighter -Scarlet Nocturne-
32nder 〜孤島に眠る影社札(ヴァルカナ) C〜



#5
(かみ)総介「やはり、いるな……」
 井戸の地下に広がる洞窟……その奥の闇をじっと見つめて総介が呟く
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「いるって何がだ?」
古畑呂司(りょうじ)「いや、ここまで来たらヴァルカナを狙う奴ら以外にいなくないか?」
梶太郎(かぢだろう)「もしかしたら影って可能性もあるだろ?」
一同「お前はマンガの見過ぎだ!」
 メニータイム突っ込み連打である。

星露(シンルー)・ユピテルメア「くたばれクソ兄貴ィ!」
弥如(びぎん)「懲りないな、愚妹よ……」
 そして、奥では既に戦闘が始まっている。
クラウド・ノシュケー・マルーメ「やはり、貴様らも来ているか……」
梶太郎(かぢだろう)「当然だボケ!」
新田姜馬(きょうま)「貴様らにヴァルカナを渡さないために俺たちはここにいる」
梓與鷹(よたか)(どうやら今回もあいつはいない……か……)
 裕の気配はない。まだ療養しているということか、それとも……だが、今はそれを考えている場合でもない。
クラウド「是非もなし……これもまた当然か……イエスキリストノータッチ……ならばここで死ね!」
 叫ぶと同時に幽闘術、螺旋の相克(スパイラル・エア)を発動。ぐるんぐるんと回転しながら襲い来る
御御脚(ユウ・ユウジャオ)「断ル!」
 ガガガガガガッ
 そんな剣の竜巻を同じく幽闘術、甲蟲と炎雷(ヒート・メタル)を駆使して腕でガードする御脚(ユウジャオ)呂司(りょうじ)(しかし、奴らはどうやってここへ?)
 ヴァルカナを巡ってここまでやってきた四つの組織が激突する中、ふとそんな疑問が頭を過ぎった。
 日向(ひゅうが)海軍研究所、その出入口はいくつかあるのだろうが、しかし、洞窟への入口、井戸で鉢合わせてもおかしく
はない。
 いや、こうして少し出遅れていた今となっては絶妙な時間差で鉢合わせなかったのだとしても、そんな偶然が果
たしてあるものだろうか……
姜馬(きょうま)(ここは天然の洞窟。ならば、どこか別の場所から入り込むことができても不思議ではあるまい)
 だが、そんな疑問もスパっと論破される
※いや、論破って……
梶太郎(かぢだろう)「おい、俺は誰を倒せばいいんだ?」
與鷹(よたか)、総介「後ろだ!」
梶太郎(かぢだろう)「あぁ?」
ジョスィフ・クロード「チッ、気づいていやがったか!」
 背後から襲い掛かるジョスィフ。しかし、不意打ちは失敗に終わる。
 当然だ、與鷹(よたか)、総介がそんな刺客に気づかないわけがないのだから。

#6
 さて、ここで死合は因縁の兄妹対決へと戻ります。
弥如(びぎん)「愚妹よ、お前に勝ち目はない」
星露(シンルー)「なめるな、クソ兄貴!」
 ヒュカカカッ
 パパパシッ
 苦無を投げつけるも、涼しい顔で片手で全て受け止める弥如(びぎん)弥如(びぎん)「やれやれ……では愚妹にも分かるように教えてあげましょう。お前如きでは絶対に私に勝てないその理由を
……」
 両手を広げてやれやれって感じのポーズをとる弥如(びぎん)。妹でなくてもムカつくポーズだ。
弥如(びぎん)「一つは幽闘術です。愚妹の使う幽闘術は対召喚呪術に特化したエクストラスキル……故に幽闘術相手では役
に立たない」
星露(シンルー)「クソ兄貴!どうしてそれを!?」
弥如(びぎん)「この世に兄より優れた妹など存在しない。そういうことですよ」
※いや、どういうこと!?
弥如(びぎん)「そして、もう一つは単純に実力差……」
 言葉の刃が星露(シンルー)を深く傷つける。
 そもそも、今の言葉の後でさっきの『兄より優れた妹はいない』と言ってあげろよ
星露(シンルー)「黙れぇ!クソ兄貴!」
 激昂すると同時に背中に背負いし巨大な手裏剣を手に取る星露(シンルー)。
 その巨大手裏剣は真ん中の部分にロープが付いていてそこを掴んでぶん回すことができる代物であった。
※ってか、どう考えてもブレイ〇ブレイドのラ〇デなんですが、それは……
 ザグンッ
 ブシュ〜〜〜
 ラ〇デ(もどき)弥如(びぎん)を袈裟切りに両断する……かに思われたが、噴き出るのは血ではなく、影。
 そう、弥如(びぎん)の幽闘術、影に生き影に逝く哉(シャドウ・ハウス)だ。
星露(シンルー)「クソ兄貴ぃ!」
 ラ〇デ(もどき)をぶん回し、シャドウを散らす。しかし、いくらシャドウを散らしたところで弥如(びぎん)にダメージは与えら
れない。
 完全な悪循環であった。
 ビシュッバシュッ
星露(シンルー)「ぐっ……」
 それだけではない。弥如(びぎん)の方はシャドウを使って星露(シンルー)に攻撃が可能だった。もはやこの死合、勝負にならない。
弥如(びぎん)「このまま続ければ、死にますよ?愚妹?」
星露(シンルー)「クソ兄貴!忘れたのか!忍びとは死を前提に作戦を立てる存在!例えここで私の生命が尽きようとも、クソ
兄貴を殺すことができればッそれは私の勝利ッ!」
弥如(びぎん)「だから、俺はッ咲魔(サイタマ)が……忍びが大ッ嫌いなんだよッ!」
 それは弥如(びぎん)の魂の叫びだった。


続

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