Eighter -Extra Voyage-
39ther 〜緊縛強盗の大失態〜



#0
 前田松子(しょうこ)……『盲目の松』の異名を持つ心眼剣客。……こんかいはそんな彼女が緊縛強盗と邂逅したと言う事件
の顛末を綴ったエアリーズ
※エ『アリ』−『ズ』じゃなく、エ『ピソ』ー『ド』……ガンダムWに出てきたMS?

#1
 最近巷を騒がせる緊縛強盗……
 緊縛強盗とは……説明するまでもないとは思うが、一応説明すると『人を目隠しやロープでぐるぐる巻きに後に
強盗稼業を働くもの』という特徴があり、その恐ろしさは目隠しをされているという暗闇の中、何をされるのかが
分からないという点であり、また、目隠しをされているから声以外に犯人を特定できる証拠がないという犯人側の
メリットもある……
 天四斗、某所
*「へっへっへ……今度のエモノはあの家だ……」
*「お!サクっといっちゃおうぜ……」
 そして……今回、また緊縛強盗を行いに2人の漢がある屋敷へと忍びこむのだが……

*「女……着物を着た女が1人……それだけです……」
 ちょっとした偵察を追え、犯人の1人がリーダーに告げる
*「フン……とっとと仕事にかかるぞ……」
 と言うわけでいつものように目隠しをしてきっこ……じゃなくってグルグル巻きにする2人……そして……
*「おらぁ!起きんかい!!!」
 ボカッ
 一発殴る
*「……何……?これ!?……」
 目隠しをされ、ロープでぐるぐる巻きにされていることに気が付く彼女
*「フフフフフ……」
*「さぁて……死にたくなかったらとっとと金庫の暗証番号を言うんだ!それとも……指の1本や2本無くすかぁ?
うん?」
*「……」
 しかし、男2人の脅しに無言のままの女性
*「オイ!てめぇ!こちとら本気なんだよ!指を無くしたいか!!!」
 ガッと床に何かを叩きつけながら叫ぶ漢……しかし、彼女は動じない……
*「……ウソですね……あなたたち……」
*「はぁ!?」
*「なぁ〜〜〜〜にがウソだぁ!!」
 ……しかし、この時犯人2人は……重大な過ちを犯していたのだ……

#2
*(兄貴……やっちゃいましょうぜ……)
*(おう……そうすっか……)
 仕方無い……ここまで虚仮にされたんじゃあ、本当に指の一本でもなくしてもらおうか……と犯人の2人は動き
出す……
*「さぁ〜〜〜〜とっとと言わねぇと本気で指を……」
 ヒュッ
 グリンッ
 バカンッ
*「おごはっ!!?」
 近寄る漢に対して、手足を縛られたその女性は自分の間合いに入ってくるなりお尻を軸に回転し、変則回し蹴り
犯人の1人を弾き飛ばす
*「このっ!?」
 ゴアッ
 ブツンッ
 更に、背後から忍び寄る漢……降り降ろされた刃物で手を縛っていたロープを斬りほどく
*「なっ!?」
 ガッ
 ズドムッ
*「あがああ!!?」
 呆気にとられた隙に腕を掴まれ投げ飛ばされる漢……
*「こっ……コイツ!!?」
 ……そう……犯人2人はあろうことか、前田家に忍び込んだのだ……
 ここの家主の彼女とは言うまでもなく前田松子(しょうこ)……そして、彼女は自ら視覚を封じ、さらなる力を得たという侍
……『盲目の松』の名は伊達じゃない……
 そう……もともと、視覚に頼ることのない彼女に緊縛強盗など無意味だったのだ……
※と、言うか、松子(しょうこ)ほどの手練れなら例え寝ていても忍び寄る視覚には即座に反応するんじゃないんですか!?
 とかいう突っ込みはありますが……それだったら始まった途端に話が終わっちゃうんで……
 プツッ
 しゅるしゅる……
 そのまま松子(しょうこ)は目隠しをされたまま何事もなかったかのように脚を縛っていたロープを解き、常に傍らに置いて
いた千寿院村正(せんじゅいんむらまさ)を手に取る
*「ア……アニキ……」
*「……まさか……まさか……家の前にあった『前田』の表札……」
 そして、ここで、ようやく2人も失態に気が付く
前田松子(しょうこ)「運が悪かったですね……」
*「ひ……」
 そのまま逃げだそうとする犯人……しかし、それを逃すわけがない松子(しょうこ)
 ドガンッ
 ベキンッ
*「がっ!?」
*「へぶっ!!」
松子(しょうこ)「大丈夫です。峰打ちですよ……」
 ……ちなみに、松子(しょうこ)の峰打ちというのは……いや、松子(しょうこ)だけに限らないのですが、かなりの手練れですのでそれ
なりに防御をしている者を相手にした場合の峰打ちでして……素人が相手だと骨に(ヒビ)が入ったり、最悪折れちゃっ
たりします。
※そして、明らかに骨が折れた音が先ほどしたのだが……

 そして、そのまま松子(しょうこ)は颯爽と緊縛強盗をぐるぐる巻きにしてサツへと引き渡す
 富山県、富山県警
(かみ)総介「フン……傑作だな……」
警官「へ!?何がです!?」
総介「目隠し(緊縛)しても意味のない盲目の松に緊縛強盗が押し入った……当然ゾクは返り討ちが必定……」
一同「は……はぁ……」
 と、言うわけで馬鹿な緊縛強盗は返り討ちにあったのであった……
 本日の教訓としては、緊縛強盗も、押し入る相手を選びましょう……もし、相手が盲目だった場合、返り討ちに
逢いますよ……と……
※いや、ちょっと待って……何故犯人側を応援するようなシメなの!?


END

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