Eighter -Bizarre Investigate-
57ther 〜○○スマホは撃滅〜



#0
 歩きスマホ……それは事故の元となるため注意喚起が行われいるが、しかし、ゼロにはないっていない。
 アメリカでは既に条例で罰金が科せられるほどである。
 そして、これは○○スマホに纏わる事件簿である。

#1
 東京都、某所
 ある日、デパートに強盗が現れジュエリーショップ店員を殺害、末端価格にしておよそ数千円相当の宝石が盗ま
れるという事件が発生した。
※末端価格ってそんな感じで使う言葉なのか?
 ジュエリーショップの隣に店を構えていたランジェリーショップの店員は異変を知るや否やすぐさま警察に通報
したのだが、しかし、警察がやってきたのは事件が発生してから数時間後のことだったという。
 時すでに遅し……とは正にこのことであった。
警官「巡令(めぐれ)警部……犯人は掃除機のようなもので宝石を吸入して奪い去っていったようです」
 ル○ン三世か!
警官「巡令(めぐれ)警部!……防犯カメラの映像によりますと犯人は二人組。警察が到着するよりも前に窃盗(こと)を終え、逃走
しているようです」
巡令樹留(めぐれ・きりゅう)「入念な準備を行った上での犯行ということか……」
 ここで予め断っておくがこの時点では誰も、まさか事件発生から既に数時間が経過しているとは思っていない。
 それはつまり、警官の誰かが意図的に事実を隠しているということに他ならない。

 警視庁
樹留(きりゅう)「あ〜、ではこれより事件について捜査を開始する。犯人は極めてスピーディーに宝石を盗んでいったことか
ら何度か窃盗の経験がある犯行グループと推測する」
警官「巡令(めぐれ)警部!大変です!」
 と、そこへ一人の警官が勢いよくドアを開けて入ってくる
樹留(きりゅう)「どうし……」
警官「(かみ)警部が……来ています!」
一同「な、なんだって〜〜!?」
 総介の突然の来訪にまるでこの世の終わりが来たかのように慌てふためく警官一行であった。
(かみ)総介「貴様らは一体何をやっている?」
樹留(きりゅう)「これは、(かみ)警部……一体どうしてここへ?」
総介「対応が遅い!」
 総介はただ一言告げる。一行は(かみ)警部の背後に天狗の仮面をつけた人物の幻影を見た。
樹留(きりゅう)「し、しかしですね、相手は我々が到着するよりも早く強盗と逃走を行うという極めてスピーディーな連中で
して……」
総介「ほぉう、数時間をスピーディーとは、どうやら俺とお前との間では時間の流れが違うようだな」
 総介の言葉に巡令(めぐれ)警部の頭上はハテナマークで埋め尽くされた

#2
山咲(やまざき)桜「では、改めて問いますね。事件発生から数時間後に現場に到着した理由は何ですか?」
樹留(きりゅう)「なっ、そんな話は聞いてないぞ……」
警官「あの〜〜……巡令(めぐれ)警部……そのことなんですが……」
 誰も指摘しないんで俺が間違っているのかと思って黙っていたんですが、鑑識の結果、ジュエリーショップの店
員は死んでから数時間たっていたとの報告がありまして……と続ける
一同「な、なんだって〜〜!?」
 この時、一行は理解する。事件発生から数時間経っていたということに……つまり、この事件は手際がいい犯人
によるものなんてとんでもない。
 警察の対応が遅すぎただけだと……
警官「そういえば、事件当時、デパートの近くにいた奴らに現場に向かうように指示したら伝説のポケ○ンがどう
のとかで盛り上がっていたような……」
警官「バカッ!」
警官「し〜!し〜!」
 ぽつりと漏らす一人の警官の発言に、二人の警官が異常なまでに騒ぎ出す。
警官「全く、職務中にこっそりとゲームをやっているとは警官の風上にも置けない野郎だな」
 ピギュ〜ン、ピギュ〜ン
 とか言いつつ、その警官はこともあろうに堂々と職務中にゲームをやっていた。しかも一人だけゲーミングチェ
アに座っているという肝の据わりようだ。
一同「いや、職務中に堂々とゲームをやってるお前にだけは言われたくねえよ!」
 ってか、誰か突っ込めよ!と一同は心の中で思った。
 人間、誰しもこそこそ隠れて何かをやっているから怪しまれるのであって、堂々とゲームをやっていると逆に怪
しまれないものだ……とそいつは叫んだ。
※いや、限度がある!
 さておき、騒ぎ立てていた二人はそれぞれ名を魯佐野(ろさの)類、御競襟矩(みせる・えりく)と言った。
総介「つまり、職務中にゲームに夢中になって犯人を取り逃したと?」
 ギロリと総介が二人を睨みつける。
魯佐野(ろさの)類「ち、違います!(かみ)警部!」
御競襟矩(みせる・えりく)「我々は……そう!スマホで情報を入手していたんです!」
桜「プレイしているゲームの?……ですか?」
類、襟矩(えりく)「ぎくりっ」

#3
 ポケ○ン グランドオーダー、通称ポ○モンGO。それは世界で一番プレイされているソシャゲと言っても過言で
はない。
※唐突に何が始まったんだ?と思わますが、少しだけ付き合ってください。
 二人がハマっていたのはそれだ。このゲームは全国各地を巡ってポケ○ンを捕獲したり、他のトレーナーと戦わ
せたり、要らないポ○モンを押し付けあ……ン、ゴホン、交換したり、時には協力してレイ○ポス……もとい、レ
イドボスを倒したりするゲームである。
 ジムと呼ばれる施設でリーダーを倒すことよって得られるバッジの数によって(以下略)
 つまり、何を言いたいかというと、中にはあたかもスポーツジムに通っていると思わせてこのゲームのジムに挑
戦していると言い出すプレイヤーもいるということだ。
 事件当時は奇しくも伝説のポケ○ンとのレイドバトル。しかも色違いと来ればこれはもう参加するしかなく、二
人も事件そっちのけでゲームに興じていた結果、強盗を取り逃がしてしまったのだ。
 二人は懲戒免職処分になったのは言うまでもないことだが、もし、ゲームに興じず現場に駆けつけていたら、も
しかしたら死者は出なかったかもしれなかったというから後味が悪い。
 本日の結論、職務(中に)スマホ(で遊ぶことは)は厳罰対象である。


END

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