Eighter -Bizarre Investigate-
58ther 〜法曹界部(ヒュッケバイン)ボクサー〜



#0
 法曹界……それは裁判の世界。
 そしてこれは法曹界を激震(?)させたある男の事件を綴った物語
※法曹界部はヒュッケバインなどと読まないし、ましてや法曹界部(ヒュッケバイン)ガンナーなんてのも出てきません。

#1
 東京都、港区虎ノ門
 ここに二人の男がいる。
 一人は六法全書を片手に戦うプロのボクサー、大番全騎(おおばん・ぜんき)。
 一人はシャドーボクシングをしながら相手を論破する異色の弁護士、雷武羅(らいぶら)シャカ。
 明らかに互いの天職を間違えたんじゃないかと思われる二人は、数奇な運命の中にあった……いや、残酷な運命
の中にあった。
雷武羅(らいぶら)シャカ「ぎぃえあああ!?」
一同「な、なんだ!?」
 突如響き渡る男の悲鳴。
 駆けつけるとそこには血まみれの股間を両手で抑えて悶え苦しむ一人の男の姿があった。
*「お、おい、誰か早く救急車と警察と消防車を!」
*「お、おう、すぐやる」
 いや、消防署に連絡は要らんだろ……

警官「巡令(めぐれ)警部……ホトケは雷武羅(らいぶら)シャカ。シャドーボクシングをしながら相手を論破することで有名
なあの弁護士です」
※ホトケとか言ってますが、彼はまだ死んでません。
巡令樹留(めぐれ・きりゅう)「フム……」
警官「ホトケは股間を巨大な鋏のようなもので切り取られて意識不明の重体です」
樹留(きりゅう)「おい、ちょっと待て……ってことはまだそいつは死んでないじゃねぇか!」
一同「あ、本当ですね……」
警官「いや、巡令(めぐれ)警部。彼は男性としては死んだも同然です!」
樹留(きりゅう)「物理的に死んでねぇだろうが!」
 真面目な顔をして報告する警官に盛大に突っ込む巡令(めぐれ)警部なのであった。
警官「それで、巡令(めぐれ)警部……聞き込みを行っていたのですが……なんでも雷の呼吸をけなされた恨みとかなんとか
いう争いがあったらしいです」
樹留(きりゅう)「意味が分からんな……」
 鬼滅トークがヒートアップし喧嘩になってこの事件が起きたとでもいうのか!?
 しかし、聞き込みを続けているとそれが大いなる間違いであることがわかった。
どうやらホトケ(だからまだ死んでない)は『我が妻を暴行した恨みでお前を処す』と攻め立てられ、イチモツを
切り落とされたようなのだが、それを無能警官が『我が妻』と『我妻(あがつま)』を聞き間違えて勝手に『雷の呼吸』と解釈
したようだった。
巫山戯(ふざけ)た話である。

#2
 警視庁
警官「巡令(めぐれ)警部!監視カメラに現場から立ち去る一組の男女の姿が映し出されていました」
警官「それが何と!六法全書を片手に戦うプロのボクサー、大番全騎(おおばん・ぜんきく)だったんですよ!」
樹留(きりゅう)「なんだと!?」
 では、もう一人の女性というのは……と巡令(めぐれ)警部が問うと、その警官はこう答える
警官「大番(おおばん)浪子……彼の奥さんです」
 と、いうわけで一行は早速大番全騎(ぜんき)が所属するボクシングジムへと向かうのであった。

大番全騎(おおばん・ぜんき)「でぇりゃあ!」
 ドコドコドコドコッ
 六法全書の角で激しいスパークリングの真っ最中な大番全騎(ぜんき)……ひとまず一段落するまでそれを待ってから話を
切り出してみる。
全騎(ぜんき)「何の用ですか?」
樹留(きりゅう)「先日、虎ノ門のとあるビルで痛ましい事件があったのを知ってますか?」
大番(おおばん)浪子「その件でここへ来たというわけですか……でしたら答えましょう。あれは正当防衛です」
一同「いやいやいや……」
 明らかに過剰防衛じゃないですかと警官一行は心の中で突っ込んだ。
全騎(ぜんき)「警部さん、あいつは浪子が俺と結婚したことが気にくわなかったらしく、浪子にしつこくまとわりついてき
たんだ……」
 事件当日も、二人で虎ノ門に食事に行っていたら突如巨大な鋏を逆手に襲い掛かってきたんだと語る全騎(ぜんき)
全騎(ぜんき)「六法全書がなければ死んでいた」
 と、鋭利な刃物が突き刺さった痕の残る六法全書を見せつける全騎(ぜんき)。
浪子「そして、二人がもみ合った末にチョキンと……」
 いや、コントじゃないんだからそう都合よくイチモツをちょん切れるわけがないだろうが!
 しかし、巡令(めぐれ)警部ら一行は、では仕方ないですね……と正当防衛を認める構えを見せ始める
(かみ)総介「そんなわけないだろうが!馬鹿野郎!」
 しかし、そうは問屋が卸さない。
一同「かっかかかかかかかっかかかっ(かみ)警部ぅ!?」
山咲(やまざき)桜「もみ合った末に……と、いうことは彼は最初から下半身丸出しだったということですか?」
一同「はっ……た、確かに……」
浪子「あ、あいつは、私をブチ犯そうと……ズボンをおろして襲い掛かってきたんです」
総介「鋏をもって襲い掛かってきたのではなかったのか?」
浪子「ええと……そ、そうよ、鋏で服を切り裂いて私を辱めようと……」
桜「鋏を逆手に握って、ズボンを片手でおろして、ですか?」

#3
浪子、全騎(ぜんき)「そ、それは……」
 聞けば聞く程に辻褄が合わなくなっていく
総介「話は署で聞かせてもらおうか!」
全騎(ぜんき)「くそっ、こんなところで捕まってたまるか!死ねぇ!六法全書アタック!」
総介「フン、馬鹿が!」
 スパァンッ
全騎(ぜんき)「え!?」
 しかし、総介の蒼王の刃(ブルーロード)が閃き、六法全書が真っ二つに
 これには全騎(ぜんき)も浪子も両手を挙げて降参。そのまま連行されることとなった。

 その後の取り調べの結果、事件当日、シャカは二人の結婚が未だに納得できないと襲い掛かっては来たものの、
鋏を使って攻撃を繰り出したのは全騎(ぜんき)の方だったという。
 凶器の鋏は事件現場にたまたま落ちていたというが、しかし、なぜそんな場所に鋏が落ちていたのかは終ぞ分か
らなかった。
※えぇ!?そんな終わり方でいいの!?

 ちなみに、余談だが宦官となってしまったシャカは義男根生活を余儀なくされたという
※いや、義男根生活ってなんだよ!


END

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