#0
 人を殺すのが生業の人物、集団を殺し屋という……だが、彼らは殺人犯でもある……だったら……殺人をしない
殺し屋は……どうなのか！？……これは、そんな漢の生きざまを綴った事件簿である。

#1
　東京都、某所
＊「楽円(たのし・まどか)さん、あの噂は本当なんですか！？」
＊「息子さんが暴走族に入っていて……」
＊「かつ、殺人事件を起こし……」
＊「警察上層部に圧力かけてもみ消したってな噂……」
　ざわざわざわととある屋敷の前に群がるマスコミ
楽円(たのし・まどか)「ハハハハハ……何を言ってる？そんなもの、噂ですよ、噂……」
　笑っているものの……どこか顔が引き攣っている円(まどか)
＊「ですよね〜〜、遺族に訴訟されることを恐れて一家惨殺したなんてのもウソですよね〜〜〜」
円(まどか)「……」
　笑顔が凍りつく円(まどか)……そのまま重い沈黙が訪れる……
　その後、円(まどか)はぽつぽつと犯行を自供し……こうして、事件は警察をも巻き込んで大いに問題になったりしたのだ
が……それは、今回とは別の話である。

　東京都、警視庁
警官「ウチらの上層部が隠滅ねぇ……」
警官「あ〜〜あ……ヤだねぇ〜〜〜」
　楽円(たのし・まどか)と警察上層部とがつるんで事件を起こした……そのことで警視庁は騒然となっていたのだが……
上(かみ)総介「ムダ口叩いているヒマあったら仕事をしろ！仕事を！」
一同「ヒッ！上(かみ)警部ッ！！」
　総介が檄を飛ばし、鎮静を図る
総介「お前ら弛み過ぎだ！！……何だ？この調書は！」
　バムッと無数の調書を叩きつける総介
警官「……あの、何か不備でも！？」
　警官が恐る恐る聞いてみると……総介は怒りを露わにして叫ぶ
総介「『何か不備でも！？』……だと！？このバカものが！何が『証拠は運の女神』だ！貴様らそんなんで事件を
解決に導くな！！」
警官「しかしですね、世の中不可解な事件が多すぎますよ……」
総介「ハッ、四六時中不可思議な事件が起こるか！！」
警官「いや……しかし……」
山咲(やまざき)桜「警部……」
　そんな馬鹿らしいやりとりが行われていると、そこへ桜が参上。
総介「ん、分かってる……」
　桜の呼び声にそそくさと外出準備をする総介。これには一同も、ようやくこの地獄から解放される……と少しば
かり喜んでいると……総介は叫ぶ
総介「お前ら全員、この調書を作り直しだ！……もし、俺が帰ってくるまでに仕上がっていなかったら……解雇処
分とする」
一同「ヒィイエアア！！」
　ぬか喜びに万歳……な警官一同であった……
総介「どうした？返事は？」
一同「イ、イエッサー！！」
　ビシっと一同が敬礼したのを確認すると、総介は外出する

#2
総介「殺さない殺し屋……関飛劉水明(せきとる・みあきら)か……」
桜「その漢が……何か？」
総介「……殺人をしない殺し屋だ……人殺しをしなくてもイヤなヤツを抹殺できるってなことで最近人気が出てき
ているらしいがな……」
桜「……物理的に殺すのではなく、スキャンダルなどを暴き、社会的に殺している……んですね」
総介「ああ、そういう意味で、奴は殺し屋だ……」
　今の世の中、殺人は犯罪……しかし、殺したいほどに憎い存在がいるのもまた事実……そこに現れたのがこの漢
関飛劉水明(せきとる・みあきら)……相手の社会的信用を失墜させ、死んだも同然にする……殺しはしないので、ここ最近、急速に人気
が上昇しているのだ……

　で、そのころの関飛劉水明(せきとる・みあきら)は……
　天四斗、関飛劉(せきとる)事務所
関飛劉水明(せきとる・みあきら)「フム、今回の依頼もなかなかうまくいきました……」
TVを見ながらしゃべる水明(みあきら)、そして、そこへお茶を運んでくる南
楠木南「酷い奴だったね」
※いつのまにかかんなの級友だった南が水明(みあきら)のもとで働いています。
水明(みあきら)「……それはそうとして、依頼が来ないというものはなかなか暇なものですね」
南「え、そう？暇があるってのはいいことでしょ？」
水明(みあきら)「……ま、いいでしょう……」
　と、そのとき……
　コンコンコン
南「は〜〜い」
＊「すみません、ここ、関飛劉(せきとる)事務所ですよね？」
南「ええ、そうですよ、依頼ですか？」
＊「あ、はい」
水明(みあきら)「どうぞ、お入りください」
＊「……」
　漢は静かに入ってくる……
南「とりあえず、ソファーにでも座ってください」
＊「ああ、すまないね……」
水明(みあきら)「で、今回はどのようなご用件でしょうか？」
＊「はい……実はですね……あ、その前に自己紹介がまだでしたね……ええと……私はですね……」
　上着の内ポケットに手を入れ……
＊「楽円(たのし・まどか)の側近、三遊(みあそび)楽太郎……円(まどか)の仇ぃ！」
　ヂャカッ
　拳銃を突きつけ……
三遊(みあそび)楽太郎「死……」
　ドガスカッ
楽太郎「ぐがっ！？」
　苦無が突き刺さる
南「そうはいかない……へへへ〜〜」
楽太郎「……ちっ……ならば……これでどうよ！」
　ドガンッ
　バリンッ
　ガタガタガッ
　ドガガガッ
　窓、壁をぶち破って無数の黒服がやってくる
水明(みあきら)「……これはヘビーな展開だな……」
　……どうなるのかなぁ……これ……


続