Eighter -Verdant Nightmare-
5ther 〜月面(つき)に兎が舞った A〜



#0
 世界の破滅を防ぐために、善鸞会からアースベリルを奪還するだけの簡単なお仕事のはずが、逆にEighterが管
理していたムーンパールが奪われてしまった
※いや、簡単なお仕事じゃねぇよ!
 だが、このまま引き下がるわけにはいかない。名誉卍解(ばんかい)のために、一行は次なる一手を考えなければならない
※いや、『ばんかい』ってそういう漢字じゃねぇよ!

#1
梓與鷹(よたか)「ムーンパールとアースベリルが同じ目的で作られた?」
レース・アルカーナ「その通りだ」
與鷹(よたか)「なっ、この声は!?」
 それは一体どういうことだ?と與鷹(よたか)が聞こうとしたその時、突如としてどこからともなくレース・アルカーナの
声がする
(かみ)総介「要するに封印のお守りと同じ類のアーティファクトだということだろう?」
レース・アルカーナ「あぁ、そうだ……月と地球と太陽……三種類を模した宝珠。正確には(とばり)の星珠というのだが
それらを使い、かつて鵺帛主(ヤヌス)世界に侵攻してきた破壊神を封印した」
山咲(やまざき)桜「後は封印のお守りと同じく、奴らは封印を解除しようとしている。と、言うわけですね?」
與鷹(よたか)「ならば、太陽を模した宝珠だけでも守り抜かないと……」
レース・アルカーナ「サンシトリンのことだな……残念だが、それは既に奴らの手に落ちている」
與鷹(よたか)「なんだって!?」
 だったらこんなところで悠長に無駄話をしている場合ではない!と與鷹(よたか)は焦るのだが、しかし、與鷹(よたか)以外のメン
バーは妙に落ち着いているのが不思議だった。
レース・アルカーナ「奴らが向かうのは月!そして、そこに封印された破壊神がいる」
與鷹(よたか)「なっ、月だと!?」
 レース・アルカーナの言葉に思わず空を見上げる與鷹(よたか)。昼間だが、今は白昼の残月とでもいうか、辛うじて月は
見えている。
 だが、そんな場所に、一体どうやって行けばいいというのか?
白拍子かんな「通常の手段で向かうのであれば、難しいでしょう。ですが……」
レース・アルカーナ「そうだ。何も真正面から月に向かえばいいというものではない!」
 そもそも、月にそんな施設があったのならば、アポロ計画などの月面着陸の際に見つかっていないとおかしい。
 つまり、それは通常の手段ではたどり着けない場所にあるという意味だ。
與鷹(よたか)「歴史の墓場……」
総介「そういうことだな」
 かくて一行は歴史の墓場経由で月へ向かうことになった。

#2
 封印のお守りの時と同じならば、かなり、かれんの手も借りないと行けない。
 が、そんなことはかなりの超運をもってすれば容易く察知できるため、與鷹(よたか)らが歴史の墓場に向かうと、既にそ
こにはかなりとかれんの姿があった
※例によって例の如く、かれんは無理やり連れてこられています。
白拍子かなり「面白そうなことになってるじゃない」
與鷹(よたか)「いや、別に面白くはないのだが……」
レース・アルカーナ「では、ここで少し月に纏わる話をしよう」
白拍子かれん「ってか、あいつ、どこに隠れているんだろう?」
 近くにいるのは間違いないはずなのだが、どこにいるのかは分からない……正しく神秘的で謎な存在だ。
レース・アルカーナ「我々がこれから向かうのは古代国家リマスティ・ルナ。場所としては静の海と呼ばれている
ところだそうだ」
 八大帝国とも交易があったという話だとレース・アルカーナは続ける。
與鷹(よたか)「八大帝国とも……」
 現八大帝国の管理者となっているEighterにとって、それは初耳だった。
レース・アルカーナ「かの伝説の考古学者、威隻法腱(いせき・はっけん)も自らの著書に『K(くろ)穹窿(きゅうりゅう)』にある国としか残していないそ
うで……」
與鷹(よたか)「なっ、威隻法腱(いせき・はっけん)だと!?」
 オーパーツマニアの與鷹(よたか)にとって威隻法腱(いせき・はっけん)とは神にも等しい存在であり、そんな人物が出てくるとは歓喜乱舞で
あった。
與鷹(よたか)「そうか、K(くろ)穹窿(きゅうりゅう)……それはつまり、宇宙と言う意味だったのか」
 言われてみれば納得の與鷹(よたか)であった。

 と、そんなことを話しているうちに、一行はなんだか体に違和感を覚えるようになった。
 具体的にはなんだかふわふわするような感覚……
 月の重力は地球の1/6。そして、これは正しくその感覚。つまり、それは一行が歴史の墓場を軽油して月に到達
したと言う意味である。
かれん「誰かいる……いや、違う、何かある?」
 前方に何かを発見するかれん。近づいてみるとそれは銅像のようだった。
総介「ほぉう、これは……」
 それは剣を天に掲げる女性の像。ただ、通常と異なるのは彼女の頭には兎の耳が生え、お尻には兎のようなまん
丸の尻尾が付いているということだ。
かれん「ナニコレ、バニーガール?」
 この銅像は一体!?


続

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