Eighter -Verdant Nightmare-
1ster 〜砕かれし世界結界 B〜



#3
*「これは、儀式の失敗が原因だ」
 亀裂の走る肉体を見つめながら、ソレは呟く。
メイド「まさか!」
メイド「バニシングストーンに偽物が混じっちゃっていたりして?」
メイド「あり得ない。バニシングストーンが偽物ならば、すぐ気づくはずよッ!」
メイド「そうよ、ね?五つのバニシングストーンに偽物が紛れていれば、すぐに分かるのでございますことよ」
 砕け行く主の前に狼狽えるメイドさん二人。
 ならば、萬聖院(ばんしょういん)喜一の血では足りなかったということか?
 だが、それも違う。異世界との交信を行い続けてきた一族の血は封印解除に必要不可欠。もし仮に喜一の血が適
応に足らないのであれば、ここに――様が降臨なされるはずがない!
 バニシングストーンも本物。儀式の手順も問題ない。ならば、何が間違っていたというのか?
*「五つ!?五つ!?……五つだと……そうかッ!それがッ!それが、貴様の策略というわけかあッ!」
 突如憤怒の形相で天を見上げ、叫ぶ主。その怒り具合に、メイドさん二人は思わず手を取り互いを抱きしめ合い
主を見つめる。
メイド「――様、それは、どういう?」
*「封印は最初から六つあった!……それを奴は五つと偽った!」
 その疑問に答えるべく、主はぽつりと呟く。
メイド「それは……何の為だったりしちゃったりする……はっ!?」
 そこまで言いかけて言葉遣いの怪しいメイドさんは気づく。勿論、褐色の怪しいメイドさんだって同じだ。
 封印が最初から六つで五つと偽っていたのなら……我々は五つの封印をそろえ、主を復活させるであろう。
 そうすれば、どうなるか……そう、必ず失敗する。必ずだ!
 これは、主の復活を必ず失敗させるための布石。だが、それは、そこまでして主の復活を恐れているということ
に他ならない。
*「この肉体は最早持たない……」
メイド「そんな……――様……」
*「だから、貴様たちに改めて命ずる!最後の封印を探せ!勿論、我が肉体として相応しいモノものだ!」
 その二つをもってして、改めて復活の儀式を執り行うこと。
一同「御意に……」
*「アアアアアアアアッ!浚澄羽帝(サラスヴァティー)ッ!貴様の思い通りにはさせんぞ!」
 バガアンッ
 (かしず)くメイドさん二人をよそに、主は怒りを込めて叫び散らす。
 そして、叫び終わるや否や、その肉体は粉々に砕け散り、五つのバニシングストーンが残された。

#4
メイド「さて、我らが主――様の為にも、必ずやこの任務は成功させなくてはなりません」
 五つのバニシングストーンを拾いながら褐色の怪しいメイドさんは言う。
メイド「我々はそのためにあると言っても過言ではないですことよ!」
 いや、流石にそこは過言であってほしかった。と内心思う褐色メイドさんであった。
メイド「さておき、流石に二人だけでやるのには限界があるわね……」
メイド「……つまり、あなたはこう言いたいわけですことね?八命神に協力を仰ぐ……と?」
 ここから先、二人だけでは作業は困難、つまり、増員が必要と察知した言葉遣いの怪しいメイドさんはそんな事
を告げる。
メイド「真っ先にそっちが出てくるあたりに驚きが隠せないのですが……」
 だが、褐色の怪しいメイドさんにとっては思っていた回答と違ったようだ。
メイド「冗談でございますことよ……でも、正直言って鵺帛主(この)世界に侵攻(遊び)に行って封印されてしまう程度の彼らが
あまり役に立つとは思えなかったりして……」
メイド「瓦礫も山の賑わいと、いう言葉がこの世界にあるそうよ?」
※ないない。それ『瓦礫』ちゃう、『枯れ木』や
メイド「とにかく、私はあの二人の封印を解き次第合流するわ」
メイド「ではこちらは八命神と話をつけてくるのでございますことよ」
 全ては、我らが主、――様のために!
 かくて、二人のメイドさんは屋敷を出ると、別方向に分かれて飛んでいったのであった。
※いや、『飛ぶ』ってどういうこと!?

 ……それから数時間後、何者かの通報を受けて萬聖院(ばんしょういん)家に警察がやってくる。
警官「中川警部、ガイ者はこの屋敷の主人、萬聖院(ばんしょういん)喜一と屋敷に務めるメイド約50人です」
中川邦武(ほうむ)「ふむ、つまりは一家殺人ってことか」
警官「……メイドを家族として数えていいのかは微妙なところですが……」
警官「ちなみに、その約50人メイドなのですが、BSI(バンショウイン)48と呼ばれているようでして、主な活動は枕営業だったと
もっぱらの噂です」
 いや、そんな情報はどうでもいいし、AV落ちしたアイドルみたいな報告もいらんから!


続

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