Eighter -Scarlet Nocturne-
57ther 〜埃及(エジプト)に眠る影の都 C〜



#5
梓與鷹(よたか)「どういうことだ?!」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「おい、お前は何に驚いているんだ?」
(かみ)総介「ならば、俺が代わりに教えてやろう」
出音(でおん)・グロウシュベル「いやいやいや、どうしてお前が代わりに答えるんだよ!」
山咲(やまざき)桜「あそこに見えるのはおそらく九大オーパーツCPのひとつです」
梶太郎(かぢだろう)出音(でおん)「はぁ……」
 それがどうした?と言わんばかりの二人。
 では、ここで皆にも分かるように改めてお伝えしよう。九大オーパーツCPとは場違いな白き遺物(ポジティヴ・オーパーツ)の中でも特に優
れたアーティファクト。
 アトランティス、ムー、楼蘭(ロウラン)、パシフィス、シャンバラ、エリュシオン、エル・ドラード、ツェルツラ、ニライ
カナイの九つであり、人の姿を取っているエル・ドラード以外、全て同じ形をしているのだ。
出音(でおん)「ん?……ちょっと待って、今、九個全部出てこなかったか?」
梶太郎(かぢだろう)「ええと……」
 出音(でおん)にそういわれて指折り数えてみる梶太郎(かぢだろう)。確かに、先ほど言われたオーパーツCPは全部で九つあった。
 それが九大オーパーツCPと言うのならば、目の前にあるソレと全く同じ形のオーパーツCPは何なのか?
*「それは、九大オーパーツCP……その幻の十番目、ヴァルハラだよ!」
一同「なっ、誰だ!?」
 突如何者かの声がする。よく見ると、部屋の奥に白髪で緑色の服を着込んだ一人の漢がいた。
與鷹(よたか)(総……もしや、あいつが……)
総介(あぁ、どうやらそのようだな……)
梶太郎(かぢだろう)「で、お前は誰だよ?」
*「……そうか、自己紹介がまだだったね……俺はアンジェロ……アンジェロ・ロック……《領域(ゾーン)》のヴァルカナ
リアクターだ!」
 すっと右手の甲を見せながら自己紹介を行うアンジェロ。そこには赤と青の四角を組み合わせた八芒星に-XXIの
数値が刻まれていた。
與鷹(よたか)「九大オーパーツCP、その幻の十番目とはなんだ?」
アドラメレク「それは、言葉通りの意味だよ」
梶太郎(かぢだろう)「うおおっ、びっくりした!」
 更に、《弑逆(リベリウス)》のアドラもいつの間にかそこにいた。
アドラメレク「よくここまでたどり着けたね。まずはそのことを褒めてあげるよ」
 パチパチと拍手を行いながらアドラは言う。
総介「フッ、お前に褒められるためにここに来たわけではない」
 それよりも、ヴァルハラについて與鷹(よたか)は知りたかった。

#6
 九大オーパーツCPは場違いな白き遺物(ポジティヴ・オーパーツ)の中でも特に優れた代物であることは周知の事実だ
アドラメレク「そして、ヴァルハラとは場違いな影の遺物(シルエット・オーパーツ)の中でも特に優れた代物……いや、より正確に言うなら
ば、九大オーパーツCPを場違いな影の遺物(シルエット・オーパーツ)でも再現したモノ」
 だから、その形状は九大オーパーツCPに酷似しており、九大オーパーツCPの幻の十番目という存在しない存在な
のである。
與鷹(よたか)「それがヴァルハラ……」
総介「では、貴様はここで何をしている?」
 ヴァルハラについて一段落ついたので、今度はアンジェロについて問い詰める。
出音(でおん)「はっ、そうだよ!お前の目的はなんだ?……ヴァルカナをばら撒いて何を目論んでいる?」
アンジェロ・ロック「別に俺はヴァルカナをばら撒いているわけではない……」
 ならば、何の為に、と問いかけるよりも、アンジェロは先に答える
アンジェロ「俺は、ヴァルカナリアクターの呪縛を解き放つために活動している!」
 ちなみに、余談だがヴァルカナをばら撒いたのは単なる気分転換だという。何迷惑なことやってんだお前!
梶太郎(かぢだろう)「何を言っているんだ?」
 ヴァルカナリアクターはヴァルカナを奪われると死ぬ。アンジェロはその宿命を覆したくてここに引きこもって
研究をしていたのだという。
出音(でおん)「そっ、そんなことが本当にできるのか?」
アドラメレク「まぁ、普通ならば、無理だろうね……でも、ヴァルハラを使えば話は別だ!」
アンジェロ「そうだ!そして俺はこの地に引きこもって数百年……来る日も来る日もヴァルカナの呪縛を解き放つ
研究に明け暮れた!」
 そして、その研究は遂に完成した!と豪語するアンジェロ。
アドラメレク「人類の英知はいつだって想像を超えた進化をする。そして、彼はそれを成し遂げたというわけだ」
 おめでとう。これで、今後、ヴァルカナリアクターはヴァルカナを奪われても死ぬことはなくなるよと拍手をし
ながらアドラは言う。
アンジェロ「これで、俺も漸くヴァルカナリアクターから解放される……長かった……実に長かった!」
 感慨深く呟くアンジェロ。
総介「フッ、それはどうかな?」
與鷹(よたか)「お、おい、総……なぜそんなことが断言できるんだ?」

#7
総介「仮にお前の研究が実を結んだとしよう……」
 そうなれば、確かにヴァルカナリアクターはヴァルカナを失っても死ぬことはないだろう……だが、それが直接
の原因ではない、という意味でな?と総介は付け加える。
アンジェロ「……」
 総介の言葉に嫌な沈黙が続く。それは、総介の言葉が何を意味するのかを理解したからだ。
桜「……もし、数百年前にヴァルカナリアクターとなった人物がいるとしましょう。その彼が、ヴァルカナリアク
ターでなくなった場合、果たしてどうなるのでしょうか?」
 その答えは、『現実は非情である』だ。
※せめて選択肢三つ出して三つ目をソレにしろよ!
 ヴァルカナリアクターはヴァルカナによる回復能力の恩恵も受けている。だから、数百年の時を生きていられる
 しかし、その回復能力がなくなれば、元リアクターの人間は老衰で死ぬしかないのだ。
アンジェロ「では……俺の研究は……無意味だったのか!?」
 愕然とするアンジェロ。
総介「いや、貴様のやってきたことは決して無意味ではなく、無駄でもない!なぜならば、今後生まれるであろう
ヴァルカナリアクターは、貴様のおかげで死ぬことなくヴァルカナリアクターを辞められるのだからな!」

 アンジェロは手元にまだいくつかのヴァルカナを持っていた。無論、それらはヴァルハラと共にEighterで管理
されることとなる。
 ヴァルカナとヴァルハラ……この二つを手中に収めたことで……寧ろ場違いな影の遺物(シルエット・オーパーツ)をサーチできるヴァルハ
ラがあることで世界に散らばるヴァルカナを把握できるようになった。
 故に、これで本当の意味でヴァルカナ争奪戦は終結するのだった。


第六部・FIN

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