Eighter -Scarlet Nocturne-
29ther 〜半影傑と対魔撃滅 C〜



#5
灰漸(はいぜん)「はあああ!」
栖嶺(すれい)「うおおお!」
 ハイゼンスレイUラーコンビがここで星露(シンルー)を打ち倒せば、全てが終わる!
 しかし、ハイゼンスレイUラーコンビはデミカナリアクターの恐ろしさをまだ完全に理解していなかった
星露(シンルー)・ユピテルメア「禺彊(ぐうきょう)」
 スパン、スパ〜〜ンッ
 逆手に握った左右の忍者刀から繰り出される剣閃がハイゼンスレイUラーコンビの首を刎ねる。
灰漸(はいぜん)「あ!?」
栖嶺(すれい)「え?!」
 それは、実に呆気ない最後であった。
惹閃(じゃくせん)「あ、ああ……あああ……!?」
 多くの生命が砕け散る……全てを自分に託して……しかし、惹閃(じゃくせん)はそれが耐えられない。
星露(シンルー)「貴様も思い知ったか!」
 GB(グレートバシャール)様殺しに加担、傍観した罪をかみしめながら地獄へ行け!
惹閃(じゃくせん)「おおおおお!奇命無靈咒如来(きみょうむりょうじゅにょらい)!」
 惹閃(じゃくせん)も血の涙を流し、生命を削ってパワーアップ……いや、スピードアップを図る。
星露(シンルー)「まだ、己の罪を認めないか!?」
惹閃(じゃくせん)「み、認めよう……そ、そして……受け取れ!我が全身全霊ッ」
 かくて、己の存在すべてを速度に変えて惹閃(じゃくせん)は最後の一撃を繰り出す
 ドッ
星露(シンルー)「え!?……アイエエエ!?」
 そのスピードは星露(シンルー)の予測を遥かに超えていた。いや、人智を超えていたと言っても過言ではない。
 回避しようとしたが間に合わず……いや、衝撃波だけでも星露(シンルー)を吹き飛ばすほどの威力。
星露(シンルー)(くっ、この土壇場でなんて速度を!?)
イオ「無常……」
 しかし、これで星露(シンルー)が敗北したわけではない。惹閃(じゃくせん)の繰り出した一撃は文字通り最後の一撃。その一撃に全てを
かけた惹閃(じゃくせん)はそのまま絶命するのであった。
エル「これで終わりじゃないんだからね!」
星露(シンルー)「……?」
 まさか、任務失敗か!?って思って覚悟を決めて目を瞑っていたが、しかし、いつまでたっても追撃が来ること
はなく……目を開くと、そこには、絶命して倒れている惹閃(じゃくせん)の姿があった。
星露(シンルー)「……と、とにかく、終わりよければすべてよし……ってことで!」
 うんうん、と自分を納得させる星露(シンルー)。
 そして、結果はどうあれ、首を持ち帰るのが今回の任務。惹閃(じゃくせん)の首を刈り取り、魔導書娘二人を引き連れて星露(シンルー)
はその場を去っていくのであった。

#6
 兵庫県某所、嘉曦渋寺(かぎじゅうじ)
弥如(びぎん)「……惹閃(じゃくせん)灰漸(はいぜん)栖嶺(すれい)……それに、ノイエDA第五分隊が壊滅!?」
ノイエDA「はっ……はっ……」
 額を床にこすりつけるような感じで遜りつつ、一人の僧兵が凶報を伝える。
慈円(じえん)「やれやれ……これはどうにも困りましたね……」
 とか言いつつ、困っていなさそうに見えるのは気のせいだろうか?
韻麗(いんれ)「事の重大さが分かっているのか!我らの大願を成就させるには、早急に戦力を増強せねばならんだろうが!」
 ドカンと机に拳を叩きつけて叫ぶ韻麗(いんれ)慈円(じえん)「ふむ。ヴァルカナは二つ……これを活かすほかあるまい」
弥如(びぎん)百万朱版の転生小聖印(ヴァーミリオン・トランスマイグレーション)も利用すべきでしょう?」
反永(たんえい)「今の我らにできることはそれ位か……」
 ならば、なおさらの事、大願成就の為にはヴァルカナが必要ということだな……と、改めてヴァルカナの重要性
を確認する大神の降真靈(こうしんりょう)であった。

 一方……ノース光輪結社も、時同じく……
クラウド・ノシュケー・マルーメ「やれやれ……よもや、よもやだ。まさかこのようなことになろうとはな……」
ジョスィフ・クロード「百万朱版の転生小聖印(ヴァーミリオン・トランスマイグレーション)が回収できたのはせめてもの救い……」
天宮裕(あまみや・ゆたか)「ケッ……」
 皆が憂うなか、(ゆたか)だけはそんなことに興味がなかった。
 もともと彼は與鷹(よたか)抹殺だけを考えている狂人であるから仕方のないことではあるが……
ジョスィフ「宣教倶楽部から選りすぐりを集めて百万朱版の転生小聖印(ヴァーミリオン・トランスマイグレーション)を与える……それで少しは戦力もマシにな
るだろうよ」
 しかし、それでもヴァルカナリアクターには遠く及ばない……
*「それで、次の手はどうする?」
 ノース光輪結社にはまだヴァルカナリアクターが二人いる。この漢はそのうちの一人、スィーロゥ・A・マクサ
ル。《吊された男(ハングドマン)》のヴァルカナリアクターだ。
クラウド「より多くのヴァルカナを得る……それしかあるまい」
 ノース光輪結社もまた、同じ結論に辿り着いたのであった。

#7
 そして、千葉県、悪夢(ゆめ)の国
星露(シンルー)、バーベラエ「お嬢様、こちらが、奸賊の首にございます」
 GB夫人(ミセスグレートバシャール)(かしず)き、カイゼルグ、アレフ、惹閃(じゃくせん)灰漸(はいぜん)の首を差し出す二人
GB夫人(ミセスグレートバシャール)「きひひひひひ……」
ヴィルヘル・奈美「二人とも大義であった。GB夫人(ミセスグレートバシャール)様もお悦びあそばせておらる」
星露(シンルー)、バーベラエ「はっ、ありがたき幸せ」
奈美「だが、これで全てが終わったわけではないぞ」
バーベラエ「と、いうと?」
 復讐は果たした……とは言い難いかもしれないが、それでも、当初の目的は達成した。
 では、他に何があるのか?
※ロズエリクを黄泉帰らせてGB夫人(ミセスグレートバシャール)自らブチ殺すって目的がまだ残ってますよ
奈美「奴らの邪魔をすることもまた、GB夫人(ミセスグレートバシャール)様のお望み」
星露(シンルー)「流石師匠!そこに痺れる憧れるぅ!」
 お前、何かとつけてそのセリフ喋ってないか?
天音(あまね)シア「……どの道私は命令があればそれに従うだけだから……」
 シアって主体性のない女なのだろうか!?
 さておき、U(セカンド)シレントワイザードの暗躍はまだ始まったばかりだ。
 GB夫人(ミセスグレートバシャール)の復讐はどこまで続くのか?!それはまだ、誰にも分からない。


END

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