Eighter -Scarlet Nocturne-
26ther 〜魔術師のやり直し B〜



#3
 U(セカンド)シレントワイザード始動!
 その目的は復讐にあり!そして、まず彼女らが目を付けたのは……
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
エスティリオ・アリーフ・ザンスパイン「のわ〜〜、ヒマすぎるのである!」
 GB(グレートバシャール)を殺したロズエリクを打倒するため、シレントワイザードを抜けてEighterにやってきたエスティリオである
が、ヴァルカナ争奪戦には呼んでもらえず、ヒマでヒマで死にそうだった。
エスティリオ「はぁ、何かこう、面白いことでもおこらないものか……」
ファルゼシア「それ、フラグですね」
エスティリオ「何がフラグであるか!」
 しかし、実際にそれはフラグであった。間もなく彼の下に不幸が訪れることとなる。

雨水朧(うすい・おぼろ)「表になんか変な人がいるッ!」
 突如そんなことを叫びながら(おぼろ)がEighter本部に入ってくる
梓與鷹(よたか)「変な人?」
 まさか化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)?とか考える與鷹(よたか)。さり気に酷いな……
 さておき、ひとまず、外にいるという変な人とはどんな人物なのか、興味本位で確認に出る一行。
 すると、そこには狐面をつけたメイドが一人立っていた。
一同「……」
 思った以上に変な人で唖然とする一行。
ヴィルヘル・奈美「エスティリオ!そこにいるのは分かっている!とっとと出て来い!」
一同「よりによってエスティリオ?!」
 まさかエスティリオを訪ねてここまでやってきたとは予想外にも程がある。
 ただ、固まるのも一瞬。すぐさま與鷹(よたか)はエスティリオを呼びに行く
エスティリオ「ななな、なんであるか!?ワガハイはこう見えても忙しいのである」
ファルゼシア「先ほどはヒマで死にそうっていってませんでした?」
奈美「エスティリオ!」
エスティリオ「なっ、貴様は、ヴィルヘル・奈美!?」
(おぼろ)「え?ヴィルヘル……ミナ?!」
奈美「奈美です。ヴィルヘル・奈美!そこんとこ間違えないように」
一同「あ、はい」
 有無を言わさず凄みに思わず頷いてしまう一行。
(おぼろ)「そ、それはさておき、誰なんです?彼女」
エスティリオ「彼女は我が最大の盟友、大導師(グランドマスター)のフィアンセ……のお付きのメイドである」
與鷹(よたか)大導師(グランドマスター)?」
 あぁ、ロズエリクじゃない方の……と與鷹(よたか)は思い出す。
 シレントワイザード総帥、大導師(グランドマスター)GB(グレートバシャール)はロズエリクの手によって殺された……

#4
奈美「エスティリオ!貴様GB(グレートバシャール)様を殺したな!」
エスティリオ「なっ、ワガハイが盟友を!?……馬鹿も休み休み言うである!」
 どうしてワガハイが盟友を殺さねばならぬ?と問いかけるエスティリオに問答無用!と奈美はモップ片手に襲い
掛かる
エスティリオ「くっ……ヤークシュ」
 すかさずエスティリオも魔形刀(マナヒョンド)に召喚呪術で氷の刃を作って応戦
(おぼろ)「モップ?!」
與鷹(よたか)「だが、あの動き、只者じゃない……」
ファルゼシア「ヴィルヘル・奈美……たしか、彼女は日本メイド協会きっての猛者。屋敷に侵入する不届き物(ゴミ)掃除
選手権三年連続優勝……」
 いや、屋敷に侵入する不届き物(ゴミ)掃除って……もうそれメイドじゃないんじゃ……
エスティリオ「このっ……人の話を聞け!巡り巡る氷(ゲフリーレン・カイゼン)!」
 無数の氷の破片を奈美めがけて投げつけるエスティリオ
奈美「無駄だッ!」
 しゅらんっ
 奈美が持つモップは仕込み杖だった。抜刀と同時に迫る氷の破片を切り払う。
奈美「召喚呪術だけでは私は倒せん!」
 グっと仕込みモップを握りしめている掌を見せびらかす奈美
與鷹(よたか)「なっ、それはッ!?」
 そこには赤と青の四角を組み合わせた八芒星にCCXIIの数字が刻まれていた
エスティリオ「なっ、まさか、それは……百万朱版の転生小聖印(ヴァーミリオン・トランスマイグレーション)?!……お前、デミカナリアクター……であるか?!」
奈美「ほう、知っているか……ならば話は早い。死ね!」
エスティリオ「のわ〜〜、死にたくな〜い!」
 しかし、もともとエスティリオは学者肌であり、戦闘に特化したヴィルヘル・奈美に勝てるはずがない。
奈美「GB(グレートバシャール)様を殺した罪、あの世で贖え!」
 ズダンッ
 エスティリオが死を覚悟したその時、ファルゼシアが割って入る。
奈美「何!?」
 真剣白刃取り!
奈美「貴様ッ!」
ファルゼシア「少しはマスターの話を聞いてぇ〜!」
 デミカナリアクターたる私の斬撃を止めた!?と少なからず驚きを隠せない奈美。
 更にびくともしない。
 例えるならば、本に挟まった栞を本を広げず無理やり抜き去ろうとするが、全然抜けないと言った感じ。
 何せファルゼシアは魔導書娘なのだから、言いえて妙だ。


続

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