Eighter -Scarlet Nocturne-
21ster 〜同盟軍はアルカナ C〜
#5
イシュー・ネゼリアル「どうした?貴様の力はその程度か?」
梓與鷹「今のは、ほんの小手調べさ」
それは與鷹(の強がりではなく、本心だ。
イシュー「フッ!俺の幽闘術、悪鬼の五月雨(は雨の日こそ最強!」
與鷹(「いや、今雨じゃねぇけど……」
寧ろ今日は陽光が少し暑い位の晴れ晴れユカイな天気である。
イシュー「ハッ!どうやら貴様は相当鈍いようだな……血の雨を降らしてやるという意味だというのが分からない
とは……」
與鷹(「いや、分かるか!」
どこをどう察したら先ほどの言葉で血の雨を降らすという意味になるのか、訳が分からない與鷹(であった。
イシュー「死ね!レイン・オン・ノーアンブレラ!」
與鷹(「死んでたまるかよ!神狼九断(!」
ドドドドドドドドドドッ
拳打の嵐と拳打の嵐とが激しくぶつかり合う。
イシュー(こいつ……ヴァルカナリアクターでもないくせに、ヴァルカナリアクターの俺と互角に渡り合うとでも
言うのか!?)
内心驚愕を隠せずにいるイシュー。しかし、與鷹(だって聖狼躱虚(や識狼天見(を駆使してなんとか渡り合ってい状
態なのだ。
それは薄氷の道を歩むが如し。だが、與鷹(は来るべき裕との死合のためにも何としてでもこの苦境を乗り越える
必要があるのだ。
イシュー「ウオオオオオッ!」
與鷹(「ハアアアアッ!」
そして、先ほどイシューが告げた通り、イシューの幽闘術は敵を倒せば倒すほどに強くなる特性を持っている。
つまり、敵を倒せないのであればパワーアップはできない欠点を持っているということでもある。
※よく考えると結構使いにくい特性だな、それ
イシュー(いや、待てよ……)
イシュー「フンッ、ベフォアッ!」
與鷹(「はい!?」
距離をとったかと思うと、突如自分を猿の腕で殴り出すイシュー。そのあまりの奇行に與鷹(も思わず開いた口が
塞がらない。
イシュー「行くぜオラァ!」
ボアッ
與鷹(「ぐあっ!?は、速い!?」
再び殴りかかるイシュー。しかし、その速度は前よりも格段に速くなっていた。
イシュー「やはりな……この勝負、貰った!」
ニヤリと悪い笑みを浮かべるイシュー。
悪鬼の五月雨(……その本質とは血を浴びれば強くなること。そして、それは別に自分自身の血でも構わないとい
うことだ
#6
イシュー「行くぜぇ!ゲホガフゴハァッ」
そして、自分を血祭りにあげるイシュー。傍から見れば気が狂ったとしか思えない所業であった。
※なお、この方法の最大の欠点は最大の力を得たとき、戦闘不能になっているという点にある。(ダメじゃん)
さて、ここで死合はマイルと旧スク水……もとい旧透水(へと移る。
ダアンッ、ガキンッ
旧透水(「チッ……」
マイル・ネゼリアル「こいつ……」
透水(が鶺鴒眼(を浴びせれば、マイルが剣でそれを受け止める。そして、マイルが斬りかかれば、今度は透水(がそ
れを手の甲で受け止める。
一進一退の攻防が繰り広げられていた。
透水(は遠距離からの攻撃を得意とし、マイルは近接格闘を得意としているこの死合、なかなか決着がつかないの
だ。
ただ、透水(は別に遠距離からの攻撃しかできないわけではないので、必ずしも死合が長引くというわけでもない
……と思う。
※信じるか信じないかはあなた次第です(都市伝説かい)
透水((鶺鴒眼(でハ決め手ニならないカ……なラば……)
透水(「鶺鴒爪(!」
指鉄砲の形にしていた手を握り締め、気を纏う
マイル(遠距離攻撃から近接格闘に切り替えるつもりか……)
だが、面白い!ってな感じで剣を構え直したその次の瞬間、一気に間合いを侵食されるマイル
マイル「なっ、速い?!」
透水(「ハッ!」
ガンッ
マイル「こいつッ!」
何のためらいもなく、刃に向かって拳を叩きつけてくる透水(。下手すれば指が斬れる……そんな恐れを微塵も感
じないとはそれほどまでに自分の幽闘術に自信があるということか
マイル「キャット・ザ・セブンライブス!」
透水(「ハッ!」
刹那の瞬間に迫る七回斬撃を己が拳一本で捌き切って見せる透水(。
マイル「馬鹿な!?」
まさかこれほどまでの力を?!とぶわりと冷や汗が出てくるマイル
マイル(まずい……一瞬でも気を抜けば、ヤられる……)
ドイツが誇る(?)アーネンエルベ……そのヴァルカナリアクターの力を見せつけるだけという簡単なお仕事だ
と思っていたが、どうやらそういうわけでもないらしい。
#7
マイル「ならば、どうあっても貴様らが結託するのを阻止せねばなるまいな!」
透水(「ならバ、それヲ阻止するのが俺の役目」
ズドンッ
マイル「ぐおっ!?」
そうこうしている間に、透水(の拳がマイルに炸裂する。
マイル「……」
気づけばイシューもボロボロで倒れていた
※いや、彼の場合はどう考えても自滅ですが……
マイル「なるほど……どうやら今回はここまでのようだな……」
化野梶太郎(「あぁ?なんだって!?」
と、ここで今まで何もしてなかった梶太郎(がしゃしゃり出る。
マイル「いいだろう……だが、貴様らがこの先進むのは地獄だということを、覚えていくがいい!」
そういうと、マイルはボロボロになったイシューを抱きかかえるとその場から撤退する。
マイル「覚えておけ!次の戦争は、俺らが望んだ戦争だ!」
いや、だからそれ、流行ってんの!?
かくて、イスマイル兄弟を退けることに成功した一行。
しかし、それは、ヴァルカナ争奪戦を更に苛烈な戦いへ進める狼煙……なのかもしれない。
END
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