Eighter -Scarlet Nocturne-
19ther 〜死神は密かに来る D〜



#7
アーヴァ・エウリデス「行くぜェ!」
 ふおっ
梓與鷹(よたか)(速いッ?!)
 これまでの死合が遊びだったとでも言わんばかりに速度が増す。
 いや、それは彼が手を抜いていたというわけではない。ギガキンパダーを手にしたことで本領を発揮したと、言
うのが正しいのだろう
 ギンッ
與鷹(よたか)「くっ、重い……」
アーヴァ「これが樹齢千年の杉の重みだ!」
與鷹(よたか)「いや、それはなんか違うだろ……」
アーヴァ「貴様に思い知らせてやるぜ!もっと長生きしたかったというこの杉の無念を!」
 いや、剣にする為に斬ったのはお前……じゃないかもしれないけど、その恨みはなんか違うだろ!と突っ込みた
くて仕方のない與鷹(よたか)であった。
アーヴァ「はああっ!ルブライトニング・エッジ!」
與鷹(よたか)「おおおっ!聖狼躱虚(しょうろうたうろ)!」
 ガギインンッ
 アーヴァが繰り出す上段からの斬り下ろしを本能的に危険と察知した與鷹(よたか)は咄嗟に回避と同時にカウンターを叩
き込む與鷹(よたか)。
アーヴァ「何!?」
 斬撃を拳打で抑え込んだ形だ。
與鷹(よたか)「ハアッ!神狼九断(しんろうくだん)!」
アーヴァ「クッ、ルブライトニング・ストリーム!」
 ドドドドドドドドドドッ
 更に追撃の手を緩めない與鷹(よたか)に対し、アーヴァもギガキンパダーを縦横無尽に振るいでこれに応戦。
アーヴァ(コイツ……ヴァルカナリアクターでもないのに、やりおる……)
アーヴァ「だが、教えてやろう!ヴァルカナリアクターは無敵だ!ルブライトニング・バースト!」
 ズドドドドドドドドッ
 今度は乱れ突き。しかし、與鷹(よたか)はそれを聖狼躱虚(しょうろうたうろ)を駆使して完全回避。
アーヴァ「貴様、ちょこまかちょこまかと……」
與鷹(よたか)「斬撃を食らってやるほど俺はお人よしじゃないんでね……」
 と、言うか、聖狼躱虚(しょうろうたうろ)を使わないと回避が厳しい位には状況は不利なのだが、そのことを悟らせるわけにもいか
ない。
アーヴァ「だがッ!俺の幽闘術、兵装完全掌握術(クロス・ナイブズ)はまだ先がある!」
 ズオオオオッ
與鷹(よたか)「これは!?」
 元が千年生きた悪魔の杉……そして、それは今もなお生きているのだろうか……
 SA〇アリシゼーションでも見たような感じでギガキンパダーが脈動する……と同時に枝が生えるかのように刃が
生え、七支刀のような形状に変化する!

#8
アーヴァ「正直貴様を侮っていた……だから、ここから先は本気で相手をしてやろう!」
與鷹(よたか)「今まで手を抜いていたってわけかよ……」
アーヴァ「軽口を叩けるのも今のうちだッ!」
 更にアーヴァのスピードが上がる。瞬時に與鷹(よたか)の背後を取り、そのまま斬撃をお見舞いする。
與鷹(よたか)「くっ!」
 しかし、與鷹(よたか)もここで死ぬわけにはいかない。聖狼躱虚(しょうろうたうろ)を駆使してこれを回避
アーヴァ「てめぇ!」
 悉く斬撃をいなされて、アーヴァの怒りも膨れ上がっていく。
與鷹(よたか)(くっ……これがヴァルカナリアクターの底力ってわけか……)
 防戦手一杯で反撃の隙が見当たらない……もし、聖狼躱虚(しょうろうたうろ)が使えなかったら一発でアウトだった。
アーヴァ「ルブライトニング・バーストリーム」
 ズゴガガガガガガガッ
與鷹(よたか)「ぐっ……」
 無数の斬撃と乱れ突きのコンボ……そして、それは遂に與鷹(よたか)の双狼拳を超えた。
 聖狼躱虚(しょうろうたうろ)をもってしても回避できない斬撃が與鷹(よたか)を激しく攻め立てる
御御脚(ユウ・ユウジャオ)「どうやラここまでカ……」
 やはり、ヴァルカナリアクターに対抗できるのはヴァルカナリアクターのみ。後は自分が引き継ごうと御脚(ユウジャオ)が歩
み出るのだが、しかし、與鷹(よたか)はまだ諦めていない様子だった
與鷹(よたか)「まだだ!まだッ!」
御脚(ユウジャオ)「しカし……」
與鷹(よたか)「もう少しだけ俺に任せてくれないか!」
アーヴァ「死合の最中によそ見とは余裕だなぁ!」
 迫る凶刃。その軌跡は明らかに與鷹(よたか)に致命傷を与える剣筋……さすがにこれはマズいと御脚(ユウジャオ)も躍り出る。
與鷹(よたか)(しまったッ!?)
 これは確実に……と、思った次の瞬間、與鷹(よたか)に雷鳴が走る……かのような謎の感覚……
 それは、視野が広がるような謎の感覚……上空から自分を含めた周りの状況を俯瞰しているかのような体験。
 それは、迫りくるギガキンパダーの斬撃を感覚を研ぎ澄まして回避し続けていたことで目覚めた與鷹(よたか)の新たなる
境地……
 識狼天見(しきろうてんげん)……それは與鷹(よたか)が魔術師としても覚醒していたからこそ辿り着けた境地であった。
 ガギイインッ
アーヴァ「何!?」
御脚(ユウジャオ)「何ト?!」
 必殺の一撃……それを真っ向から拳打で受け止める。

#9
與鷹(よたか)「少し……掴めたかもな……」
 まぁ、物理的に剣を掴んで……はいないか……
アーヴァ「貴ッ様」
與鷹(よたか)「オオオオオッ!神狼九断(しんろうくだん)翳噛(えいごう)!」
 ドドドドドドドッドドドドドドッ
アーヴァ「ゲヴォアアッ!?」
 刹那の瞬間に叩き込まれる九連続の拳打。しかし、アーヴァは即座に飛び退ってそれを回避。
 と、同時に着地するや否や一足飛びにかかり今度こそ與鷹(よたか)の息の根を止めようとしかける。
 だが、しかし、與鷹(よたか)神狼九断(しんろうくだん)翳噛(えいごう)はあれだけで終わりではない。影の拳打が迫りくるアーヴァを返り討ちに
する
 今、ここに與鷹(よたか)とアーヴァとの死合に決着はついたのだった。
與鷹(よたか)「はぁ……はぁ……」
御脚(ユウジャオ)「まさカ、ヴァルカナリアクターでもナいものがヴァルカナリアクターに勝つトは……」
與鷹(よたか)(これで裕と死合うときも少しは……)
 だが、死合に絶対はない……今後もヴァルカナリアクターとの死合は続けていきたいと考える與鷹(よたか)であった。

 しかし、これで全てが終わったわけでもない。まだ、今回のヴァルカナを回収したわけではないのだ
 また、バイラの方も決着がついたわけではないのだ……


END

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