Eighter -Scarlet Nocturne-
18ther 〜魔狼は幾度も蘇る C〜



#5
天宮(ゆたか)「フンッ」
パク・ラセロ「ごべ?!」
 ラセロから拳を引き抜くと、近くに投げ飛ばす(ゆたか)與鷹(よたか)「お、お前……どうして……」
(ゆたか)「フッ、俺は貴様を殺すために地獄から舞い戻った!」
 (ゆたか)の周りをまるで邪〇炎殺黒龍波もかくやと言った感じの邪悪なオーラが荒れ狂う。
與鷹(よたか)(奴の拳法家としての命脈は断ち切られたはず……だが、しかしヴァルカナの力は、ここまでのものだという
のか……)
 かつて與鷹(よたか)(ゆたか)を完膚なきまでに叩き潰した……そう思っていたのだが、しかし、奴はこの世界に存在しないは
ずの力を手に再び舞い戻ってきた。
(ゆたか)「イエスキリストノータッチ……いや、イエス(ゆたか)、ノー與鷹(よたか)!貴様に地獄の……違うな、地獄すら生温い苦しみ
を与えてやる!」
與鷹(よたか)「お前……ノース光輪結社に!?」
※ってか『イエス(ゆたか)、ノー與鷹(よたか)』ってなんだよ
(ゆたか)「主はお嘆きである。與鷹(よたか)……貴様が生きているということ自体に!」
與鷹(よたか)「いや、主がそんなこと言うわけないだろ」
(ゆたか)「双狼拳の抹殺こそが俺の神の求むるところ」
與鷹(よたか)「お前はどこの西〇月拳のヤ〇カだよ……ってか、それが真実だったらお前も死なないといけないことになる
けど……」
(ゆたか)「フッ、ノース光輪結社の一員たる俺は抹殺の対象外よ!」
 そんな出鱈目な話があるわけがない。
(ゆたか)「だが、今はそんなことはどうだっていい!来い!與鷹(よたか)!……まずは貴様に俺が味わった苦しみを味わわせてや
る!」
 ググっと拳を握りながら叫ぶ(ゆたか)。
 ドス黒い殺気がまるで炎のように揺らめく。
與鷹(よたか)(あの時、情けをかけたことが間違いだったのか……)
(ゆたか)「幽闘術!悪魔が来たりて喇叭を吹く(ディアボリック・トランペッター)!」
 もはや逃げることは許されない。
與鷹(よたか)「……いいだろう、だったら、今日こそ、お前との因縁を断ち切ってやるよ」
 一撃で勝負を決める……その覚悟のために天狼甲ショロトルを召喚。
與鷹(よたか)「おおおおっ!神狼九断(しんろうくだん)来護重(らいごうえ)!」
(ゆたか)「くたばれ!與鷹(よたか)七狼滅掌(しちろうめっしょう)が一、魔狼劉手(まろうりゅうしゅ)冰焔烈(ひょうえんれつ)!」
 九つの拳打を一つに束ねて一気に貫く與鷹(よたか)の秘拳に、(ゆたか)は右手で炎、左手で氷を纏った拳で挟み砕きにかかる
 ドンッ
與鷹(よたか)(なっ、止めた!?)

#6
 神狼九断(しんろうくだん)来護重(らいごうえ)とは突破力を極限まで高めた一撃必殺の拳である。それをいとも簡単に止めるとは、尋常では
ない。
(ゆたか)「フハハハ!双狼拳破れたり!」
 いや、お前も双狼拳の使い手だろ!と突っ込む余(ゆたか)すら與鷹(よたか)にはなかった。
 さらに競り負け、派手に吹き飛ばされる與鷹(よたか)與鷹(よたか)「ぐっ……うぐっ……」
 (ゆたか)の幽闘術のせいなのか、熱気と冷気が渦巻き、身動きが取れなくなる與鷹(よたか)(ゆたか)「無様だなぁ!與鷹(よたか)ぁあ!ゴベアアアアッ!?」
 高笑いと共に追撃を繰り出そうとした(ゆたか)だが、突如血を吐きその場に(くずお)れる。
(ゆたか)「きっ、貴様!一体何をしたぁッ!」
與鷹(よたか)(いや、俺は何も……)
 それは、幽闘術を使った反動か……それとも……
與鷹(よたか)(違うな……奴は俺の拳を止めたが、その衝撃全てを受け止めるまではできなかったということか……)
 なんせ九つの拳打をひとつに集約して叩きつける秘拳である。
 たかが一度止めた程度で止められるようなものではないのだ。
與鷹(よたか)(とはいえ、俺もこれ以上は……)
(ゆたか)與鷹(よたか)ぁあああ!!アアアアアアアッ!」
 例えこの身が滅ぼうとも、與鷹(よたか)だけは殺す!その執念が(ゆたか)を突き動かす。
(ゆたか)「死ね!與鷹(よたか)ァッ!」
與鷹(よたか)「くっ……」
 万策尽き果てたか……と思われた與鷹(よたか)だが、しかし、いつまでたっても(ゆたか)の拳が届くことはなかった。
 無理をし過ぎた(ゆたか)は攻撃を仕掛けようとして力尽きていたのだった。
※死んでません

化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「お、おい!大丈夫か!?與鷹(よたか)!」
與鷹(よたか)「うっ……」
 暫くして、與鷹(よたか)梶太郎(かぢだろう)に叩き起こされる。(いや、叩き起こされはしないけど……)
梶太郎(かぢだろう)(ゆたか)……まさか、奴が!?」
※ところで梶太郎(かぢだろう)はどうしてここに来たんでしょうか?
與鷹(よたか)梶太郎(かぢだろう)か!?」
梶太郎(かぢだろう)(ゆたか)……こいつはここで俺が殺しておくか!」
與鷹(よたか)「やめろ!これは、俺と(ゆたか)の……双狼拳の問題だ!」
 だから、お前の出る幕はない!と與鷹(よたか)が叫ぶ
梶太郎(かぢだろう)「……わかったよ……」
 そういうと梶太郎(かぢだろう)與鷹(よたか)を担いでその場を後にするのであった。
與鷹(よたか)(……次死合えば、俺が負けるかもな……)
 再び気を失いつつ、與鷹(よたか)はそんなことを考えていた。

#7
 與鷹(よたか)が去って暫くして、(ゆたか)も目を覚ます
(ゆたか)與鷹(よたか)……逃げたか……」
 よろよろと立ち上がる(ゆたか)
(ゆたか)「フッ、だが、次は殺す!」
 奴の底は見えた!と豪語する(ゆたか)。それは本当なのだろうか?
 なお、再びぶっ倒れる(ゆたか)。やっぱりもう指一本動かせない状況だったのであった。

カイゼルグ・N・ショー「ったく、なんで俺がコイツの後始末をしなきゃいけないんだ……」
 喧嘩売ってんのか!と愚痴りながら(ゆたか)を背負って戻っていくカイゼルグ。
アレフ・サンドクロック「いや、これも、任務のひとつですし」
カイゼルグ「と、言うか俺が背負うのが間違ってる。喧嘩売ってんのか!あぁ!?」
アレフ「あっ、はい、俺が背負います。背負いますから」
 こういう時、カイゼルグに逆らうのは愚の骨頂である。
 例え、カイゼルグが自ら進んで(ゆたか)を背負って歩き出したのだとしてもだ
※ひでぇ……
(ゆたか)「てめぇら、うるせぇ!」
カイゼルグ「あぁ!?背負われてる身で何言ってやがるてめぇ!喧嘩売ってんのか!」
(ゆたか)「買ってやる!」
アレフ「ちょ、落ち着いてくださいよ、二人とも」
 ……さておき、次に死合うとき、與鷹(よたか)は敗北を喫してしまうのか!?


END

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