Eighter -Scarlet Nocturne-
9ther 〜魔影(かげ)の中に有ル(カナ) B〜



#3
梅毒竿(メイ・ドゥガン)「終わりだ!」
 ズダダダダダダダダッ
 さらにマシンガンで切り取った腕を打ち砕く。
ジョスィフ・クロード「おごお!?」
 その間にも、ジョスィフは転がりながら悶え苦しんでいた
梅毒鞘(メイ・ドゥシャオ)「ヴァルカナリアクターはヴァルカナを失えば死ぬ……」
ジョスィフ「ぐっ、き、貴様らっ……」
 それを知っているからこそ、この兄妹はジョスィフの右腕を破壊した。
ジョスィフ「きっ、貴様らの言っていることは……確かに、正しいッ!……だが、同時に決定的に間違っている」
毒竿(ドゥガン)「ほぉう、立ち上がるか……」
毒鞘(ドゥシャオ)「間違っている!?……何が?!」
ジョスィフ「ヴァルカナは、ヴァルカナリアクターにしか奪うことができないってこった!」
 無事な方の左拳を突き付けるジョスィフ
毒鞘(ドゥシャオ)毒竿(ドゥガン)「なっ!?」
 先ほどまで右拳にあった赤と青の四角を組み合わせた八芒星にXVIIIの数字が、今は左拳に刻まれている。
ジョスィフ「おらああっ!月齢掌(げつれいしょう)・下弦!」
 バアンッ
 左手の月齢が半月になり、そのまま毒鞘(ドゥシャオ)を殴りつける。すると何か風船が破裂するような嫌な音が響く
毒鞘(ドゥシャオ)「かはっ!?」
ジョスィフ「くたばれやッ!月齢脚(げつれいきゃく)・上弦」
 ドゴオオンッ
 月の御手(ムーン・レィス)が手しか使えないと誰が決めた?と言わんばかりに右足にも半月が煌めき、そのまま毒竿(ドゥガン)を蹴り飛ばす
毒竿(ドゥガン)「グガッ!?」
 よろよろとふらつきながら交代する毒竿(ドゥガン)
毒竿(ドゥガン)「よもやここまで……か……だが、タダでは死なんぞ!」
 懐から何かスイッチのようなものを取り出す毒竿(ドゥガン)
毒竿(ドゥガン)「いいや、限界だ、もう押すねッ!」
※いや、何も我慢してなかったよね
 カカッ
 ズグウンッ
 その日、越賭台(えっとだい)で謎の爆発が巻き起こった。付近の住民が近づくことがなかったため、幸いにも死傷者はたった
の二人だったという。
 そう、毒竿(ドゥガン)毒鞘(ドゥシャオ)の二人だ。
ジョスィフ「はぁはぁ……壮絶な覚悟じゃねぇか……」
 爆心地で仰向けのまま一歩も動けない状態ではあるが、ジョスィフは生きていた。
 流石ヴァルカナリアクターは不老不死というだけのことはある。
ジョスィフ「くそっ、俺の右腕を潰しやがって……」
 不老不死だけど部位欠損しても再生はしないのでは?って思うけど、実際のところはどうなんだろうか……

#4
 それから数日後……
 四川のとあるセレモニーホールにて、毒竿(ドゥガン)毒鞘(ドゥシャオ)兄妹の葬儀がしめやかに行われていた。
猫耳萌(マオ・アルメン)「先代……」
*「必ずや、先代の無念を晴らしましょう」
*「先代を殺した奴らに死を!」
耳萌(アルメン)「落ち着け……お前らは先代を殺したのが誰なのかわかっているのか?」
一同「そ、それは……」
 なんせ耳萌(アルメン)に組織を譲ってからは悠々自適な隠遁生活を送っていたのだ。護衛もいらぬと突っぱねられた結果、
誰も先代を殺したのが誰なのか分からないのだ
耳萌(アルメン)「ならば、俺に任せてもらおうか……」
一同「え!?」
 当代のその発言に、驚きを隠せない一行
※ちなみに、耳萌(アルメン)とかが片言で喋っていないのはここが中国で、母国語で喋っているからだよ

耳萌(アルメン)「ノース光輪結社を知っているか?」
*「いえ……」
*「なんです、それは?」
耳萌(アルメン)「先代はノース光輪結社の幹部の一人で、四川を任された司祭だった」
*「それは……初耳です」
 そして、五年前、ノース光輪結社を脱退し以降は有嗎幇(ユーマハン)として生きてきた。
 ちなみに、五年前にノース光輪結社から抜け出す際に奪ってきたのが《(タワー)》と《(ストレングス)》のヴァルカナである。
*「やれやれ、今更五年前のことを持ち出されてもな……」
*「で、どうするんですか?」
耳萌(アルメン)「無論、奴らを叩く」
 その宣言にオオ!と沸き立つ一行。
 更に、耳萌(アルメン)はそれだけではすまさんと続ける。
耳萌(アルメン)「先代の遺言に則り我らもヴァルカナを集める」
*「それは、どういう?!」
 流石にその発言は想定外だった。
耳萌(アルメン)「何故先代はノース光輪結社を抜けたと思う?」
一同「それは……」
耳萌(アルメン)「それは、奴らが行おうとしていることがロクでもないことだからに他らない!」
 そして、そのロクでもないことに必要なものがヴァルカナである。
 だから、奴らの目的を叩き潰すにはヴァルカナを奪う必要がある!
一同「ウオオオオ!」
 その宣言に、一同は雄叫びを上げて賛同した。
 それは有嗎幇(ユーマハン)もヴァルカナ争奪戦に参加することを意味していた。
※ちなみに、これで終わりに見えるけど、そんなことはないのです

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