Eighter -Scarlet Nocturne-
7ther 〜海底霊廟の影懸想 B〜



#3
 熊本県、天草市(かつて牛深市と呼ばれていた都市)某所
 Eighterが瀬戸内海へ向かう少し前、ノース光輪結社も同じようにヴァルカナの出現を知り出撃に向けて準備を
行っていた。
クラブの3「ヴァルカナの出現……ですか?」
ジョスィフ・クロード「あぁ、そうだ」
アレフ・サンドクロック「しかし、どうしてそれが?」
 ってか、こいつらも今までどうやってヴァルカナを見つけてきたんでしょうかね?
※謎のオカルトパワーとか?
ジョスィフ「全権代行様が、ひとつの夢を(みそなわ)された」
一同「夢……ですか?」
ジョスィフ「あぁ、その夢の中でヴァルカナの出現を存じあそばれたのだ」
 その夢というのは《シルエット》ことアドラより(もたら)された情報であることは言うまでもない。
 なお、この全権代行なる人物はノース光輪結社におけるNo.2である。
 聖職的な地位で表すならば総主教(そうしゅきょう)代行にあたるが、詳細はいずれまた……
クラブの4「では、早速我ら宣教倶楽部が……」
ジョスィフ「いや、夢のお告げにはヴァルカナを八ツ首の蛇が狙っているともあった」
 それは、Eighterのことだろう。
※まぁ、かなり昔に一人脱退して(正式なメンバーは)七人なんですけどね……
*「俺が行こう……」
 その時、なぜかこの場で一人だけ、ハルバードを担ぎ、妙にイライラしている漢が立ち上がる
ジョスィフ「ふむ、貴方が行くというのですか?」
*「あぁ!?てめぇ、俺に喧嘩売ってんのか!」
 こんなセリフを吐くのは一人しかない。かつてサイレントウィザードで呪装四天王をやっていたウェステリアだ
 ウェステリアの部下、ドキエルことアレフ・サンドクロックがもともとノース光輪結社のメンバーであったよう
に、ウェステリアもまた元からノース光輪結社のメンバーだったのだ。
 カイゼルグ・N・ショー……それがウェステリアの本当の名だ。
ジョスィフ「いえ……では、健闘を祈りますよ?」
カイゼルグ・N・ショー「行くぜ!イエスキリストノータッチ!」
一同「イエスキリストノータッチ!」
 こうして、カイゼルグは部下を数人引き連れて瀬戸内海へと旅立つのであった。

#4
 そして、話は瀬戸内海、海底へと戻る
梓與鷹(よたか)「おい、総、こいつはっ!」
 海嶺霊廟、その入り口に到達して、與鷹(よたか)は驚きを隠せなかった。
 その入口は漆黒の扉で閉ざされていたからである。そして、それはカオサイトで出来ていた。
與鷹(よたか)「調査団が中に入れなかったのは、このせいか……」
(かみ)総介(こいつは思った以上に厄介かもしれんな……)
 カオサイトで出来た扉をコンコン叩きながら総介はそんなことを考える
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「で、どうするんだ?爆破でもすんのか?」
與鷹(よたか)「お前は言動が過激なんだよ……」
梶太郎(かぢだろう)「じゃあ、どうするってんだ?」
総介「俺は墓荒らしに来たわけじゃないからな……」
出音(でおん)・グロウシュベル「つまり、鍵を探せってことか?」
山咲(やまざき)桜「いや、そんなものはなさそうですが……」
 確かに、目の前の扉には鍵穴のようなものも存在しない。だからこそ調査団も断念して引き上げたのだろう。
 いや、破壊しようと試みて全く歯が立たなかったからという理由もありそうだが
梶太郎(かぢだろう)「やっぱ最後にモノを言うのは拳よ!おらあっ!」
 ドゴオンッ
梶太郎(かぢだろう)「おっ、ごあああ!?」
 殴って後悔。余りの硬さにイカれるかと思うほどの衝撃と激痛。
総介「やれやれ、使えないやつだな……與鷹(よたか)、手本を見せてやれ」
與鷹(よたか)「いや、いくら何でも今のは酷過ぎるだろ……」
 カオサイトとはダイヤモンドの十倍の硬度を誇る、歴史の墓場にありふれた物質である。
 だが、信念を込めて叩けば簡単に破壊できるという特性も秘めている。つまり、攻略方法を知っている人にして
みればベニヤ板も同然というわけだ
 ゴンッ、ビシビシビシッ、バカァンッ
梶太郎(かぢだろう)「ぐっ、これが双狼拳(そうろうけん)ってワケか……」
與鷹(よたか)「いや、今のはなんていうか、インチキというか……」
梶太郎(かぢだろう)「な、なんだと!?てめぇどういうイカサマを使いやがった!」
 拳を押さえてまだ涙目にも関わらず立ち上がって與鷹(よたか)に突っかかる梶太郎(かぢだろう)
桜「はい、そこまでです」
 ガツッ
梶太郎(かぢだろう)「へぐ!?」
 後ろから桜にチョップされて気を失いかける梶太郎(かぢだろう)
梶太郎(かぢだろう)(何なんだ、この女……気配が察知できなかった!?)
総介「馬鹿やってないで気を引き締めろ!」
 オオオオオオオッ
一同「な、なんだ!?これ!?」
 霊廟の中より、不気味なうめき声の様がモノが聞こえる。
 それはさながら死者の叫びを彷彿させた。


続

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