Eighter -Scarlet Nocturne-
6ther 〜影より出ずる虚構 B〜
#3
やはり、天命を吸い取って情報を得るしかないのかと思っていると、デミウルゴスは静かにこう告げる。
デミウルゴス「場違いな影の遺物(のことは場違いな影の遺物(を一番よく知るものから知るのが一番でしょ?」
出音(・グロウシュベル「邪の道はヘビーって奴か」
いや、それを言うなら『蛇の道は蛇』だから
化野梶太郎(「で、その詳しい奴ってのは一体誰だよ?」
デミウルゴス「クスクスクスクス……分からないのかしら?」
上(総介「フッ、なるほどな……」
梓與鷹(「いや、総、一人で納得しないでくれよ……」
総介「だが、俺たちは既にそいつのことを知っている」
與鷹(「既に、知っている?」
総介の言葉に首を傾げる與鷹(。
そんな折、口を開くのはかんなであった
白拍子かんな「《シルエット》……」
一同「なっ!?」
確かに、《シルエット》と呼ばれていたアイツは、場違いな影の遺物(の関係者だと言われれば納得もできる。
與鷹(「だが、知っていても、会いに行く手段がない」
デミウルゴス「それは、どうかしら?クスクスクスクス……」
かんな「確かに、《シルエット》に会いに行く手段はないのでしょうけれど……」
*「そう、それで正解なんだよ」
かんなが次の言葉を告げるより先に、声が響く
一同「なっ、なぁ!?」
そして、次の瞬間には、そこに《シルエット》はいた。
與鷹(「お前が……」
*「そうだね……《弑逆(》のアドラメレク……アドラとでも呼べばいい」
與鷹(「何だって?」
それはさしずめ、幻の十番目の罪……とアドラは続ける。
アドラメレク「さて、何を聞きたいのかは大体わかるけど……その前に、君たちは場違いな影の遺物(のことをどこ
までしっているのかな?」
與鷹(「どこまでって……場違いな白き遺物(でも場違いな黒き遺物(でもない、第三のオーパーツだってこと位しか…
…」
アドラメレク「なるほど……そこからか……」
うんうんと一人で納得したのち、改めてアドラは告げる。
アドラメレク「場違いな影の遺物(というのは、この世界に存在しないはずのアーティファクトのことを言うのさ…
…」
梶太郎(「どういうことだよ!?」
矛盾してるじゃねぇか!と一人首を傾げて悩む梶太郎(であった。
#4
與鷹((そもそも、オーパーツとは、その時代の科学力ではありえないアーティファクトのことを指す……)
ならば、場違いな影の遺物(とは……どんな時代であろうとも、等しくありえないアーティファクトのことを指す
ということか!と與鷹(は一人納得する。
與鷹((そうか、《シルエット》……いや、アドラが空虚なのも、全ては存在しないはずの存在であるから……)
アドラメレク「そう、僕たちはこの世界のどこにも存在しない存在……けれどもどこにでも存在しうる存在でもあ
るのさ……」
アドラメレクに会いに行くことはできない。なぜならば、どこにも存在しないからだ
しかし、アドラメレクと出会うことはできる。なぜならば、どこにでも存在しうるからだ
総介「存在しないものに詳細な情報は存在しない……」
だから、レムリアで検索しても基本、名称しか出てこないわけだ。
デミウルゴス「では、早速本題には移ろうかしら?」
ヴァルカナと百万朱版の転生小聖印(について……
アドラメレク「百万朱版の転生大聖印(……それに百万朱版の転生小聖印(
……場違いな影の遺物(においてもっともオーソドックスなアーティファクトだね」
どちらも、この世界には存在しないはずの力を付与するアーティファクト。
アドラメレク「百万朱版の転生小聖印(は誰もが自在に付け替え可能な反面、強力な恩恵を受けることができない」
與鷹(「そ、そうなのか」
これには與鷹(もほっと一安心である。
少なくとも百万朱版の転生小聖印(であれば、殺しあいにはならない。
アドラメレク「百万朱版の転生大聖印(は、付与されている限り不老不死となり、絶大な恩恵を受けられる反面、剥
奪されれば、待っているのは死だ……」
與鷹((チッ、やはりか……)
梶太郎(「いや、待て、不老不死だぁ!?……ハッ!こりゃまた大きく出たな……」
アドラメレク「……出音(とか言ったかな……君が追っている《ザ・テンペスト》……彼はかれこれ数百年を生きて
いる人間だよ?」
一同「えぇ〜〜〜〜!?」
唐突に明かされる情報にびっくり仰天の一行であった。
総介「奴はヴァルカナリアクターの年季が違うってワケか……」
あの強さは数百年間修羅場を潜り抜けて身に着けたものってことか……道理で強いわけだな……などと総介は独
り言ち
#5
與鷹(「ヴァルカナはヴァルカナリアクターしか奪うことができないのは何故だ?」
アドラメレク「……あぁ、これに関しては、仕様としか言いようがないね……あるいは仕様バグかな」
一同「……」
そんなことを言われれば、もはや返す言葉もない。
桜「では、私からもひとついいですかね?」
なぜか明後日の方向を向きながら桜が口を出す
與鷹((どうして桜は見当違いの方向を向いているんだ?……まさか、桜にはアドラメレクの姿が見えてないのか)
與鷹(の推論は正しい。
桜はある理由から、アドラメレクを……より正確に言うならば、場違いな影の遺物(を見ることができないのだ
桜「あなたはいわば場違いな影の遺物(の首魁のようなものでしょう」
アドラメレク「うん?……厳密には違うよ。僕は場違いな黒き遺物(で言えば枢要九貴、場違いな白き遺物(で言えば
九大オーパーツCPのようなものだからね……」
桜「……まぁ、そんな事はこの際どうだっていいですが……あなたは全ヴァルカナがどこにあるのか把握できてま
すね?」
アドラメレク「……なるほど……でも、君たちだけが知るというのは不公平だから、全員が知るところになるけれ
ど、それでもいいのなら……」
総介「構わん!」
アドラメレク「じゃあ、決まりだね……」
こうして、ヴァルカナ争奪戦は新たなステージを迎えることとなる
情報においては出遅れることはなくなった。しかし、今後は必ず何かしらの組織とぶつかることになる。
END
前の話へ
戻る
次の話へ