Eighter -Practical Era-
68ther 〜業禍見参で王堕つ B〜



#3
椿木(つばき)春「どうしていきなり敵討ちとか言い出すんですか?」
 不自然極まりない。
楸木(ひさぎ)秋「ベル・ゲルミル選手とはそんなに仲が良かったとは思えないんですけど……」
 そんな生徒の発言に血相を変える二人。
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「な、何を言うかお前ら!」
風見原莉暗(りおん)「氷嵐竜・コキュートスでは散々世話になっておきながら……」
 私たちは嘆かわしいぞ!と袖で顔を覆ってわざとらしい泣き真似までやってのける天四斗(あまよと)のDr.キリコとGTR
 まぁ、確かに一宿一飯の恩義というモノはある。しかし、しかしだ……この二人がそんな義理や人情で動くなど
とはとても思えない。きっと何か面白おかしい理由があるに違いない!
※酷いけど、これ、自業自得なんだよね……
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「ベル・ゲルミル選手を倒した相手を倒せば私たちがトップランカーだ!」
 人はそれを捕らぬ狸の皮算用と言う。
一同「いや、無理でしょ……」
斬子(きりこ)「こらこら!『考えろ!考えろ!考え抜くんだ!諦めたらそこで人生終了ですよ』とカ○ジも言っているだろ
うが!」
一同「言うかッ!」
 いや、確かにいいそうな気もするけど……
莉暗(りおん)「それにお前たちは討伐不可能と言われた熱砂王・アンタレスや氷嵐竜・コキュートスを撃破した実績がある
ではないか!」
 いや、討伐不可能だと思っていたの?!と教師二人のトンでも発言に唖然とする一行。
 そんな生徒を無視して、二人は話を進める。
斬子(きりこ)「ベル・ゲルミル選手を下したのは嵐尾(らんび)というプレイヤーで、ある日突然IFOに現れた希代のルーキーだ」
莉暗(りおん)「ちなみに、レベルは78」
一同「いやいや、その理屈はおかしい!」
 ある日突然現れてLv78とかぶっちゃけありえない。
斬子(きりこ)「それから彼のジョブはターミネーターであるということもわかっている」
一同「ひょっとしてティセン!?」
 ティセン……それはIFOをプレイした初期に闘技場に出てきた謎のプレイヤーだ。
莉暗(りおん)「いや、プレイヤー名を途中で変えることはできないから、ティセンとは別人だ」
 ふ〜〜ん……って言った感じであまり興味のない一行であった。
※じゃ何だったんだ?
 なお、ターミネーターとは運営でもどうやってそのジョブになることができるのか判明していない謎の多いジョ
ブであることで有名です。

#4
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「決戦は来週!それまでに各自攻略方法を考えておくこと、以上だ!」
一同「だから無理だっつの!」
 しかし、悲しいことに、天四斗(あまよと)のDr.キリコとGTRがタッグを組んでこう宣言した以上は、その発言は覆らないの
である。

 と、いうわけで、あまり乗り気じゃないが、出来るだけのことはしておこうと、IFOにログインして情報収集を
行うことに……
*「おいおい、上位ランカーがのきなみやられたって本当か!?」
*「ああ……十位までゴッソリと……」
楠木南「うへぇ……そんなの絶対無理……」
 今やIFOは嵐尾(らんび)の話題で持ち切りだ。
*「俺も、レベルが78くらいあったら挑戦するのにな……」
*「やめとけ、やめとけ……」
 多分そんな彼はもしLv78あっても挑戦しないと思う。
*「しかし、どうやったらあんな強さを手に入れられるんだ?」
 ぽつりと、素朴な疑問を投げかける一人のプレイヤー。確かに、その疑問はもっともである。そんなに簡単にレ
ベルを上げられるのならば、誰だってあやかりたい。
*「隠しダンジョンの噂を知っているか?」
一同「俺だけ入れる?!」
 いや、なんでそこでそれ!?
*「闇夜無間回廊ってな難攻不落の迷宮があるって噂……そこはボスクラスがゴロゴロしているが、踏破すれば一
気にレベルが上がるって……」
*「あぁ、攻略スレでもたまに見かける鬼畜難易度のダンジョンか……しかし……」
 しかし、難攻不落の迷宮でマッピング機能も無効にされるという意地悪ダンジョンであり、いわゆるセーブポイ
ントでしかログアウトが出来ないダンジョンでもある。オマケにランダム方向転換床も設置してあるという意地悪
の極みという。
 無理ゲーと言っても過言ではないそのダンジョンを踏破出来れば確かに一気にレベルアップ可能だが……
*「ここだけの話、一人だけあの迷宮を踏破したプレイヤーがいるらしいぞ」
一同「な、なんだって〜〜!?」
 無論、かんなのことである。
南「じゃあ、私もその隠しダンジョンに行ってみよかな……」
 と、乗り気なナナミにいや、やめといたほうが……ってシエラが呟くのであった。


続

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