Eighter -Practical Era-
68ther 〜業禍見参で王堕つ A〜



#0
 ベル・ゲルミル……彼はIFOで一番有名なデスティアファミリア所属のプレイヤーである。
 彼がなぜ有名なのか……それはIFOのトップランカーであるからだ。
 しかし、出る杭は打たれるとはよく言ったもので、そんなベル君の身に、悲劇が訪れることとなる。
 果たして、君は生き延びることができるか?

#1
 IFO内、シアー王国のとある酒場にて……
*「なぁ、一つ聞きたいんだが、ベル・ゲルミルに逢うにはどうすればいいんだ?」
 その日、一人のプレイヤーが訪れたことから全てが始まった
*「なんだ?アンタ……見かけない顔だな……」
*「いいから俺の質問に答えろ、このハゲー!」
 いきなりの暴言。これには相手プレイヤーもキれる。
*「てめぇ、誰がハゲだ!俺はスキンヘッドだっつの!」
一同「え!?……ソウナン……ですか?!」
 どう見てもフサフサな髪質のキャラクターなので、思わず頭をジロジロ見ながら突っ込んでしまうプレイヤー一
行。
 どうやらこのフサフサな髪質のプレイヤーは現実世界ではスキンヘッドなようだ。
*「なんだ教える気がないのなら、失せろ!」
 しっしとハエを追い払うようなかの仕草を見せる無礼者。
*「表に出な!てめぇみたいな無礼者には、この俺様が直々に礼儀を教えてやるぜ」
 もはや我慢ならねぇフサフサな髪質のプレイヤー(名はマシロノゥトと言う)は正義の鉄槌を下すべく立ち上が
る。
*「はぁ……」
 対して無礼者は心底面倒臭いと言った感じでため息をつくのであった。
*「てめぇ、死んだぜ!マシロノゥトさんはなぁ、あのベル君には毎回負けっぱなしだが、IFOで実質No.2のプレ
イヤーなんだ!」
*「おうよ!毎回ベル君には勝てないことで有名だが、彼以外には負け知らずの凄腕よ!」
マシロノゥト「おい、お前ら……」
 ベル君には勝てないって点を強調するのやめろや!と不機嫌MAXなご様子のマシロノゥトであった。
*「そうか、ならば、テメェを殺せばベル・ゲルミルの野郎も俺に興味を持つな」
マシロノゥト「既に勝った気でいるとは、余裕じゃねぇか!えぇ!?」
 もはやこんな無礼千万なプレイヤーは許してはおけねぇ。マシロノゥトはここに、己の持つ全ての力をもってし
て目の前の悪敵を排除すると決めた。

#2
*「フッ……」
 ドンッ
一同「え!?」
 しかし、勝負は一瞬で終わった……いや、勝負にすらならなかった。
 気が付いたらマシロノゥト選手はキルアウトされていた。たった一撃でだ!
*「ベル・ゲルミル!出て来いや!俺は貴様に地獄を見せる漢ッ!嵐尾(らんび)!」
一同「嵐尾(らんび)?!」
 しかし、そんなプレイヤーなんて聞いたことも見たこともない……一体彼は何者なんだ!?とざわつく観客

ベル・ゲルミル「そこまで言われちゃあ、出ないわけにはいかないな……」
一同「あっ、ベル・ゲルミルさん!?」
 かくて、ベル君は来る
嵐尾(らんび)「来たな、ベル・ゲルミル!貴様の伝説も今日で終わりよ!これからは俺様がトップランカーとして名を馳せ
る」
ベル「だったら、やってみな……IFOトップランカーの名は伊達ではないということを思い知らせてやる!」
 いいぞ!やっちまえ〜〜と観客はもっぱらベル君を応援する。嵐尾(らんび)にしてみればきわめてアウェーな戦場であっ
た。
ベル「シックス・スレイブ!」
嵐尾(らんび)「ジャケットアーマー、パージ!」
 ゴガガガガガガガッ
 高速移動からの六連撃……を装備していた鎧を自ら吹き飛ばし応戦
ベル「何!?」
嵐尾(らんび)「終末の喇叭(ラッパ)」
 ドスッドドドドドッ
ベル「ぐ、ぐおおお!?貴様!?」
 嵐尾(らんび)が分身すると手裏剣や苦無を手に四方八方から連続攻撃。一気にベル君のHPを削り取る。
一同「な、そんな……馬鹿な!?」
 あのベル君がこうもアッサリと!?
嵐尾(らんび)「教えてやる!俺のレベルは78だ!」
一同「な、なんだってぇ〜!?」
 それは、つまり、名実ともにベル君を超えた兵であるという証明であった。

 それから数日後……
 天四斗(あまよと)工業、3-J
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「あ〜、みんなも知っての通り、IFOのトップランカーが何者かに(ほふ)られた」
一同「な、なんだって〜!?」
 ノリがいいな、お前ら……そして、何者かじゃなくて、既に下手人の名は判明しているから
風見原莉暗(りおん)「そこで我々は彼の敵討ちを決行する!」
一同「いや、無理でしょ!」
 IFOのトップランカーが相手にならなかった相手を討ちに行くとか無理ゲーにも程がある。
 一体何を言い出すんだこの教師は!?といった空気で教室が満たされる。


続

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