#0
　2020年、コロナ襲来、東京（オリンピックの開催は）壊滅（的）！？
　2021年、コロナ襲来、東京（オリンピック開催が）壊滅（的なのは）再び！？
　そう、SE○Aは2020年と2021年に東京が大変なことになるのをゲームとして予言していたんだよ！
※ナ、ナンダッテー！？
　これは、一変した世界を生き抜く者たちの物語

#1
　天四斗(あまよと)工業3-J
　その日、久しぶりに、本当に久しぶりに成金こと成小路金厭(なりのこうじ・かねあき)が登校してきた。
　なんだか太陽が黄色く見えるって感じにやつれているのは気のせいではない。
品辛斬子(ぴんから・きりこ)、風見原莉暗(りおん)「おっ、一児の父、おめでとう！」
　パンパンとどこからともなくクラッカーで祝福（？）する教師
成小路金厭(なりのこうじ・かねあき)「いや、違うから！」
斬子(きりこ)「何！？では二児か！？」
金厭(かねあき)「数の問題でもない！」
莉暗(りおん)「だが、今までずっと子作りに励んでいたのだろう？」
金厭(かねあき)「俺は、童貞だ！」
　まるで、ガン○ソードの主人公のようにキリっと宣言する成金であった。
斬子(きりこ)「嘘をつかなくてもいいぞ。学生結婚による退学というのもまた一つの人生だ」
金厭(かねあき)「だから違うと……」
　とにかく人の話を聞け！と成金が叫ぶので、とりあえず話を聞くだけ聞いてみることに……
　いかにして成金は『あなたと合体したい』とぐいぐい迫ってくる肉食系女子、餡銅鑼真曦逅(あんどら・まぎあ)から貞操を死守した
のか……
金厭(かねあき)「コロナ禍という時代に助けられた。夫婦の営みもソーシャルディスタンスが必要と説き伏せることでなんと
か貞操を守り抜いたんだ」
一同「……」
　それって、本番行為はしてないけど、近いところまではヤっちゃったってことだよね……って心の中で一同は考
えた。
※そして《アンドラの魔女》が転んでもただでは起きるとは思えない。十月十日後、きっと成金は絶望することに
　なる。知らんけど
金厭(かねあき)「そんなことよりも、今日俺がここにやってきたのは理由があるんだ！」
楠木南「懲りずにかんなに告白するとか言うんだったらスマキにして《アンドラの魔女》の寝室に送り届けるけど
いい？」
　ボキベキと指を鳴らしながら、キラースマイルを浮かべて南がトンでもないことを言う。

#2
金厭(かねあき)「き、今日ここへやってきたのはウチが経営する新たな飲食店についてキング忌憚なき意見を貰いたいからな
んだ」
　いや、キング忌憚なき意見ってなんだよ！
斬子(きりこ)、莉暗(りおん)「その話、乗ったぁ！」
　そして、そんな面白いことを見逃さない天四斗(あまよと)のDr.キリコとGTRではない。目をキラキラさせながら食いつく。
金厭(かねあき)「時代はコロナ禍真っただ中。未だ出口が見えない先行き不安な時代だが、そんな中でもかつての様に密集し
て飲食したいと考えるバカが少なからずいるはずだ」
一同「いや、酷い暴言……」
金厭(かねあき)「そこで、我が成小路(なりのこうじ)フランチャイズは密集してもクラスターが発生しない仕組みを考えたのだ」
一同「え！？そんなこと可能なんですか！？」
　確かに、それは特許とはまた違うかもしれないが、今の時代からしてみれば物凄い発明に思えた。
　百聞は一見に如かず！まずは体験してみるのが一番！と、いうわけで成金にひきつられて一行は件の新興飲食店
へと足を運ぶ
　天四斗(あまよと)某所、喫茶店・宇宙心彼
榎木(えのき)夏「喫茶店・宇宙……何！？」
金厭(かねあき)「宇宙心彼(そらがれ)……昼は11:30〜15:00まで定食屋、夜は17:30〜20:00まで居酒屋として経営するスタイルだ」
斬子(きりこ)「一見すると普通の喫茶店にしか見えないが……」
金厭(かねあき)「外見より中身……いや、サービスが肝心だからな……」
　ささ、入ってくれ！と言われるのでひとまず入ってみると……
　ブシュ〜〜
一同「うわっぷ！？」
　いきなり、エアシャワーの洗礼。それはまるで危険度の高い病原菌を扱う施設に出入りする様
金厭(かねあき)「みんな、店内に入る前に、コレに着替えてくれ」
柊木(ひいらぎ)冬「え！？これ！？」
　そういって手渡されたのは宇宙服だった。
　確かに、宇宙服を着こんでいれば密集してもクラスターとかは発生しないかもしれない……だが、この状態で飲
食ができるとはとても思えない……
楸木(ひさぎ)秋「いや、これ、どうやって飲食するんですか？」
金厭(かねあき)「フッ、心配いらない！このヘルメット部分にチューブがいくつか出ているだろう？」
一同「え、ちょ、まさか……」
金厭(かねあき)「NASAと連携して最新の宇宙食を提供するのがこの店の最大の特徴だ！」
　安心しろ！味は保証する！と豪語する金厭(かねあき)。

#3
　いや、問題なのは味ではない……味より大事なもの、あると思います。
　とりあえず、今回の目的はキング忌憚なき意見を述べることにある。ひとまず実食開始
※いや、だからキング忌憚なき意見ってなんだよ！
　シュコ〜〜、シュコ〜〜
一同「……」
　当然チューブから出てくる飲食物と言えば、流動食しかない。それは確かに焼き鳥の味だったり、シーザーサラ
ダの味だったり、カルパッチョの味だったりした……
　確かに、味は問題ない……だけどやっぱり、コレジャナイ感がハンパない

金厭(かねあき)「どうだ！？」
斬子(きりこ)「では、素直な意見を述べよう。普通にマスク会食した方がいい」
莉暗(りおん)「そして一番の問題は飲食料より宇宙服レンタル料の方がクソ高いということだ！」
一同「……」
　こんな苦しい思いをしてまで、密集して飲食なんてしたくない……つまり、この企画は大失敗だ
金厭(かねあき)「そ、そんな……開店前から大赤字必至だなんて……どうすれば……」
　ガックリと頽れる成金。
　そんな成金を見かねて救いの手を差し伸べる天四斗(あまよと)のDr.キリコとGTR
斬子(きりこ)、莉暗(りおん)「なに、資金の問題ならば《アンドラの魔女》の寝室でみっちり話を付ければ万事解決だ」
金厭(かねあき)「嫌だ〜〜〜！」
　こうして、この企画は失敗に終わったのだった……


END