Eighter -Practical Era-
63rder 〜辻斬りを狩り()れ B〜



#3
 縦横無尽に森を駆け巡り、鉄球を蹴り出す(わら)うボールの猛攻に、徐々に、そして確実に追い詰められていくスト
ライクフォーミュラ
(わら)うボール一同「ハイパー電動電磁シュート!」
 いや、それサッカーちゃう。GE○R戦士電動やから!
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「ボールが来るぞ、散れ〜」
 いや、言われなくとも散開しますが……
*「ぐげえ!?」
 しかし、逃げ遅れた不運な生徒は鉄球の直撃を食らってキルアウトされてしまう。
キャプテン・ウィング「やるな……まさか我らがここまで苦戦するとは想いもしなかったぞ」
樫木堅(かしぎ・けん)「それは……どういたしまして?」
 明らかに苦戦しているのはこっちの方なのだが……(わら)うボールの連中にしてみればここまでてこずるとは思って
もみなかったためだろう。
キャプテン・ウィング「だが、貴様らの命運もここまでだ!野郎ども!限定解除だ!」
(わら)うボール一同「オオ!」
 そう叫ぶなり、一行は右足に纏っているブーツの側面にあるスイッチを押す。
キャプテン・ウィング「教えてやろう。我らが装備するこのブーツはキック力増強ブーツ!電撃や鍼で脚のツボを
刺激してキック力を通常の三倍にまで高める優れものだ!」
※はい。どこからどう見ても名探偵○ナンに出てくるキック○増強シューズです。ありがとうございました。
キャプテン・ウィング「くたばれッ!スカルデスハリケーン!」
 ズドオンッ
 明らかにスカイ○ブハリケーンを意識したネーミングの癖に、ただの蹴りである。しかし、キック力増強ブーツ
によりその威力は凄まじい。
*「ぎゃああ!?」
 今の技でまた数名の生徒がキルアウト!
キャプテン・ウィング「絶望がお前のゴールだ!」
 ビシっと決め台詞を叫ぶキャプテン・ウィング。いや、それサッカーちゃうから!仮面ラ○ダーやから!
榛木(はしばみ)秦「やっぱ一旦撤退しましょうよ」
風見原莉暗(りおん)「ダメだ!ポケ○ンバトルでも相手トレーナーから逃げることは出来ないだろ?」
一同「いや、ポ○モンじゃねぇよ!」
 せめて魔王からは逃げられない!って理由にしてほしい。
 全滅するか、勝利するか、二つに一つ。
※もっとも、かんながいるから全滅することはないと思います。

#4
 その後も次々と生徒がキルアウトされ、もはや残っているメンバーはネームドのみとなった
※いや、言い方……
 万事休す……と、思われたその時、後方から何やら集団がやってくる。
一同「な、なんだ!?」
カセン、シセン「見つけたわよ!PK集団!」
 やってきた彼女らは修道の女達(シスターズ)。
一同(そういえば、修道の女達(シスターズ)のメンバーもやられたって話あったな……)
カセン「貴方たちの凶行もここまでよ!」
シセン「特務部隊、前へ!」
 シセンが叫ぶと同時にまるで鬼がもつ棍棒のようなものを引きずった九人が立ちはだかる。
キャプテン・ウィング「へっ、たった九人で俺達に立ち向かうとは愚かな……」
カセン、シセン「愚かなのはそっちよ。私たち修道の女達(シスターズ)に喧嘩を売ったことを現実世界(あの世)で後悔させてあげるわ」
※現実世界をあの世って表現するのはどうなのか……
 そして、九人は棍棒をビシっと(わら)うボールの面々に突き付けるとそのまま両手でしっかりと、まるで野球のバッ
トを持つかのように握りしめる。
 ……と、言うか、その棍棒はどこからどう見ても釘バットだった。
 野球 VS サッカー、因縁の死合がいまここに始まろうとしていた
※いや、別に因縁なんてないし!
(わら)うボール一同「スカルデスハリケーン」
修道の女達(シスターズ)「消える魔球」
 カキィ〜〜ンッ
キャプテン・ウィング「なっ、なにぃ!?」
 凄まじい威力で蹴り出された鉄球を、女性の膂力とは思えない威力で跳ね返す。
 あと、消える魔球ってバッターじゃなくピッチャーの技だから。
 さておき、(わら)うボールの面々は鉄球を蹴って相手をキルアウトすることには慣れていたものの、それが自分たち
に跳ね返ってくることは想定していなかった。
 そのため、今度は逆に(わら)うボールの面々がキルアウトされていく。
シセン、カセン「成敗!」
 ボコボコボコッ
 そして、最後は釘バットでタコ殴り。ここに(わら)うボールの野望は潰えた。

斬子(きりこ)「うむ。一件落着だな」
莉暗(りおん)「終わりよければすべてよし」
一同(いや、俺達ほとんど何もしてないよね……)
 と、言うか、最初から修道の女達(シスターズ)に任せておけば万事解決だったのではないか?と思うほどである。

#5
 こうして、この辻斬り事件は幕を閉じた。
 その後、(わら)うボールがどうなったのかというと……IFO内でのPKのやりすぎで現実世界のサッカーでもボールは
相手選手に蹴りつける癖が抜けなくなってしまった。
 その結果PKが弱点以前に、反則で敗北することが多くなってしまったのだという
※最初からPKの練習が間違っていたため、当然の結果である。

 そして……
*「おい、聞いたか……あの噂」
*「なんだよ?」
*「ほら、PK集団」
 修道の女達(シスターズ)の活躍により、一時は収束したPKが再び猛威を揮いだす。
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「聞いたか!PK集団が帰ってきたことを!そこで、今度こそ我らだけの力でPKを狩りにいこうではない
か」
一同「絶対嫌だ!」
 そういうのは有志に任せておけばいいし、危険地帯には近づかなければ問題ないので……
 こうして、(わら)うボールは今でもIFO内で間違った意識のままPKの修業に明け暮れている。
※そこ!何もしない運営は無能だとか罵らないこと


END

前の話へ  戻る  次の話へ