Eighter -Practical Era-
63rder 〜辻斬りを狩り()れ A〜



#0
 辻斬り……それは時間を超え、空間を超え現代に黄泉帰った。いや、受け継がれたのかもしれない。
 これはそんな現代に復活した辻斬りの物語である。

#1
 天四斗(あまよと)天四斗(あまよと)工業3-J
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「よし、今日はみんなで辻斬りを退治に行くぞ」
 その日も、唐突に天四斗(あまよと)のDr.キリコは宣言する
一同「いや、いきなりすぎる!……ってか辻斬りぃ!?」
 今日日辻斬りなんて聞かねぇなぁ……とか思っていると、GTRが補足説明を行う。
風見原莉暗(りおん)「最近IFO内でPKが跋扈しているのはご存じの通りだと思う」
一同「いや、知らんけど……」
 初耳だった。
斬子(きりこ)「そこで我らがその問題の辻斬りを退治しようと思い立ったのだ」
莉暗(りおん)「うむ、思い立ったが吉日とはよく言うからな」
一同「辻斬りってゲームの世界でのことかよ!」
 そう、ここまで来ればもうお分かりかと思うが、現代に黄泉帰った辻斬りとはゲーム内のPKのことだったのだ。
※な、なんだってぇ〜〜!?

 と、いうわけで一行は早速IFOにログインする。
*「おい、聞いたか……また出たんだとさ……PKが」
*「マジかよ!?」
*「あぁ、今度は修道の女達(シスターズ)の連中が三人ほど……」
*「なっ、奴らに手を出すとは命知らずな連中もいたもんだな……」
 IFO内では既に件のPKの話で持ち切りとなっているようだった。
※ってか、今までプレイしてきて誰も気づかなかったの!?この異変に……って疑問が出てくるんですが……
 辻斬りが頻発している場所はシアー王国とフビー帝国の国境付近の森。今やそこは不要不急の接近は厳禁となっ
ている。
斬子(きりこ)「よし、じゃあ、行先は決まったな!」
 うむうむと頷く斬子(きりこ)莉暗(りおん)
*「あ、あんたら……まさかとは思うがシアー王国とフビー帝国の国境付近の森に行くんじゃなかろうな!?」
*「やめとけ、やめとけ、殺されに行くようなもんだぞ……」
莉暗(りおん)「心配無用。我々はセールスブリンガーから正式に依頼を受けている」
*「な、なんと!」
 無論、真っ赤な嘘である。
※嘘だってバれないのはかんなの超強運のおかげです。
一同「御武運を……」
 ビシィッと敬礼してストライクフォーミュラの面々を送り出すプレイヤーであった。

#2
 シアー王国とフビー帝国の国境付近の森へ差し掛かる一行
樫木堅(かしぎ・けん)「気を付けろ、既にここは敵のエリア」
 いや、言われなくともわかってるが……
斬子(きりこ)「来るぞ!」
 そして、賊は早速、お出ましだ。
一同「な、なんだこいつら!?」
 やってきたのはまるでサッカーのユニフォームを着たような十一人のプレイヤー。
一同「我ら、(わら)うボール!PKを極めんとするものなり!」
 ガシィっと棘のついた鉄球(所謂ガン○ムハンマー)を足蹴にして宣言する一行。
*「キックオフ!」
 ドゴオンッ
 リーダー格のキャプテン・ウィングなる者がそう叫ぶなり、棘のついた鉄球を蹴り出す十一人
(けん)「のわあっ!?」
 ガキィンッ
楠木南、榎木(えのき)夏「どうやらアンタたちが例の辻斬りで問題なさそうね」
 飛んでくる鉄球を弾き返しながら南、夏が叫ぶ。
キャプテン・ウィング「辻斬り!?……フッ、違うな、我らはPKを極めんとする者」
 そう、彼らは見ての通り現実世界ではとある高校でサッカーをやっている団体であった。
 しかし、彼らのチームには弱点があったのだ……そう!それはPK!彼らはいつもPKでヘマをして得点を見逃して
いるのだ。
 そして、何をどう間違ったらこうなったのか……彼らはIFOに出会い、そしてPKの修業を始めたのだ。
※いや、それPK違いだから……本当、どうしてこうなったのだ……
一同「……」
 あまりにも無茶苦茶な理由に唖然とする天四斗(あまよと)工業の面々。
キャプテン・ウィング「蹴れ!蹴れ!PKの道は一日にしてならず!」
(わら)うボール一同「イエッサー!」
榛木(はしばみ)秦「くっそ……こんなことならバズーカでも持ってくるんだった」
 流石にハンドガンで鉄球を打ち返すのは無理がある。
キャプテン・ウィング「友達はボールだ!」
(わら)うボール一同「イエッサー!」
 最悪な名言である。
秦「くそっ、こいつら……」
 森の中でずっとボールを蹴っていたからであろう……森の癖を知り尽くしてそれに合わせてボールを蹴ることに
慣れた(わら)うボールの蹴り技は神業の域に達していた。
 明らかに地の利は(わら)うボールにある。ジリ貧だがなんとか持ちこたえているのは(ひとえ)にかんなの超強運のおかげで
ある。


続

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