Eighter -Practical Era-
57ther 〜温めなる逓信大戦 D〜
#7
アンドロイドの性能を競う勝負、その最中、天蓋(の徒(が出現して異議を申し立てる。
するとMCCメリーパーの連中は愚かにも天蓋(の徒(に歯向かうことを決意してしまったではないか……
*「フッ、我らがグラン23Moはデルタカイフォースを単独で壊滅に追いやったほどの戦闘能力を誇る最高傑作よ」
ところで戦闘力を競う勝負がなかったのはMCCメリーパーの最後の良心だったのだろうか……
品辛斬子(「で、なんだ?そのデルタカイフォースとやらは……」
*「知らぬなら教えてやろう!それは我がロシアが誇る精鋭!TNT爆弾(を装備した特殊部隊のことよ」
風見原莉暗(「デルタフォースの親戚か何かかと思ったが違うのか……」
*「当然よ!」
いや、ネーミングはパクったとしか思えないんですけどね……
ちなみに、武器はTNT爆弾(だけというわけではない。そして、デルタカイフォースに所属している兵士達はその
激しい訓練のせいか人格が変わってしまっているのだという。
※どうでもいいけど、デルタプラスフォースとかもありそうだよね……(本当どうでもいい……)
まぁ、そんなことはさておき、グラン23Moは無謀にも天蓋(の徒(に襲い掛かる。
ガガッ
天蓋(の徒(「むむ、これは!?」
軽くひとひねりで終わるだろうと思われた勝負だが、なんと!天蓋(の徒(に抗しているではないか!これは驚愕!
一同「マジかよ……」
*「見たか!これがグラン23Moの底力!」
くるんっドタンッ
*「いえっ!?」
だが、次の瞬間、いともたやすく投げ飛ばされ組み敷かれてしまうグラン23Moであった。
やっぱり、天蓋(の徒(を倒そうなどと無理にも程があったということか……
バカンッ
そして、天蓋(の徒(は背中のカバーを無理やり引っ剥がして中を見せる。
天蓋(の徒(「やはりな……」
そこには漆黒の板が一枚埋め込まれていた。
※そう、その漆黒の板とは言うまでもなく、カオスプレートである。
天蓋(の徒(「貴様ら、これをどこで手に入れた!?」
*「馬鹿め!企業秘密に決まっているだろう!」
天蓋(の徒(「まぁ、いい、回収するだけだ」
*「や、やめろ〜〜!」
悲痛な叫びが谺する。
#8
*「……なんてな!」
ガシッ
天蓋(の徒(「ぬ!?」
突如、背後から天蓋(の徒(の腕を掴む何者か……気配もなく訪れたそれは、そう、グラン23Moだ!
※アンドロイドなので人の気配がなかったってそういうオチ。
しかも十数体いる!
*「グラン23Moは一体だけではないわっ!」
*「さしもの天蓋(の徒(もこの数を相手には手も足も出まい!」
ドドドドドッ
そのまま一気に抑え込まれる天蓋(の徒(。
*「フハハハ!勝った!第三部完ッ!」
いや、第何部とかないから!そしてそれは死亡フラグみたいなものだから!
*「見たか!我がMCCメリーパーのアンドロイドは天蓋(の徒(をも凌駕する最高傑作よ!」
*「コレが量産の暁には境界線上のベライゾンなぞひとひねりよ!」
何言ってんだこいつら……
みしみしっ、めきめきっ
と、その時、天蓋(の徒(を抑え込んでいたグラン23Mo達から嫌な音がする。
ドカァンッ
一同「ンなぁッ?!」
グラン23Mo一同が爆発四散したかのような勢いで四方八方へ弾き飛ばされる。
天蓋(の徒(「ちょっと手加減してやれば、付け上がって……あまり私をなめるなよ!」
アイマスクをしているからわからないが、ギラ〜ンと目が怪しく輝いているに違いない。そんな光景だった。
*「だ、だが、グラン23Moがはあと十年は戦えるッ!」
いや、一回の充電で稼働時間が十年ってことはないでしょうに……
*「やれ!グラン23Mo!奴を倒せば報酬は十倍だ!」
アンドロイドが金で動くわけないでしょ!と一同は心の中で盛大に突っ込んだ瞬間である。
だが、命令には逆らえないのが悲しい道具のサガなのか、めげずに天蓋(の徒(に襲い掛かるグラン23Mo。
天蓋(の徒(「……はぁ……」
どかどかどかどかどかんっ
天蓋(の徒(は大きなため息を一つついてから、四方八方から襲い掛かってくるグラン23Mo一人一人に対し律義に正
面を向いては拳を突き出していく。
*「な、なんだとぉッ!?」
そして、勝負はついた。やはり、種族が違うのだ。天蓋(の徒(に敵う人間などいないということだ
※いや、人間じゃなくてアンドロイドだけどね……
天蓋(の徒(が繰り出した拳はグラン23Moの腹から背中へと貫き、漆黒の板を体外に強制排出していた。
さしものグラン23Moも、心臓部分たる漆黒の板を抜き取られては活動できない。
#9
*「馬鹿なっ!我らが英知の結晶が……」
天蓋(の徒(「予告通り、これはすべて回収させてもらう!」
*「ま、待ってくれ!それがないと境界線上のベライゾンのアンドロイドを超えるアンドロイドを作り上げるとい
う我が社の希望が……」
それはどちらかというと野望だ。
*「そ、そうです、MCCメリーパーがアンドロイドで覇権をとるためにはどうしてもそれが必要なんです!」
天蓋(の徒(「……ならば、これがどういったものでどういう風に作り出したのか、説明してみろ!」
漆黒の板を一枚ズズイっと突き出して天蓋(の徒(が吠える
*「そ、それは……」
言葉に詰まるMCCメリーパーの社員たち。なんだか雲行きが怪しくなってきた……
*「お、おい、お前!あれがどういうものなのかこと細やかに説明してやれ!」
そして、最初の方でアタッシュケースにソレを詰めて持ってきた男に白羽の矢が立った
*「……きっ、企業秘密は絶対なので……」
冷や汗をダッラダラかきながら男が呟く
そう、これは秘密なのではない、彼らにはこれがどういったもので、どうやって作り出すことができるのかを説
明できないのだ……
こうして、MCCメリーパーの野望は打ち砕かれた……
なお、プールの底に沈んでいたアリアは修理されて今も元気に動いています。
END
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