Eighter -Practical Era-
56ther 〜内完全な宿業(インパーフェクトフォルトゥナ)(ざれり) D〜



#7
 天下統一武闘会、ファイナルラウンド……奇しくも天四斗(あまよと)工業の教師と生徒の死合となったこの大会……果たし
て勝利の女神は誰に微笑むのか?!
ベル・ゲルミル「レベルが低いプレイヤーはレベルが高いプレイヤーに勝てないということはない!」
※ちなみに、その極端な例はかんなです。
榎木(えのき)夏「そうよね……この勝負、何としても勝つわよ!」
櫟木樂(いちい・らく)「そうね」
椛木(もみじ)花「一気に行くわよ!轟け歌声!精神コマンド魂のルフラン!」
 ピロリンピロリンピロリンッ
夏、(らく)「これは?!」
 今度は攻撃力が大幅に底上げされたのを感じる。
※精神コマンド魂……のルフランって……
 行ける!そう考えた夏と(らく)は一気に畳み込もうと襲い掛かる。
夏「鍬形割り」
(らく)「天眼一閃」
 鴉彫死(あぼりじに)二刀で挟み切りにかかる夏と仕込み箒での一閃を繰り出す(らく)品辛斬子(ぴんから・きりこ)、風見原莉暗(りおん)「教鞭・愛の鞭」
 ズビシッ
夏、(らく)「痛いッ?!」
 だが、しかし、必殺の一撃(いや二人で二撃だけど)をさらりと回避してカウンターを繰り出す教師二人。
※教鞭が物理的すぎる件
ロウ・ジェノム「今のは必殺の一撃のようでしたが、回避するとは流石レベル45といったところでしょうか?」
ベル「いや、あれは愛の鞭の効果だろう」
ロウ「と、言いますと?」
ベル「愛の鞭の効果は相手の技を一度だけ完全回避してこちらの攻撃をしばらく必中にする効果を持つ」
ロウ「おぉ!そんな効果が!」
 さらに攻撃力もアップしてスピードもアップして気力もアップする効果もついてくる。
※愛の鞭の『愛』ってスパ□ボR以降の精神コマンドかよ!
夏、(らく)「何それ、チート……」
ベル「愛の鞭は連続して使用できないが難点……」
 ぼそりと呟くベル君の言葉を夏と(らく)は見逃さなかかった。
 今一度攻撃を繰り出せば、今度は回避されないはず……
夏、(らく)「うん」
 こくりと頷きあう夏と(らく)。今、ここに覚悟は決まった。
花「轟け歌声!精神コマンド魂のルフラン!」
 ピロリンピロリンピロリンッ
夏、(らく)「覚悟ッ!」
 今一度攻撃力を高めてもらい、特攻を仕掛ける夏と(らく)斬子(きりこ)莉暗(りおん)「決死の覚悟というわけか……だが、甘いわ!」

#8
一同「ああっ!?」
 夏と(らく)の決死の一撃が斬子(きりこ)莉暗(りおん)に直撃。だが、しかし、斬子(きりこ)莉暗(りおん)の教鞭(物理的)もまた、夏と(らく)に炸裂す
る。
ロウ「おおっと!これはぁッ……」
斬子(きりこ)「相打ちか……」
莉暗(りおん)「なるほど……それも悪くない……」
夏、(らく)「勝ったッ!」
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「だが、私たちを倒しても第二第三の敵がお前たちの前に立ちふさがるだろう……」
一同「いや、そんな展開ないから!」
 またしても一同、心からの突っ込みだった。
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「だが、これで今大会は勝者なし……」
ロウ「いや、それは違う」
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「え!?」
ロウ「キリコ、GTP、イチイバル、メビスが相打ちになったことで今回の優勝者は†ボトル†に決まりました!」
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「し、しまったぁ〜〜!」
 そう、覚悟とは……暗闇の荒野にって違うからッ!そういうんじゃないからッ!
 夏と(らく)は決死の覚悟で相打ちを狙い、花を今回の勝者にする覚悟を決めて特攻を行ったのだ。
ロウ「では、漁夫の利のような感じで勝利を掻っ攫った†ボトル†さん、一言お願いします」
花「バニッシュメント〜〜ディスワールド〜〜!」
一同「うぉお〜〜〜!」
 何故かいつの間にか観客の一同がペンライトを片手に盛り上がっていた。
※ちなみに、それは†ボトル†が厨二病アイドルだって気づいたわけではない……と思います。

 そして、話は現実世界へと戻る
 天四斗(あまよと)工業3-J
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「あ〜、イベントも終わったな……」
一同(なんかすげぇ機嫌悪い……)
 おそらく乱入して勝利を掻っ攫って名乗りを上げるってなことがやりたかったんだろう……その目論見が脆くも
砕け散ってしまったことでこの二人は不機嫌MAXなようだ……
 大人げないにもほどがあるぞ。
莉暗(りおん)「はぁ……まぁいい、IFOは始まったばかりだからな……」
一同(ってか、まだ続けるのか?)
 あくまで授業の一環ですから……
夏「あ、そ、そうだ……あの成金はどこに!?」
 険悪なムードを紛らわすために……話を逸らす。
莉暗(りおん)「あ〜、成金なら早退したぞ……」
斬子(きりこ)「IFO内イベントで敗北した時にな……」

#9
一同「え?」
 それは一体どういうことなのか……
斬子(きりこ)「まぁ、お前たちにならバラしても問題ないだろう……あのゾフェルというプレイヤーがいたと思うが、実は
あいつは《アンドラの魔女》だったんだ」
一同「な、なんだってぇ〜〜!?」
 驚き半分、納得半分といった感じだ。
 でもってノリで叫んでいる。
楠木南「え!?ってことは……」
 イベント内で敗北して、負けて勝者のいいなりになったってことは……
 成金にとって一番の不幸はゾフェルの正体が《アンドラの魔女》だと知らなかったことにある。
 成金と同等かそれ以上の課金ができるプレイヤーがそうそういるわけもなく……もしかしたらこいつは……と考
えていれば未来はまた違ったかもしれない……
 もはや今となっては手遅れなのだが……
 ご愁傷様です……とクラス名と一同が両手を合わせて祈りをささげた瞬間であった。
斬子(きりこ)「ま、成金のことはこの際置いといて、お前ら、これからもIFOを頑張るんだぞ!」
一同「頑張るって……」
 eスポーツによる間違った教育改革……それはまだ始まったばかりだ!
※ってこれ、これからも続くんか?!


END

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