Eighter -Practical Era-
55ther 〜非完全な宿命の宴 A〜
#7
啖呵を切って、襲い掛かるゴート
ヴンッ
何ということでしょう!マイクのお尻部分からビーム刃が!
※どこのAKB〇〇48だよ!
と、言うか、歌唱力じゃなくて、戦闘力で勝敗を決めようとするゴートにこんなアイドルって、もしかして……
と天四斗工業3-Jの面々は思った。
そして、その予想は大いに当たっている。そう、何を隠そうこのプレイヤー、幕辺ぼとるのライバル(かもしれ
なくもないかもしれない)羊ヶ礼(直子である。
※ってかそもそもゴートって羊じゃなくて山羊だよ
椛木(花「甘いッ!」
勝負の方に話は戻るが、花の方も負けじとマイク型ビームサーベルで応戦。鎬(を削る鍔迫り合いへと発展する。
鬼気迫る死合……それは今までの勝負が馬鹿らしくなるくらいに真剣で、これがアイドル同志の勝負でなければ
最高だったのに……いろいろな部分が間違っているとしか言いようがない……
ゴート「なかなかやるわね……だけどッエクステンションビート!」
カカッ
光に包まれるゴート。
ゴート「これがアイドルの底力よッ!」
ズガンッ
花「んぐう?!」
身体能力が一気に向上した光り輝くトップアイドルに吹き飛ばされる花。
ロウ・ジェノム「エクステンションビート……それは自身の能力を30秒間向上させるトップアイドルの切り札ッ」
思わず解説にも力が入る。
ゴート「さぁ!負けを認めなさい!」
ズビシィっと指を突き付けて叫ぶゴート。
※いや、強化時間30秒しかないんだから、突っ立ってないで攻撃しろよ!
花「……アイドルは、スキャンダルの底から再び黄泉帰る!」
ゴート「って、それ私のセリフ……」
花「まさか私にこの技を使わせるとは……食らえ!エクスティンクションソング!」
人のセリフをパクりつつ、花はマイク型ビームサーベルを地面に突き刺してマイクスタンドのように使用する
花「古の夜が来た、絶望〜の夜〜だ♪悲し〜みに胸を閉〜じて、茜空〜仰〜げ〜♪」
そして、突如歌う。
一同「歌詞逆、逆ぅ!」
どうしていきなりその曲をチョイスしたのか?
花「ラジオ館の〜屋根に〜♪現〜れた、タイムマシン〜♪」
一同「何故そこシュ〇ゲ!?」
#8
ゴート「戦闘力じゃ敵わないからって歌唱力で勝負しようとでもいうのかしら?……フン、トップアイドルをなめ
ないでよね!」
一同(いや、アイドルなら歌唱力で勝負しろよ!)
歌に集中して無防備な感じの花に容赦なく攻撃を叩き込むゴート。鬼やアンタ……
花「次の曲、行っくよ〜〜〜!」
一同「うぉおおお〜〜〜!」
もはやここは戦場ではない……いや、アイドルにとってはコンサート会場は戦場か!?
ゴート「歌って戦うアイドル……これが、トップアイドルの真の姿……」
そんな彼女の姿をみて、愕然とするゴート
※そんなアイドル、AKB〇〇48の世界だけや!
ゴート「ゴフッ!」
その時、突如として血を吐くゴート。ステータス画面をよく見るとぎゅんぎゅんとものすごい勢いでHPが減って
いく。
ゴート「くっ、まさか……私が、彼女のアイドル力に圧されてるとでも?!」
※違います。
かくて、ここに勝負はついた……
間違ったアイドル頂上対決、それを制したのは厨二秒アイドルの花だ!
ロウ「今の死合、どう見ます?ベル・ゲルミルさん」
ベル・ゲルミル「そうだな……エクステンションビートを使ったのがまずかった」
ロウ「と、言いますと?」
ベル「正確に言うならば、相手がエクステンションビートを使った後でエクスティンクションソングを使った†ボ
トル†の作戦勝ちといったところだろう……」
エクスティンクションソングとは、使用後に一定時間経過で双方相打ちになる諸刃の刃である。
※それ、ポ〇モンの『ほろび〇うた』やないかい!
通常ならば、エクスティンクションソングを使った時点でよくて相打ちが関の山だった。しかし、ゴートはエク
ステンションビートを使ってステータスを底上げしていたのがマズかった。
強化時間が切れた際に、反動で弱体化した一瞬の隙にエクスティンクションソングが猛威を振るったというわけ
だ。
ベル「使った順番が逆だったら勝敗も逆だっただろう……」
ロウ「なるほど、なるほど……」
勝負を焦りすぎたことがゴートの敗因だったというわけですね……と解説を〆るロウであった。
ちなみに、エクスティンクションとは絶滅って言う意味である。エクスティンクションソング……それは正しく
滅びの歌だった。
#9
ロウ「さて、では次の死合へ行ってみましょう!」
気を取り直して次の勝負へ……
次なる死合は猫耳メイドのイチイバル VS マシンメイデンのP01Re天
ロウ「これは何というか……」
何とコメントすればいいのか迷うロウ。
ベル「(このゲームの中において)メイドを甘く見てはいけない……奴らはゴミを掃除することや、ナニカを料理
することにかけてはプロだ!」
一同「……」
もはやそれはメイドじゃなくて殺し屋や始末屋、掃除屋なのではないのか?
ロウ「では、イチイバルの方が優勢だとベル・ゲルミルさんはお考えで?」
ベル「いや、アンドロイドの方も戦闘に特化した人型ロボットだからな……」
つまり、どっちが勝つかはわからない……
櫟木樂(「日本メイド協会に身を置くものとして、この死合は負けられない……」
芥(アリア「スマホで操作できるアンドロイドを世に広めるために、この死合は負けられない……」
かくて、それぞれの思いを胸に、死合は始まった。
イチイバルなんて名前ってことは櫟(の木を加工して作った弓か、はたまた重火器をバンバンぶっぱなすのか……
なんて思う人もチラホラいたが、そんなことはなく、仕込み箒で近接格闘。
それは天四斗工業3-Jの面々にしてみれば、現実世界となんら変わりない光景だった。
P01Re天の方も七つくらいあるトンでも兵装でも使うのかな?なんて思いきや、そんなことはない。
では、剣を使ったり攻防一体の盾兵装から槍を投げたり、相手のENをドレインする兵装でも持っているのかと思
いきやそんなこともない。
※いや、武器として剣を装備していたら使うでしょ!
END
前の話へ 戻る 次の話へ