Eighter -Practical Era-
52nder 〜我が名は後発医薬 B〜
#3
ある日、天四斗(工業に成小路財閥の典医を務めるDr.ストーンこと石垣禅空(がやってきた。
彼は自分が作っていた新薬が完成したのだという。
石垣禅空(「なお、私が作っていた新薬ですが、実は私の師匠に当たる人物が基礎理論をまとめ上げたものでして…
…」
彼の名は湖沼継道(、周りからはDr.ペッパーのニックネームで呼ばれておりましたと続ける。
一同(いや、同名の飲み物が既にあるんですけど……)
しかも『ペッパー』って『こしょう』違いじゃねぇか!
禅空(「まずはこちらをご覧ください。守秘義務により詳細は明かせませんがウチの病院の患者のデータです」
そういって取り出したる資料は、何故か本名とスリーサイズがバッチリと記載されていた患者のデータだった。
顔写真も乗っているがそこは犯罪者の如く目の部分が真っ黒に塗りつぶされていた。
一同「マテコラ!医者の守秘義務どこいったッ!」
禅空(「ですから、顔が分からない様になっているでしょ?」
ダメだ、この医者、早く何とかしないと……
禅空(「実は彼女は大きな声では言えないのですが、どうも未だ世間には知られていない未知の新型インフルエンザ
に罹っていたらしく、日々発熱と寒気に苦しんでいたのです」
一同「んなッ!?」
インフルエンザにはいくつか種類があるが、その中でもまだ人がそれに罹ったら爆発的な被害を生むであろうと
予測されている種は多々あるらしい。
禅空(「ですが、私が開発した薬を投与した結果、新型インフルエンザから解放され、おまけにバストアップに成功
し、更にウェストにくびれが出来たのです!」
一同「何で!?」
病気が治るのは百歩譲ってわかるとしても、どうして美容にも効果があるのか……
成小路金厭(「いや、俺にはわかるぜ……病気に苦しみ、痩せ細っていた彼女は真っ先に胸が萎んでいたんだよ」
そして、回復したことで胸にも脂肪が戻ったということだ!とドヤ顔で説明する成金。
女子からの白い目も平気、へっちゃらだ。
楠木南「じゃ、ウェストはどう説明すんの?」
金厭(「え?!」
南「その理論でいうとウェストも痩せ細っていたのが回復したら、元に戻ったってことにならないとおかしい」
金厭(「そ、それはアレだ……」
何も思いつかなくて冷や汗がダラダラ出てきた成金だが、ふとあることを閃く
金厭(「あっ、そうだ!そうだよ!尻も萎んでいたのが復活して、それで相対的にウェストが細くみえたってワケだ
よ!」
どうよ!俺って頭いい!って言い出す成金だが、どう考えても頭悪い。
#4
禅空(「話が脱線してしまったので戻してもいいですかな?」
品辛斬子(、風見原莉暗(「だが、断る!」
一同「をい!そこの二人!」
とりあえず天四斗(のDr.キリコとGTRのタッグは無視して話を戻すDr.ストーン
禅空(「そして、彼女の病気を治した薬というのがこちらの画期的な新薬!」
て〜〜ってれ〜って、てててれ〜と謎の効果音と共に緑色のタブレット錠を取り出すDr.ストーン
※ちなみに、これ、ドラ〇もんじゃなくて、キテレ〇大百科の効果音である。
禅空(「これこそ、これこそッ」
ググっとタブレット錠を握りしめて突如叫びだすDr.ストーン。
いや、それ薬砕けないか?
禅空(「勇気を治癒能力に変換して病気を治す新世代の薬。その名も、ジェネシック医薬品!」
一同「……」
え?!なんだって!?もう一回言ってくれませんかね?という感じでぽかんとする一行。
南「ええと、ジェネリック医薬品……?」
禅空(「違う!ジェネシック医薬品だ!」
やっぱり聞き間違えじゃなかった!と、一行は聞き間違えであってほしかった面持ちで項垂れる。
禅空(「勇気のない人間が使えばただのビタミン剤程度の効力しか発揮できないが、勇気ある者がこの薬を使えば…
…あるいは不老不死も夢ではないかもしれない!」
一同「ちょっと待て!」
それなんてGス〇ーン?
金厭(「つまり、勇気が彼女の病気を治し、ついでに胸とくびれを増大させたってことか!?」
禅空(「ああ、そういうことだ!」
斬子(「ふむ、なるほど……新薬を試して病気を治そうというのは勇気がいること……」
莉暗(「加えてその新薬が謎と未知に満ち満ちれいれば必要な勇気も並大抵のことではないだろう……」
その勇気が、彼女から病気を消し去った!
一同「……」
いや、なんかこういい話に見えるけど、謎のアヤシイお薬でよくわからないけど病気が治ったとかそんな話であ
る。
素直に喜んでもいい話ではない!
南「ってか、その新薬、副作用とかないんですか?」
南が素朴な疑問を投げかける。
禅空(「……そういえば、そこは調べてないな……」
一同「おい!」
やっぱりその薬、使っちゃダメなんじゃ!?
*「話は聞かせてもらったぞ!」
一同「なっ誰だ?!」
と、そこへ一人の女性が現れる。
南「なっ、あなたは!?」
彼女は触覚のような二本のアフォ毛を持ち、『はたらかない』と書かれた無駄にインパクトばかりあるアイマス
クで眼を完全に塞いでいた。
そして、南は彼女の事を知っていた。
……そう、かつて壬屈縛紀(がタイムマシンを開発した折にそれを回収に来た天蓋(の徒(の一員だ。
#5
ここで君たちに最新情報をお伝えしよう。
何故、天蓋(の徒(が再び動き出したのか……それは言わずともわかるかもしれないが、Dr.ストーンが開発した謎
の新薬、ジェネシック医薬品を回収するためである。
ジェネシック医薬品もまたタイムマシンと同じくこの世界にあってはならぬ代物。故に回収に来たのだ。
※いや、タイムマシン以上にこの世にあってはならない危険物質なのでは?!
天蓋(の徒(「さぁ、ジェネシック医薬品と、それにかかわる全てを渡してもらおうか!」
禅空(「……断ると言ったら、どうする気だ?」
天蓋(の徒(「うむ、そうだなぁ……力尽くになるが構わないか?」
一同「……」
人間が、天蓋(の徒(にかなうはずがない(一部例外があります)
だから、ここは素直に全てを明け渡すのが得策だ。しかし、Dr.ストーンは愚者であった。
禅空(「勇気ある誓いと共にィ!」
ゴクンッ
自らジェネシック医薬品を取り込むDr.ストーン
これが勝利の鍵だぁ!
※だから、なんでガ〇ガイガーの次回予告風なんだよ!
禅空(「この漲(る力……これが、勇気!……この力があれば!」
天蓋(の徒(「違うッ!それは勇気ではないッ!そんなものはただの無謀だッ!」
一同「……」
だが、結果は言わずとも知れた。勇気と無謀をはき違えたバカに勝利などない。
こうして、ジェネシック医薬品は天蓋(の徒(によりその全てを回収されたのであった。
END
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