Eighter -Practical Era-
47ther 〜戦うだけが人生だ C〜



#5
 サザンオルステラからやって来たイルルとライラ……彼女らの目的は天四斗の武闘派二人、夏、南と死合う事。
 そして、今、戦いの火蓋は切って落とされる。
 さて、まずは南とイルルの死合を見てみましょう
イルル・ファルカタ「それがあなたの得物ってわけ?」
楠木南「ええ、天神明写し……今の私が使える最高の鋒よ!」
 『今の』……とはそのうちもっと別の得物を使えるようになるのだろうか?と、考える方もいるであろう。
 まぁ、事実その通りなんですが……今の段階で南はまだ正式な楠木家当主ではないからこそである。
 南が楠木家の当主となったときには別の得物が使える事だろう。
イルル「私の得物はこのツヴァイハンダー、エックス仮バー君よ!」
 ちなみに、ツヴァイハンダーとは西洋剣だが日本刀でいうところのハバキの部分が長く、その部分を持つことが
可能である。柄の部分と合わせて両手で持ち威力を上乗せさせることが可能な武器なのだ。
 そんなツヴァイハンダーを片手で振り回せるイルルの膂力たるや……
一同「え、エックス仮バー君て……」
 どんな名前だよ!と一同は心の中で突っ込む。
 では、ライラのナイフにも怪訝(おか)しな名前がついてるのか?……そこは推して知るべし!
※こんなところで『推して知るべし』なんて使われても……
南、イルル「はっ!」
 ガキンッ
 それはともかく南、イルルの両雄は一足飛びにかかり、互いの得物を交える。
南「くっ」
イルル「これは……」
 ミセスリコルデの弟子だけあってなかなかやりおる!と南。
 いや、アンタ、ミセスリコルデ本人と死合ったことないでしょ!
 一方のイルルもいつもミセスリコルデに瞬殺されているので今日みたいな互角の死合は初めてである。これは鍛
錬になる!と南との死合に有意義を感じていた。
イルル「行くわよ!」
 一旦刃を引くと距離を置くイルル。
イルル(彼女が相手なら師匠相手に試そうと思っていた必殺技が使えるかも……)
イルル「ブラッドモーニング!」
 ごわんっ
 ツヴァイハンダーを両手で構えて冗談から一気に振り下ろし、太刀風で南を吹き飛ばしにかかる
南「結蜻蛉(むすびとんぼ)!」
 ドンッ
 南も南で天神明写しを横に薙ぎ払うと同時に持ち手を柄尻までスライドさせてアウトレンジからイルルを討つ。
南、イルル(互角……)
 互角と言うか、相殺。
南「やるわね!」
イルル「そっちこそ!」
テ金括(しんかね・くくる)「ところで姉さん、解説的なことしなくていいの?」
テ金(しんかね)心「はっはっはっは、今はまだその時ではない!」
一同(いつだよ、その時って!)
 思わず突っ込みを入れる一行であった。

#6
 では、ここで、ライラと夏の死合の様子を見てみましょう。
ライラ・ケペシュ「貴方の得物……銘は?」
榎木(えのき)夏「いや、模造刀に銘なんてないんですけど」
 それとも、勝手に命名しろってことなのだろうか?
ライラ「あ、そう……私の方はミザル、アルコール……雌雄一対の片手剣よ」
一同「み、見ざる……!?(アルコール)……?!」
 先ほどのエックス仮バー君といいヘンな名前である。
心「はっはっはっは、北斗七星の六番目……って言っていいかわからないけど、ともかく、その星はミザールと言
うんだ。そして、その脇には……そう!死兆星!……その死兆星はアルコルと言うんだよ」
(くくる)「最初の解説がバトルの解説じゃないのかよ、姉さん……」
 今がその時だ!と言わんばかりに解説しだす心であった。この解説、自由過ぎる……
一同(……確実にネーミングに失敗してる……)
 明らかに伝言ゲーム的な間違いで命名してしまったネーミングである。しかも本人は間違いに気づいていない
夏「ま、まぁ、なんでもいいわ……ともかく、アナタを夏殷流刀鞘術(かいんりゅうとうしょうじゅつ)の錆にしてあげるわ!」
 叫ぶと同時に一足飛びにかかり、そのままライラめがけて斬撃を放つ夏。
 ガインッ
 ライラも両手に逆手で持った短剣をクロスさせて兇刃を受け止める。
夏「少しはできるようね」
ライラ「あなたこそ!」
 これなら遠慮なくぶちのめせるわね!と物騒なことを言い出す夏。
ライラ(彼女が相手ならば、思う存分ぶつかれます!)
 ライラもライラでイルルと同じように師匠に試せなかった技を今こそ使う時!と心躍っていた。
ライラ「ジャックスラッシュ!」
 右、右、左、左、右、左と連続して斬撃を放つライラ
夏「黎月(れいげつ)!」
 対して夏は弧を描くように一閃を放って応戦する。
 バキィ〜〜ンッ
夏「あ〜!」
 激突……と、次の瞬間、夏の模造刀の刃が真ん中から叩き折られる。
(くくる)「やっぱ模造刀で真剣にぶつかったら結果はこうなるよね……」
一同「……」
夏「高かったのに……」
 ガックリとその場に項垂れる夏。
 いや、模造刀の使用用途を間違えてるアンタが悪いでしょ。
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「ううむ、このままでは夏が負けてしまう」
風見原莉暗(りおん)「そうなると実につまらんな……」
一同「アンタらはもっと別の事を考えろよ!」
 ちなみに、余談だが、心は別の事を考えており、死合を見てませんでした。
 お前はちゃんと死合見てろ!
斬子(きりこ)「誰か模造刀じゃなく真剣もってる奴いねぇか?」
莉暗(りおん)「実は隠していたが、ヤクザの跡取りなんだって奴でも構わんぞ」
一同「いるかよ!」
 銃刀法違反!
 それにヤクザの跡取りだからって日本刀が出てくるとは限らないのでは?(拳銃が出てくるんじゃない?)
椛木(もみじ)花「Gクォーツ使う?」
夏「使わないわよ!」
 厨二病アイドルがソウ〇ジェムの形をしたマシュ〇フを手に取り夏に話しかける。
 魔法少女になれば武器も取り出し放題(どんな魔法だよ!)だが、恥ずかしくて使いたくない夏であった。

#7
櫟木樂(いちい・らく)「では、これをお使いください」
 そんな折、メイドライセンスを取得し、一人前のメイドとなった(らく)が箒を手に歩み寄る。
 その箒は一見すると竹箒に見えるのだが、何かが違う。普通、竹箒と言えば思い浮かぶのはオール竹製のものな
のだが、この竹箒は柄の部分が木になっていた。しかも、上から見ると楕円形で妙に太い。
夏「これは?」
(らく)「はい、メイドの必需品です」
 そういって、にこりと明るい笑顔で、スラっと抜刀してみせる。
一同「仕込み箒かよ!」
 そんな必需品嫌すぎる!
 ってか、笑顔で抜刀すんじゃねぇよ!怖いわ!
夏「色々と突っ込みたいことはあるけど、とりあえず借りるわね!」
 ともかく、武器は手に入った。ならばあとは死合続行あるのみだ!


END

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