Eighter -Practical Era-
45ther 〜南全星(サザンオルステラ)萬物逆旅(エクサヴォヤージュ) A〜



#0
 サザンオルステラにて国家反逆罪という八つ当たりで投獄されていた下着ドロ……奴が脱獄した目的は十数年前
にはまだパンツを履いていなかったユリアのパンツを今こそ盗むこと?!
 が、しかし、その野望はいとも簡単に崩れ去ったのだが……
 今回はそんな事件の裏話から後日談について
 ユリアは一体何をやったのか、その謎が明らかになったりならなかったりして……
※どっちだよ!

#1
 天四斗(あまよと)天四斗(あまよと)工業、3-J
 その日の教室はいつもと違っていた……
 と、言うか、先ほどサザンオルステラの監獄から脱獄して態々日本まで下着ドロを行いに来た国家反逆罪級の下
着ドロ、ロライズ・パンテノンがぐるぐる巻きにされて教室の隅に放置されているだけなのですが……
 そんなことはさておき、今、教室は別の意味でピリピリしていた
メイド「ユリア様、一体どういうことなんですか!?」
 サザンオルステラのメイドが円陣組んでユリアを取り囲んでいる。が、しかし、それはユリアを愛でるファン的
な感じではなく、尋問する感じの詰め寄りである。
ユリア・キドニー「どう……とは……?」
 すべては先ほど、ロライズが勝手に負けを認めた時の出来事。
 彼は師匠の教えによりて、『人の女には手を出してはいけない』をモットーとしている。そして……ユリアは既
に誰か人のモノであると嗅ぎ分けたのだ。(その嗅覚も無駄に凄いが……)
 そのことにメイドは騒然としてるわけである。
 いつの間に、そんな間の男性ができたのか……事によっては第二の国家反逆罪が勝手に生まれてしまう事態にな
りかねない。
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「こらこら、そんなに詰め寄っては自白(ゲロ)るものも自白(ゲロ)らないだろう」
風見原莉暗(りおん)「こういう時にはそれなりの対応というものがあるんだ」
メイド「それなりの対応?」
一同(嫌な予感しかしねぇ……)
 この二人は事態を面白おかしくすることが生き甲斐と言っても過言ではない困った大人の見本である。
斬子(きりこ)「まずは白熱電球のライトを用意するんだ」
莉暗(りおん)「そして、ラードたっぷりのカツ丼」
一同「取り調べじゃないんだから!」
 そして別にラード控えめでもいいだろうが!と盛大に突っ込む一行。
斬子(きりこ)「フム、カツ丼にはやはりイビリ小豚を使うのがいいだろうな」
一同「何ですか、そのイベリコ豚のパチモンは!?」
 魂の叫びだった
莉暗(りおん)「イビリ続けながら育てた豚……その豚肉で作ったカツ丼は尋問にはうってつけだぞ」
一同「いや、あのね……」
 なんか想像するだけでものすごく不味そうなイメージしか思い浮かばない……
斬子(きりこ)「さて、寸劇はここまでにして本題に入ろうか」
一同「アンタが言うな!」

#2
メイド「ユリア様……サザンオルステラから遠く離れた異国の地で現地妻的なモノができたとなっては皇后陛下一
同はお怒りです」
一同(現地妻的なモノって……)
※そういえば、現地妻の男性版ってどう言うんですかね?現地夫なんてのは聞かないし……誰か教えてプリーズ
メイド「誰ですか?ユリア様を誑かした恐れ知らずの大馬鹿野郎は!?」
メイド「皇后陛下に代わって私が成敗してあげます!」
ユリア「そんな人はいませんよ」
ロライズ・パンテノン「へっ、嘘をついても俺の嗅覚は誤魔化せねぇぞ!」
 簀巻きに去れたなんとも情けない恰好で格好いいことを言い出すロライズ。だから、その嗅覚なんなの?
メイド「ここに証人もいます!」
メイド「さぁ、ユリア様、観念しておっしゃってください。ユリア様にお手つきしたブタ野郎の事を!」
 犯罪者が一気に証人になっとるし……
ユリア「ですから……」
 と、ここでふと、言葉を区切るユリア
ユリア「恋人はいませんが、妹なら……」
 そういえば、ユリアが何故日本に留学してきた目的のひとつ……それは『妹がいる』から探すと言う事だった。
 あえて言おう。ここでいう『いる』というのは『存在する』という意味ではなく『必要である』という意味であ
る。
 その後、ユリアは建築科の一生徒、囁口聶(じょうこう・ささや)(童顔で中性的な顔である、だが男だ!)を見初めて、彼にロザリオ
を渡して半ば強制的に(スール)にしたのだ。
 と、いうことはユリアと親密な仲(ユリアからの一方通行だが……)にある人物は一人しかいない。
 彼女(いや、彼だが……)に向けるユリアの感情が恋なのかどうかは分からない……だが、そのことをロライズ
はユリアが既にひとのモノであると嗅ぎ取ったというわけだ。
ロライズ「な、何だと!?まさか、相手が女だとは!?」
一同(いや、漢だけどな……)
ユリア「ああ、そうですね。これを機にサザンオルステラへ招待するのもありですね」
メイド一同「ユリア様ぁ〜〜」
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「面白そうじゃないか、その話、乗った!」
一同「乗るなぁあ!」
 魂の叫び虚しく、ユリア、斬子(きりこ)莉暗(りおん)の三人はすっかり意気投合し、既にサザンオルステラで何をするかで頭が
いっぱいであった。
斬子(きりこ)「何を言うか、いいか、我々は国家反逆罪のヤツを捕まえたんだぞ」
楠木南「いや、自滅したところをみんなで抑え込んだだけだけどね……」
 呆気なく語られる捕縛の真相。
 まぁ、そういうものだと思うけど……
莉暗(りおん)「だったら、お礼としてサザンオルステラに招待されても不思議ではない」
一同「その思考回路が不思議すぎるわ!」
メイド「確かに、ここで言い争っていても埒があきませんね……」
メイド「全てはわが国にて……」
一同「マテマテマテ!」
斬子(きりこ)「何、ちょっとした修学旅行だと思えばいい」
一同「思えません!」
 と、いうわけで、突如としてサザンオルステラへ出向くことになった一行。
 当然、唐突にサザンオルステラへ出頭を命じられて(ささや)はびっくり仰天である。
斬子(きりこ)「ほら、よく言うだろう。『だから好〜〜きだと言って、嫌〜〜いだと言って、どぉ〜〜っちやねんって突ぅ
〜〜っ込んで〜〜♪』ってな」
一同「言うか!」
 と、言うか、それ歌詞違う……


続

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