Eighter -Practical Era-
44ther 〜南全星(サザンオルステラ)国家反逆(テラリベリオン) A〜



#0
 サザンオルステラ……それは南を崇拝する謎の国家。
 果たして、事件はそこで起こったか!?
※いや、『か』はいらねぇよ!

#1
 サザンオルステラ、ツナミ留置所
 ここはサザンオルステラ最大の留置所にて難攻不落の要塞。
 数多の囚人が口をそろえて『一つ言えることは二度とここには来るなってことだ。三度の飯には事欠かないが、
四方を檻に囲まれて五分と経たず見張りが来る。ろくでもないとこきちまった』と呟くことであまりにも有名だ
※マテコラ!どこの第七監獄だよ!
 そんなアルカトラズにもにた留置所……その最下層には国家反逆罪で逮捕されたとある漢が投獄されているとい
う。
 さて、そんなツナミ留置所を統べる看守長は、驚くなかれ、一見ひ弱に見える女性なのである。
 彼女の名はウィンクル・ヘルナーガ。ヘルナーガをもじって皆からはウィンクル獄長と呼ばれ慣れ親しまれてい
る女傑だ。
※ヘル = 獄、ナーガ ≒ 長って……ウィンクル獄長って……
*「ウィンクル獄長……どうにも厄介なことが起きちまったぜ……」
 看守長室に入るなり、苦虫を噛み潰したような面持ちで呟くこの漢はツナミ留置所十戒という凄腕の看守十人衆
が一人、バックギャモン・アインス
ウィンクル・ヘルナーガ「厄介?」
バックギャモン・アインス「脱獄だ……」
*「愚かな……この留置所から脱獄しようなどと……」
ウィンクル「だが、ただの脱獄ならば、そこまで厄介なことではないのだろう?」
バックギャモン「ああ、そうだ……」
 ツナミ留置所から脱獄しようと考える愚かな囚人は少なくはない。だが、ツナミ留置所十戒をはじめとする優秀
な看守のおかげで留置所設立から今まで誰一人として脱獄を成功させたヤツはいない。
バックギャモン「脱獄したのは、最下層のアイツだ!」
ウィンクル「なっ!?」
*「え?最下層って……国家反逆罪で投獄されたという……?」
ウィンクル「なるほど、事態は一刻を争うというわけだな」
 するとウィンクル獄長はすぐさまデスクの一番上の引き出しを開ける。
 そこには黄色と黒の虎枠で囲まれた核マークが描かれたスイッチが納められていた。
ウィンクル「超級警戒態勢発動!」
 ガンッ
 拳を叩き付けると。ウゥウウウ〜〜〜とけたたましいサイレンが鳴り響く。
 ……と、いうかアラームのスイッチが何故核ミサイル発射ボタンみたいな感じになってるんだよ……

*「バックギャモン様……」
バックギャモン「ああ?何だ?」
*「……その、国家反逆罪で投獄されているそいつは……どんな奴なんでしょうか?」
バックギャモン「それはな……」
 と、その時、一人の看守が駆けつけてくる
*「バックギャモン様、第三区画でヤツを発見しました!」
バックギャモン「何ぃ!?分かったすぐ向かう」
*「あ、バックギャモン様……」
 結局国家反逆罪で投獄されたという漢がどんな奴なのか聞けず仕舞いになってしまった

#2
 ツナミ留置所、第三区画
バックギャモン「そこまでだ!」
*「……」
バックギャモン「残念だったな、貴様の逃避行もそこまでだ!ロライズ!ロライズ・パンテノン」
ロライズ・パンテノン「いや、俺の逃避行はまだここからだ!」
 いままで応援ありがとうございました!的な打ち切りエンドじゃないんだから!
バックギャモン「ハッ!とっとと最下層へ戻りやがれ!」
ロライズ「そいつはできない相談だな」
バックギャモン「巫山戯やがって!」
 ググググっと拳を血がにじむ位に握りしめ、ロライズを睨み付けるバックギャモン。
ロライズ「自由とは与えられるものではない、勝ち取るものだ!」
 そう叫びロライズもファイティングポーズをとる。
バックギャモン「フッ、いい度胸じゃねぇか……貴様如きに後れを取る俺だと思うなッ」
 叫ぶと同時に一気に間合いを詰め渾身の右ストレートを叩き込む。
ロライズ「ゲハァアアアッ!?」
 回避も間に合わず、ロライズは派手に吹き飛び、壁に激突する。
バックギャモン「脱獄などという愚かな考えは捨てろ!」
 そして、おとなしく最下層へ戻るんだな!と続けるバックギャモン
ロライズ「なぜ脱獄するのか……そこに牢屋があるからよ!」
※どこぞの登山家じゃねぇんだから!
バックギャモン「ほぉう、今のを受けて立ち上がるとは、少しは根性があるみたいじゃねぇか」
ロライズ「……」
 だが、しかし、かろうじて立てはしたものの、足腰はフラフラ、最早バックギャモンを振り切って脱獄すること
は不可能である。
ロライズ(……と、思うだろう……だが、まだだ!まだ、最後のチャンスが残っている!)
 脱獄のチャンスは一度……これを逃せば次はない。
 ふらふらしながら、それでもまだ脱獄を諦めないロライズ。
バックギャモン(フン、まだ諦めていないようだな……だが、貴様の野望もここまでだ)
 ずごごごごご……
 先ほどとはくらべものにならないオーラがバックギャモンの拳に集う。
 最早、それは脱獄を止めるというか脱獄されるくらいならぶっ殺す!ってな感じである。
バックギャモン「くたばれッ!」
※いや、くたばらせちゃダメでしょ!
 ズオォンッ
ロライズ「がふぁあああっ!?」
 アッパー炸裂。が、しかし、ロライズはニヤリと笑みを浮かべる
ロライズ「さ〜〜ら〜〜ばだぁ〜〜〜」
バックギャモン「はっ!?しぃまったぁ〜〜〜!?」
 大きな弧を描いて塀の外へ吹っ飛ぶロライズ。
 そして、塀の外へ吹っ飛ぶということは、奇しくも脱獄成功してしまうということだ。
 そう、ロライズはこの瞬間を待っていたのだ!
 ……こうして、多大な犠牲と共に、ロライズは脱獄を成功させたのであった。
 これ、成功って言っていいのかな?


続

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