Eighter -Practical Era-
43rder 〜魔法少女達の怪異( A〜
#0
アイドル……それは少女達のフロンティア。歌って、踊って、声優もやってバラエティー番組にも出る。
忙しいことこの上ない職業である。
※いや、そうかもしれないけれど、それ、なんか違うから……
そして、これは一人のアイドルの愛と勇気と……野望(の物語。
※最後、『希望』じゃねぇのかよ!
#1
東京都、日本武道館
*「みんな、今日もありがとう、それじゃ、行っくよ〜」
左手でスリーピースを作り額に翳し、マイクを右手に笑顔を振りまく彼女は正統派アイドルとして名を馳せる少
女、羊ヶ礼(直子である。
今日も今日とてコンサートは大盛況のまま幕を閉じる。
その後、控室に戻ると彼女は壁に掛けてあったポスターを盛大に引きちぎる
羊ヶ礼(直子「幕辺(ぼとる、私はアナタを許さない!」
そう、そのポスターは厨二病アイドルとして名高い幕辺(ぼとるのものだった。
だが、しかし、一体二人の間に何があったというのか……
と、そんな時、控室に一人の漢がやってくる。
*「……」
壁に掛けられたポスターの残骸を見るとすぐさま剥がし、床に捨てられた部分もかき集めては、くしゃくしゃに
丸めてゴミ箱にポイポイのポイっと投げ捨てる。
※どっかのコレクターかよ!
*「……ええと、お疲れ様」
直子「うん……」
彼は直子のマネージャー、羊ヶ礼(九朗。苗字からわかるように直子の弟だ。
羊ヶ礼(九朗「……」
直子「……」
会話が続かない……とても気まずい雰囲気……だが、いつもはこうではない。寧ろ二人は将来が心配なほど仲が
いいのだ。
今日、二人の間が微妙な空気なのはまぎれもなくあのポスターのせいである。
九朗「あ、そ、そうだ、ナオ姉……見てくれよ、ついに完成したんだ!」
この空気を打破するべく、彼は懐からペンダントの様なものを取り出して見せる。
直子「クロちゃん、それってもしかして……」
その瞬間、直子の顔がぱあっと明るくなる。
九朗「うん、ゴルディアスクォーツに対抗できる唯一のアイテム……その名もユリアスジェムだよ!」
直子「やったわ、これで……これで、あの厨二病アイドルに一泡吹かせられるわ!」
ありがとう!とぎゅむむっと九朗に抱き着く直子。姉に抱きしめられて幸せいっぱい夢いっぱい、思わず頬が緩
んでしまう九朗であった。
直子「見てなさい、私はこれを使ってあなたを倒して見せる!」
と、言うか、本当に何をしたんだ?幕辺(ぼとるは……
ともかく、直子は弟からもらったペンダントの様なものをつけて、出陣するのであった。
#2
天四斗(、天四斗(工業
楯木(盾「見ろよ、グラウンドにアイドルの羊ヶ礼(直子が……」
一同「嘘ぉ!」
一斉に窓から外を見る一行。確かに、グラウンドには正統派アイドルとして最近売れに売れまくっている羊ヶ礼(
直子がいた。
しかも、私服ではない。彼女がコンサートでいつも着ている制服を煌びやかにしたようなデザインのドレスを身
につけているのだ。それは彼女の勝負服。
楸木(秋「もしかして、ゲリラライブって奴?」
盾「マジか!?」
騒然とする一行。そんな中、グラウンドの直子はマイクを片手に叫ぶ
直子「幕辺(ぼとる!貴方がそこにいるのは分かっているわ!」
一同「え?」
突如として厨二病アイドルの名が告げられ、唖然とする一行。
椛木(花「な、何のことでしょうか?私、そんなあれはいいものだ〜的な名前ではありませんよ?」
既に幕辺(ぼとるだとバレているのだが、学校の中ではあくまで椛木(花を貫き通したい彼女はしらばっくれる。
直子「五月蠅いわね!とっとと降りてきて私と勝負なさい!」
こ、これは、まさか、二人のアイドルがファンを争奪する戦いを繰り広げる……そんな展開なのか!?
直子「貴方に負けたまま引き下がるような私ではないのよ!」
花「……フッ、残念ながらあなたのことは忘却の彼方に消えてしまったわ」
額に左手添えるような決めポーズをとり、無駄に格好良くしゃべってみる。
直子「むっき〜〜〜」
そんな厨二病アイドルの言葉に地団駄を踏む直子であった。
花「……ってか、マジで身に覚えがないんですけど……」
厨二病的な発言も忘れて呟く花。
乃壷蔵院(「ちょっとお待ちを……」
一同「アンタどっから湧いて出た!?」
突如出現するこの漢は言うまでもなく厨二病アイドル、幕辺(ぼとるのマネージャーである。
蔵院(「私はいつでも彼女のそばにある……って今はそんな場合ではないでしょうに」
と、懐から一冊の手帳を取り出し、ペラペラと中身をめくっていく。
実はこいつ、ストーキングしてんじゃないか……と嫌な汗が止まらない一行。
まぁ、それはともかくとして、ふと何気なく彼の手帳を見てみると『私が黒川です』ってなセリフと共に謎の漢
の写真が漆黒のハードカバーに貼ってあった
一同「『くろかわ』の手帳ってそういうんじゃないから!」
一同、魂の叫びだった。
蔵院(「まさか、あいつは……間違いないッ!」
手帳のとあるページを開いたかと思うと突如叫ぶ蔵院(
蔵院(「間違いない、かつて暗黒の智慧虚Show(で覇権を争った強敵」
花「な、なんですって!?」
なんなんだよ!その暗黒の智慧虚Show(って!一行、再び、盛大に突っ込むのであった。
果たして、一体それは……!?
続
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