Eighter -Practical Era-
41ster 〜文化祭のその後は B〜



#3
 機械科三年のクラスで緊迫する空気の中、姉(萌え)と妹(萌え)の譲れない激突が……
※って違うから!全然違うから!
金谷橋麻美「とりあえず、立って!」
楯木(てすりぎ)盾「ハッ、ハイ!」
 逆らうことなどできないので、とにかく、姉の命令には従う盾。
 私以外の姉に(うつつ)を抜かしていた件については後でまた追求するにして、今はこのクソ妹をどうにかするのが先決
よ!と麻美。
 その言い分に何がクソ妹よ!このボケ姉がぁ!と優香も売り言葉に買い言葉。
杭木亢(くいぎ・こう)「今日こそ貴様とケリをつけて姉がいいなどとぬかすその根性叩き直してやるぜ!」
盾「ハッ、そっちこそ妹がいいなど戯言を抜かすそのドタマ、かち割ってやるわ!」
 譲れないものがあるからこそ、二人は睨みを利かす。
 それはさながらサンダーボルト宙域にて殺し合うが運命(さだめ)の殤〇患、蔑〇骸の如きである
※いや、そのサンダーボルトは違うサンダーボルトだからね!
 なお、そんな二組を見て、機械科三年の連中は邪魔だからどっか別の場所でやってくれないかなぁ……と思いつ
つもそんなことが言える雰囲気ではないため、押し黙っている。
 ちなみに、機械科の生徒は今、姉喫茶の後始末の真っ最中、主に教室の掃除です。
鋩金芒(ほこかね・すすき)「ってかアンタら掃除の邪魔なんで出て行ってくれる」
 痺れを切らして剣道部の部長でもある(すすき)が口を出す
盾、(こう)「五月蠅い!黙れ!揉みしだくぞ!」
(すすき)「ちょっ……」
 顔じゃなくて胸だけを見てそんなことを叫ばれ、流石に一歩後退って両手で自分自身を抱きしめる感じで怯える
(すすき)であった。
盾「……フッ、どうだ?ここは紳士的な勝負で決着をつけるというのは?」
(こう)「面白い、いいだろう……」
 ニヤリと悪い笑みを浮かべ、二人はもう一度(すすき)の方を見る
盾、(こう)「題して、どっちがよりイイ嬌声をあげさせることができるか、くすぐり対決!」
 わきわきといやらしい手つきで(すすき)に迫る二人
(すすき)「ちょ、それセクハラ!あんたら、ぶっ殺すわよ!」
 とかいいつつも少しずつ後ろに下がる(すすき)。どうしてこうも私はセクハラに逢いやすい体質なのよ!と叫びたくも
なる。
 だが、ジリジリと距離を詰められ、後がない……
(すすき)「ってか、そういうのは彼女にやりなさいよ!」
盾、(こう)「はっ!?」
 彼女を(ないがし)ろにするなど恋人としてはあってはならない事態。
 そんな当たり前のことに気づかされた二人はそのまま自分の恋人の方へ歩み寄る。
麻美、金谷橋優香「……」
 えっちなのはいけないと思います!と思いつつもそれで憎き相手を打ち負かすことができるのならば望むところ
だ!と姉妹も覚悟を決める。
盾、(こう)「どっちがよりイイ嬌声を上げさせることができるか、くすぐり対決……行くぞッ!」
 あまりにも馬鹿らしいが、譲れない想いをのせた戦いが今、始まる……
 こしょこしょこしょこしょ
麻美「やァン♪」
優香「んっ、んぅ……」
 見ている方が恥ずかしくなりそうな戦いである……

#4
 姉萌えの馬鹿と妹萌えの馬鹿がアホらしい死合を繰り広げている中、機械科二年の教室でも緊迫した空気が流れ
ていた。
テ金(しんかね)心「どうして来てくれなかったんだ?……ずっと、ずっと待っていたのに」
 いまだメイド服で『弟専用売約済み』ってなネームプレートを付けた心が弟に迫る。
テ金括(しんかね・くくる)「そ、それは……」
 恥ずかしいからに決まってるじゃねぇか!と心の中で突っ込む弟。
 まぁ、そりゃそうだよね……
心「折角イケないサービスをいろいろ考えていたのに……」
 いや、(むし)ろ、十中.//hack(じゅっちゅうはっく)そのせいじゃないですかね?
 親しき仲にも礼儀あり……と、いうか、姉弟でそんなことをするのはいけないと思います。
(くくる)(こ、困った……)
 今までの経験上、こうなってしまうともう止められない……というのは分かっていた。姉弟だもの。
 かくなるうえは姉の欲望、もとい願望を叶えてあげるしかない。
(くくる)「ね、姉さん……」
 いや、待て、本当にそうか?本当に、それが正しい選択なのか?
 言いかけて考え直す。その間にも心は、ん?と首をかしげてじっと待っている。
(くくる)「と、とりあえず、場所を変えよう!」
 これ以上クラスの連中に変な噂を流されても困る。とにかく、クラスメイトの目から一旦は逃れたい……そんな
一心からの言葉。
心「よし、では、来るんだ!」
 (くくる)の腕を掴み、心はそのまま生徒会室に向かう。あそこは我が居城。邪魔が入る心配もないという寸法だ。

 そして、生徒会室にて……誰もいないなってことを確認したのち二人で入り、中から鍵をかける心。準備は万端
だ!
※何の?と聞いてはいけない。
心「よし、ここなら誰も邪魔をするものはいないぞ」
 うきうきしながら艶めかしい表情を見せる心。それは弟に見せていい姉の顔ではない気がする……
(くくる)「ね、姉さん……いや、姉ちゃん!」
 心の右手を両手でぎゅっと握る(くくる)。それだけで、はふんっ……と身をよじらせて頬を(あから)める心。
(くくる)「今から二人だけで文化祭を楽しもう……」
心「うん♪」
 満面の笑みだった。
 いつも私のことは『姉さん』と呼んでくれと頼んでくる心だが、そこにはもうひとつ、裏の願いが隠されていた
のだ。
 それは『姉ちゃん』とは軽々しく呼ばないでくれ……という事だ……
 それは姉弟だけのささやかな約束事。『姉ちゃん』という呼び方には特別な思い入れがある。
 だからこそ、今、その呼び方を使うことが正解だ!なお、『姉ちゃん』呼びがクソ恥ずかしいから場所を変えた
というのも理由の一つである。

#5
心「こちらが本日のメニューになります」
 そわそわしつつ、自分がいつも執務を行っていた机の引き出しからメニューを取り出し(くくる)に見せる心。
 そこには姉ハグとか恋人つなぎとか一杯のジュースとストロー二本差して二人で飲むとかいろいろなメニューが
かかれていた。
 それは姉喫茶でも実際に採用していたメニューであったが、心が取り出したメニューには続きがあった。
 それはもう、何というか、姉弟でヤってはいけないアレやコレ……
 ってか、いつの間にこんなものを用意していたのか……
 もしや最初からいい雰囲気になったら生徒会室にふけこんで二人きりを満喫するつもりだったのではないか……
そう思ってしまうほどであえう。
(くくる)「……ええと、それじゃあ……」
 何を指定してくれるのだろうか……とドキドキが止まらない心。

 と、まぁ、そんなこんなで文化祭の夜は更けていく……
 ちなみに、(くくる)が姉の心に対してどこまでやらかしたのかは……不明である。


END

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