Eighter -Practical Era-
40ther 〜文化祭のその中で D〜



#7
 天四斗(あまよと)工業の三年に一度の文化祭で起こった盗難事件。
 果たして誰が何の目的で盗みを行ったのか?
生徒「あ、いたいた、生徒会長」
テ金(しんかね)心「こらこら、そこは『お姉さん』って呼んでくれないとダメだぞ?」
生徒「……」
 面倒くさいな、この生徒会長……と思いつつも呼ばないことには話が進まないのも事実なのでしぶしぶお姉さん
と呼ぶ生徒。
 彼は電気科の生徒で、なぜここに来たのかというと……
一同「はぁ、カバンが盗まれたぁ?」
 ここにきて第三の事件勃発である。
 自分の衣装や小道具を入れていたカバンを抱えそろそろ出番なので仮装して準部でもするか……と、その前にト
イレにでも行って来よう……
 と、そんな感じでトイレから戻ってみるとカバンが盗まれていたのだという。
嚥口(えんく)燕「まさかとは思いますが、盗まれたカバンはスポーツバッグだったりしないです?」
生徒「なぜ、そのことを?」
 びっくり仰天する電気科の生徒
心「どうやら犯人はそのスポーツバッグにご執心のようだな」
 だが、一体何故?
 なお、盗まれたカバンについてだが、学校指定のモノではなく、たまたま同じデザインのドラム型のカバンだっ
たということが聞き込みの結果分かった。

品辛斬子(ぴんから・きりこ)「ふむ、ではここはオトリ捜査というのはどうだろうか?」
風見原莉暗(りおん)「ああ、犯人が盗むカバンが既にどんなデザインなのかわかっているからできる手段だな」
樫木(かしぎ)堅「そうか!カバンの中に隠れて犯人が盗んだ隙にズバっとカバンから飛び出して犯人をトッ捕まえるって寸
法だな」
一同「人が入れる大きさじゃねぇよ!」
 まだいたのか……と思いつつも盛大に突っ込みを入れる一行であった。
 とはいえ、犯人が同じカバンばかりを狙うことしか現状分かっていないことからも、オトリ捜査位しか有効な手
段はなさそうなのでさっそく同じデザインのスポーツバッグを買ってきてオトリ捜査を行うことになるのだった。

斬子(きりこ)「う〜〜む、カバンを買ってきたはいいが……」
莉暗(りおん)「流石に空では盗まれないだろうな……」
 確かに、空っぽのカバンではオトリ捜査にはなりえない……
燕「任せるですよ、ずっと前に持ち物検査で没収した携帯ゲーム機を詰め込んでおくですよ!」
 と、言うわけで没収した携帯ゲーム機を数点カバンに詰め込み犯人がやってくるのを待つ

#8
 一方、そのころ、屋上では……
*「くっそ、ハズレじゃねえかよ!」
 スポーツバッグをひっくり返し、でも、お目当てのブツがなかったことに地団太を踏む事件の犯人。
 一体彼は何が目的なのか……
*「ってかなんだってよりにもよって同じカバン持ってる奴が三人もいるんだよ!」
 カバンに向かって八つ当たり
*「はぁ、仕方ねぇ……もう一度……」
 そして、犯人は屋上から校舎の中へと戻り……
*(あ、あれは……)
 先ほどのオトリ捜査のカバンを発見する。
*(あのカバンがお目当てのブツか……いや、しかし……)
 ここまで三回も連続してハズレを引けば流石に慎重にもなる。

心「しかし、けしからんな、学校にこんなものを持ち込んでいるとは……」
燕「ええ、全くです」
 勉学とは全く関係のないものを持ち込むだなんて……
*(……)
 そんな心と燕の会話を遠巻きに聞いていた犯人はあのカバンこそが目当てのブツだ!と確信した。
 あとはどうやって隙をついてカバンを奪い去るか……だ……
※なお、このとき、既に心、燕、斬子(きりこ)莉暗(りおん)、堅以外の生徒はクラスの出し物のために教室へ戻っていた。また、
 堅は役に立たないのでちょっとぐるぐる巻きにして適当な教室に監禁。哀れ……
燕「あ、私ちょっと用が……」
 女子トイレの前に差し掛かったそのとき、燕が動く
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「うむ、連れションだな、付き合おう」
燕「あのねぇ……」
 下品なこと言わないでちょうだい!と風紀委員長、顔を真っ赤にして怒る。
 ともかく、カバンをトイレの前において女子生徒二人と女子教師二人はトイレに入る
*(チャンスは今しかないッ!)
 ダッシュで女子トイレの前まで向かうとカバンを奪ってすぐさま離脱する。
 トイレの中では、かかった!と四人がぐっと拳を握りしめる。
心「どうやら屋上へ向かった様子」
燕「追うです!」
 と、言うわけで四人も屋上へと足を運ぶ。

*「ってゲームじゃねえかよ!どういうことだよ!」
 ガッシャアンッ
 屋上では四回目のハズレに思わず携帯ゲーム機を地面に叩きつけてぶっ壊す犯人の姿があった。
*「しかも、電話にも全然出てくれないし、まさか取引中止とかじゃないだろうな?」
 携帯で連絡を取っても電源が入っていないか〜のメッセージばっかでイライラが募る。
斬子(きりこ)「何の取引なんだ?」
*「そりゃもう、エロ本……ってうぇええ!?」
 そして、背後に教師二人がいることに気づけなくてびっくり仰天の犯人だった。
燕「エロ本だなんて、なんてふしだらな……」
莉暗(りおん)「お前なぁ、他人様のゲーム機を叩き壊すなんていかんぞ」
 いや、怒るのはそこではない……
*「ってか、なんでここが?!」
心「はっはっはっは、さっきのはオトリ捜査だったというわけだ!」
*「ぐはぁ……」

#9
燕「さて、どういうことか説明するです!」
*「クッ……わ、わかった……」
 とつとつと語る犯人。
 さる人物と今日、このスポーツバッグいっぱいのエロ本を取引する約束があったのだ……と。こちらからの取引
材料はとある女子生徒の着替え中の盗撮写真だという。
燕「んなっ、なんて破廉恥なッ!」
 だが、しかし、取引相手は現れなかった……というかなんというか……
燕「では、その取引相手は誰です?」
*「クッ、そればっかりは口が裂けでも言えないッ!」
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「分かった、じゃ口を裂いてやるから話してもらおうか」
 チキチキっとカッターナイフを手にそんなことを言い出す教師二人
*「何それ、怖すぎるわッ!」
 流石に物理的に口が裂けるのは嫌すぎるので観念して取引相手のことを語る犯人。そして、盗撮写真も当然なが
ら没収。
 こうして、この事件は幕を閉じることとなったのだった。


END

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