Eighter -Practical Era-
40ther 〜文化祭のその中で C〜



#5
 暇つぶしの時間も終了。一行は直ちに自分たちの教室へ戻ることに……果たして、一行はライブに間に合うのだ
ろうか?
テ金(しんかね)心「う〜〜ん、困ったなぁ……」
 一行が3-Jに戻ろうとした際、廊下で首をかしげている生徒会長、もとい、みんなの姉を見かける。
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「どうしたんだ?」
風見原莉暗(りおん)「生徒が困っているとき、助けるのが教師の役目」
一同(……)
 普段絶対そういう事言わないのに、と心の中で突っ込む一行。
 きっと何か面白そうな出来事が起きそうだからという不謹慎な好奇心からの発言であることは見抜かれている
心「うむ、実は弟が全然姉喫茶に来ないんだ……イケないサービスをたっぷりしてあげようと思っているのに」
 はぁ……とため息を一つ。
 そんなどうしようもないみんなの姉に、一行はあぁ、そうですか……と呆れるばかりである。
一同(イケないサービスしようなんて思っているからダメなんでは……)
一同「では、俺たちは急ぎますんで」
心「と、まぁ、冗談はここまでにして本題に入ろう」
 なんでそんな嘘ついたの?と一行が心の中で突っ込む中、みんなの姉は告げる
心「実は盗難事件が発生しているんだ」
一同「な、なんだってぇ!?」
 まさかそんな事件が起こっているだなんて……と唖然とする一行
心「最初の事件は第一会議室で起こったんだ」
 第一会議室……そこは文化祭の実行委員会が本部として使っていた教室である。
 そんな第一会議室で実行委員が全員出払っているときに事件は起こった。
 文化祭実行委員の一人がもっていたカバンが忽然と姿を消したのだという。
心「まぁ、確かに会議室に鍵はかかってはいなかった……」
斬子(きりこ)「だが、それはまさか誰かがカバンを盗むとは思っていなかったためだろうな」
莉暗(りおん)「そんな隙をついて人の物を盗むなどとなんて卑劣な犯人だ!」
 早速第二会議室にて風紀委員を筆頭に捜査本部を設立、事件を追うことになったのだが……
一同「まさか、そこで第二の事件が?」
心「いや、警察を呼んで大々的に捜査を行うべきだという主張とそんな大事にせずに我々だけでどうにか捜査を行
うべきだという主張がぶつかりあい、捜査どころではなくなってしまったんだ」
一同「そ、それは、また……」
心「だから私はこう言ってやったのさ、事件は会議室で起きているんじゃない、現場で……あ、ごめん、会議室で
起きていたわ……と」
一同「待って!」
 確かに、会議室で事件起こっていたけど……会議室が現場だったけれど……『事件は会議室で起きているんじゃ
ない、現場で起きているんだ』ってそういうことじゃないから……

#6
心「と、言うわけで私は今一人で捜査を行っているのさ」
一同「は、はぁ……」
*「あ、いたいた、お姉様」
 と、そこへ一人の生徒がやってくる。
一同「お姉様!?」
 普通は『生徒会長』って呼ばれたみんなの姉が『違うだろ、そこはお姉さんだろ?』とかそんなやりとりがある
ことが多いのに、今回は最初から姉呼ばわり。しかも様付きだ。
心「彼女は風紀委員長の嚥口(えんく)燕」
 あぁ、そういえばいたなぁ、建築科に心をお姉様と呼び慕う女子生徒がいるって……って思い出す一行。
嚥口(えんく)燕「お姉様、是非私も捜査に加えてください」
心「うむ、別に構わんぞ」
燕「流石はお姉様!」
心「はっはっはっはっは!」
 扇子で口を隠しながら盛大に笑う心。
 って、今そんなことやっている場合ではないのでは?
※なお、他の文化祭実行委員や風紀委員は未だに第二会議室で論争を繰り広げています。もしかして事件が解決す
 るまでずっとそうているつもりなのでは?
燕「はっ、そんな場合じゃなかったです。お姉様、大変です!お姉様のクラスの姉喫茶でも盗難事件が発生してし
まったです」
心「何だと?」
 自分のクラスでも事件が起こるなんて一大事と心
燕「クラスの姉店員全員の心を奪う究極の弟が現れたですよ」
一同「……」
 ああ、そうですか、盗難ってそういう意味ですか……としらける一行
燕「と、小粋な姉ジョークはさておいてですね……」
一同「アンタもか!」
 思わず突っ込みを入れる一行であった。
燕「姉店員の一人がもっていたカバンが、彼女がちょっと目を離したすきに盗まれたです」
心「ふぅむ、カバン、ねぇ……」
 最初の盗難事件もカバン、次の盗難事件もまたカバン……これは同一犯の可能性が高い。
 だが、何が目的なのか?
樫木(かしぎ)堅「ふっ、読めたぞ!この事件……」
 と、そんな折、天四斗(あまよと)の逆コナンで有名なバカが声を上げる
堅「きっとそのカバンはララァ〇スン専用MAだったに違いない!」
一同「そこは普通にエルメスでいいんだよッ!」
 一同の盛大な突っ込みが入る。
 と、言うかブランドもののカバンが盗まれたんだとかいえばいいんじゃないか!なぜエルメスに限定するんだよ
燕「いえ、ごく普通のスポーツバッグだったですよ?」
堅「クッ、もはや迷宮入りだな、この事件」
 ガックリと肩を落とす堅。
一同「迷宮入りになんの早すぎんだろうがッ!もうちょっと推理とかしろよボケナス!」
 お前、事件解く気ないな?と一行が思った瞬間だった。
堅「カバンなんて最初からなかった、盗まれたと思ったのは勘違いだったということは?」
一同「そんな勘違い二度も起こるかいッ!」
斬子(きりこ)「まぁ、アレだ、この馬鹿は放置して我々だけででも事件の解明に努めようではないか」
莉暗(りおん)「ああ、こんな面白いイベントを見逃す我々ではないからな」
一同(……)
 盗難事件をイベントって……
 呆れて物も言えない一行だが、果たしてこの事件、誰が何の目的で起こしているというのか?!


続

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