Eighter -Practical Era-
39ther 〜文化祭のその前に B〜



#3
 文化祭の出し物はどうなるのか……斬子(きりこ)莉暗(りおん)ペアの誘導で怪訝しな方向にもっていかれそうだが……
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「じゃ、次はレクリエーション」
風見原莉暗(りおん)「流石にこんな漠然とした出し物はダメだな……もっと詳細を詰めよう」
一同「……」
 珍しくまともな意見である。明日は雨でも降るのではないか……?
斬子(きりこ)「ここは情報科の底力を見せつけてやろうではないか」
莉暗(りおん)「そう、金とって売れるようなゲームを作って売るという目標で」
一同「なぜそこでゲーム?」
斬子(きりこ)「折角だから、十八禁美少女ゲームを全年齢対象版の二本立てで……」
一同「なぜギャルゲ?」
 しかも律儀に全年齢対象版も作るのかよ……
楯木(てすりぎ)盾「ならば姉モノ!」
杭木亢(くいぎ・こう)「妹モノ!」
榛木(はしばみ)秦「メイドモノ!」
 すかさず意見殺到(ってか三人だけなのに、殺到ってなんかおかしくない?)
斬子(きりこ)「いや、ここは成金がアンドラの魔女を攻略して結ばれるストーリーにしよう」
成小路金厭(かねあき)「色んな意味で嫌すぎるわッ!」
 声が張り裂けん限り叫ぶ成金。
 でも、アンドラの魔女の方は全面協力してくれそう……
莉暗(りおん)「選択肢を一つでも間違えるとヤンデレと化したアンドラの魔女に監禁されて腹上死というバッドエンドだな
……」
金厭(かねあき)「やめて!マジで現実的にそうなりそうだから!」
 (むし)ろバッドエンドしかなさそう……
 と、言うか、未来予想図……一行は心の中で思うのだった……
楸木(ひさぎ)秋「というか、今から企画から何から始めてしかも全年齢対象版といちはち禁版の二つを作るのはどう考えて
も無理ゲー」
 ゲーム制作だけにね。
斬子(きりこ)「ううむ、そうか……アンドラの魔女の方は濡れ場なら任せてほしいと言っていたからイベントCGは実写で何
とかなると思ったんだが……」
金厭(かねあき)「や〜〜め〜〜て〜〜、犯される〜〜!」
 割とどうでもいい貞操の危機(酷いで、ド酷いで……)
莉暗(りおん)「と、言うことは、この企画は、残念!」
一同(どこぞの何かといちゃもんつけて失格にさせるゲーム企画かよ!)
斬子(きりこ)「続いてマジックショーだが……」
 と、そのとき、堅が叫ぶ
樫木(かしぎ)堅「任せろ、俺はこう見えてフーディニの再来の再来……になれたらいいなと趣味で手品をやっているんだ」
一同「再来の再来ってなんだよ!」
 もっともな突っ込み出会った。
斬子(きりこ)「さて、マジックショーだが……」
一同(さっきの発言なかったことにした!)
 生徒の発言を無視して自分の意見を進める教師
斬子(きりこ)「巨大な紙にペン一本で芸術を完成させるというのはなかなか面白いイベントになるな」
一同「マジックってそういう意味じゃねえよ!」
 それはマジックショーではなく、マジック(ペンで行う)ショーである。
斬子(きりこ)「じゃ、人体切断マジック」
一同「なんでそれ?」
斬子(きりこ)「ウチのクラスには楠木がいるじゃないか」
楠木南「はぇ?」
 唐突に指名されてぽかんとする南
白拍子かんな「……戻し斬りはマジックに含まれません」
一同「……」
 種も仕掛けもない、物理的な人体切断。
 (むし)ろ殺人にしかならない……
 ってか、今のはかんなだからこそわかるレベル。
莉暗(りおん)「じゃ、この案もなしだな……」

#4
一同「……」
 もしや、斬子(きりこ)莉暗(りおん)ペアの誘導で何か一つの案に向けて他の案を強制的に排除しにかかっているのではなかろう
か……
 そんな気がしてならない一行
莉暗(りおん)「じゃ、次は演劇だが……これまた漠然とし過ぎだ……と、言うわけでどんな劇をやるのか具体的に……」
盾「姉モノ!」
(こう)「妹モノ!」
秦「メイドモノ!」
一同「またかよ……」
 ブれないなぁ、この三人……まぁ、それでこそこの三人なわけだが……
斬子(きりこ)「やはり、ここは成金とアンドラの魔女を主人公にして、とある夏の一日を繰り返す、『打ち上げ花火、TVで
見るか?生で見るか?』というのはどうだろう?」
金厭(かねあき)「やめて!」
 さっきのゲーム制作と全く同じ展開じゃないか……
莉暗(りおん)「セリフをちょっとでも間違えるとヤンデレ化したアンドラの魔女に監禁されて地獄の特訓だな」
金厭(かねあき)「嫌だぁ!」
一同「ってか、なぜそこでヤンデレ化する必要があるんだよ!」
 もっともな突っ込みだった
 ってか、ちょっとでも間違えたら地獄の特訓ってシビアすぎるだろ
斬子(きりこ)「じゃ、どんなのにするんだ?お前らが意見を出さないからこういうことになるんだぞ」
一同「……うっ」
 思わず納得しそうになる一行だったが、次の瞬間、はっと思い出してこう叫ぶ
一同「いやいやいや、有無を言わさずこれにしようってアンタらが言い出してるじゃねぇか!」
 惑わされてはいけない!
 そもそも、最初に馬鹿三人が姉モノ、妹モノ、メイドモノって意見だしてるし……
※ただその意見採用されてもアレだけど……

一同「……」

 ただ、しかしそれでも意見が出ないのは事実

斬子(きりこ)「誰も具体的な意見を出さないのであれば演劇もなしになるが、それでいいのか?」
一同「ええと……」
莉暗(りおん)「ぶっつけ本番のアドリブ演劇でもいいぞ」」
一同「それはそれでヤだ!」
 (むし)ろそっちのがイヤ……
莉暗(りおん)「……よし、と、いうわけで消去法でライブに決まったわけだが」
一同「最初からそのつもりかッ!」
 さぁ、何のことだか……とすっとぼける二人。更に明後日の方向を向きながら、なぜかニュルンベルクのマイス
タージンガーを口笛で吹きだす。

#5
斬子(きりこ)「折角だから幕辺(まくべ)ぼとるらしさを前面に出そう」
一同「どうやって?」
莉暗(りおん)「うむ、実家が豆腐屋だから椅子を豆腐で作る!」
一同「無茶苦茶じゃねぇか!」
 (むし)ろ豆腐への冒涜……
 そもそもそんな椅子に座ることなんてできないだろうが!
斬子(きりこ)「世の中には投げつけて攻撃する用の豆腐を作り出す妖怪だっているんだから、座るようの椅子を作る豆腐屋
がいてもおかしくないだろ?」
一同「おかしすぎるわ!」
 なんだよ!投げつけて攻撃する用の豆腐って、と一同が盛大に突っ込むも動じない教師二人。
斬子(きりこ)「よし、反対意見もないことだしこれで決定だな」
一同「……」
 確かに反対意見はないけれども……
 と、言うわけで文化祭の出し物は幕辺(まくべ)ぼとるのライブに決まったのであった。


END

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