Eighter -Practical Era-
36ther 〜十九と対立する宴 C〜



#5
 体育祭本番!しかし、斬子(きりこ)莉暗(りおん)ペアの暗躍により既にハチャメチャな運動会の様相となってしまっている。
 こんなんで収集つくというのか?
 ちなみに、ケイドロはかんなの運をもってすれば逃げ回ることは容易く。3-Jは誰一人として捕まることなく種
目を終えることができたのだった。
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「次はいよいよ応援合戦だ!」
風見原莉暗(りおん)「『合戦』の名に恥じぬ健闘ぶりを期待するぞ」
一同「いや、だから、本当の戦にはなりませんからね!」

椛木(もみじ)花「みんな〜、準備はいい?」
一同「いぇ〜〜〜〜!」
 生徒、父兄以外にも幕辺(まくべ)ぼとるのファンが殺到し、ペンライトで盛大に応援を行う。
 って、これ、こっちが応援する側だよね?逆に応援されていいのか?
花「バニッシュメント〜?」
一同「ディス・ワールドッ!!」
 まぁ、ともかく斬子(きりこ)の思わく通り、厨二病アイドルを前面に出した3-Jは盛大な盛り上がりを見せた。(他の団
の応援が霞んで見える……)
*「と、言うか、流石に現職アイドルを出すのは卑怯なんじゃね?」
 情報科クラス以外が団結してブーイング。当然の結果である……が、しかし……
花「イークイップッ!」
 カカァッ
 そこは魔法少女へと変身し、文句があるならかかってきなさい!シュヴァルツ・ネロ・ノワールとヘイの力で相
手になるわよ!と宣言する
一同「うっく……」
 流石に、文句を言えるものは誰一人としていなかった……(と、言うか魔法少女に立ち向かえるような一般人は
いない……)
斬子(きりこ)「うむ、応援合戦はブッチギリで3-Jが優勢だな」
莉暗(りおん)「この調子で午後のアートパネルも優勝できれば……」
斬子(きりこ)「ああ、勝利は確定だな……」
 ニヤリと悪い笑みを浮かべる邪悪な二人。
 ってか、そこまでして勝ちたいのか……って思ってしまうのだが……
 なお、花のマネージャーたる乃壷蔵院(のつぼ・くらいん)は一人、立派なアイドルになって……と感無量な感じで(むせ)び泣いていた。
そこ、感動するところなのだろうか……?

 と、そんなこんなで体育祭、午前の部終了。
 現段階ではトップは金属科で得点は320点、続くは電気科300点、機械科280点、建築科270点……そして情報科は
240点と結構な後れを取ってしまっている。
 ただし、この得点には応援合戦の得点は含まれていない。
 アートパネルもそうだが、すべての種目が終わったのち、応援合戦やアートパネルの得点も発表され、総合的な
評価となるのだ。

#6
 さて、昼食も終わり、体育祭は午後の部へ突入。
 午後の部の最初の目玉は何と言ってもアートパネルである。
*「今回は特別審査員として天四斗(あまよと)地区の風紀委員長、御手洗華摘(みたらい・かつみ)に来てもらっている」
 教師の一人がそんなことを言うと紹介された華摘(かつみ)が一歩前に出て挨拶
御手洗華摘(みたらい・かつみ)天四斗(あまよと)地区の風紀は私にお任せを!」
一同(なんで天四斗(あまよと)地区の風紀委員長として有名なあの人がここに?)
 一行の疑問はもっともだが、とりあえず、各団のアートパネルを評価していくことになる。
 まずは、機械科
華摘(かつみ)「ほう……これは……」
 それは、ジャンヌダルクで有名なフランスの絵画、民衆を導く自由の女神をモチーフにしたものだった。
 無論、ジャンヌダルク役はみんなの姉、テ金(しんかね)心。
 ただし、そんな彼女は丸みを帯びたEを90°回転させたようなティアラのようなものをつけた……ぶっちゃける
とジャンヌダルクはジャンヌダルクでもF〇teシリーズに出てくるジャンヌダルクだった。
テ金(しんかね)心「はっはっはっは、最初はヴィーナス誕生にしようかと思っていたのだが、姉が弟以外に裸を晒すわけにも
いかないのでジャンヌダルクに変更したんだ」
一同「何だと!?この野郎、やっぱり家では爛れた生活をしているってことか」
テ金括(しんかね・くくる)「いや、違うから!」
 生徒会長の爆弾発言にみなの殺意がギラリと光る。

 続いて建築科のアートパネル。
華摘(かつみ)「これは、未完成の美……サグラダファミリアか……」
 もはや絵というか、写真に近いものがある建築科のアートパネル。流石と言ったところである。
 皆の度肝を抜くアートパネルの出来に思わず建築科の生徒一行は『勝ったな……』と思ったという。
華摘(かつみ)「ふむ……」
 その後、華摘(かつみ)は電気科、金属科のアートパネルも評価していく。
※評価とかは割愛です。デスデスデース!
 そして、いよいよ情報科のアートパネルのお披露目の時である。
華摘(かつみ)「む、これは!」
 斬子(きりこ)莉暗(りおん)ペアの暗躍により『東京オリンピック2020』がテーマとなったのだが、しかし、描かれているのは
真っ黒に塗りつぶされた東京都やその周辺ってな日本地図をバックに剣道と柔道とクレー射撃の三人の選手が迫りく
るドラゴンと対峙するというものだった。
一同「……」
 マジであれにしたのかよ……とまぁ、知ってはいても、改めて見るとすごく場違いだなと思う情報科の一行。
 それを見た華摘(かつみ)は開いた口が塞がらない……ということではなさそうだった。
華摘(かつみ)(これは……なるほど、そういう……)
 果たして、評価の程は……!?

 その後、午後の部は滞りなく進み、そして、すべての種目が終わった。

 この時点での得点は以下の通りである。
 金属科が450点、電気科が420点、機械科が380点、建築科が320点、そして、情報科は300点。
 応援合戦の結果は言うまでもなく情報科が100点、建築科が50点、機械科は30点、電気科、金属科は同点だが10
点。
 小計は……
 金属科:460点、電気科:430点、機械科:410点、建築科:370点、情報科:400点
華摘(かつみ)「では、これよりアートパネルの得点を発表します」
 建築科・機械科:80点、電気科:50点、金属科:30点と発表される。
 これで総合得点は金属科:490点、電気科:480点、機械科:490点、建築科:450点。いずれも接戦である。
華摘(かつみ)「そして、情報科のアートパネルは……100点!」
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「当然の結果だな!」
 と、いうことは、400点に100点が加算される……つまり、総合得点は500点!ここにきて逆転優勝である!
華摘(かつみ)「……と、言いたいところだが、残念ながら失格、0点だ」
一同「な、なんだってぇ?!」
 これには愕然とする情報科一同
斬子(きりこ)「な、なぜ失格なんだ?」
華摘(かつみ)「あのアートパネルが真実情報科の手による作品であれば、100点、いや120点をつけたところだろう……だが
しかし、そうではあるまい?」
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「どきりっ!」
 まさか、華摘(かつみ)がサザンオルテスラの宮廷画家のタッチを知っているとは……
 ガックリとその場に項垂れる斬子(きりこ)莉暗(りおん)ペアであった。

#7
斬子(きりこ)「はぁ……まさかあんなことで野望が打ち砕かれるとは……」
莉暗(りおん)「迂闊でしたね……」
 まさかの失格で情報科はダントツのビリッケツ……
 もし、アートパネルの失格がなければ逆転優勝だったというのに……どうしてこうなった……(いや、ズルした
のが悪いんですけど……)
※ちなみに、金属科と機械科が同点で490点だったので優勝者はシンプルにじゃんけんできめることとなった。
 そして、みんなの姉、心が見事にじゃんけんで勝利し、体育祭の優勝は機械科となったのだった。
斬子(きりこ)莉暗(りおん)「ユリア、国に帰る用事があったら宮廷画家に今度はもっとウチの生徒が仕上げたような作風にするよ
うに注文しとけ」
一同「マテコラ!」
 何無茶苦茶な注文してんだよ!と一同盛大に突っ込むのであった
※ってか、最上級クラスなんだからこのメンバーで次なんてないよ……留年しない限り


END

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