Eighter -Practical Era-
35ther 〜十九と対立する祭 C〜



#5
 体育祭のアートパネルにはサザンオルステラの宮廷画家を呼ぶことで万事解決したかに思えたが、そんなことは
なかった。
 と、言うか、まぁ、どんなテーマで何を描くのかがさっぱり決まってないわけで……
品辛斬子(ぴんから・きりこ)「よし、折角だから宮廷画家がやってくるまでに暇つぶしとしてどんなアートパネルにするかを決めてお
くか」
一同「暇つぶしって言った!?」
風見原莉暗(りおん)「なるほど、暇つぶしにはもってこいだな」
一同「アンタも……」
斬子(きりこ)「見事面白い回答をしたものには特別に単位を増やしてやるぞ」
一同「うぉおおお!!」
斬子(きりこ)「……センチからインチに」
一同「単位を増やすってそういう意味じゃねぇよ!」
 ぬか喜びに万歳といった感じであった。
 そもそも何のセンチをインチに増やすというのか……
※最終的に増やす増やす詐欺でインチどころかインチキってオチだったりして……
莉暗(りおん)「まぁ、しかし、何もないままただ意見を発するのも苦難だろう……ここはひとつテーマを決めてそれに沿っ
た回答をしてもらうというのはどうだ?」
斬子(きりこ)「流石、私もそれを思っていたところだ……」
 珍しくまともなことを言う二人におおっと思う一行。
 が、しかし……
莉暗(りおん)斬子(きりこ)「と、言うわけでテーマは『情報社会崩壊』」
一同「そんなテーマ嫌すぎるわ!」
 一同盛大な突っ込みであった
 そもそも、体育祭のアートパネルで情報社会崩壊の絵を展示するってどんなだよ
斬子(きりこ)「はぁ、じゃ、『スポーツのここが嫌いだベストテン』でいこう」
一同「だから、体育祭否定すんじゃねぇよ!」
莉暗(りおん)「では、『東京オリンピック2020』で……」
一同「あ、それなら……」
 なかなかいい構図のアートパネルになる、と思った次の瞬間、トンでもないことを言い出す二人
斬子(きりこ)「東京都の競技場にドラゴンが突如襲来し、選手がそれと闘うってな構図だな!」
莉暗(りおん)「これは、メダルを狩る物語……すべてのメダルを狩れ!……いいキャッチコピーができたな!」
一同「ゲームとごっちゃ!」
 確かにあれは2020年だけども……と一行
斬子(きりこ)「剣道と柔道とクレー射撃の三人の選手がドラゴンに立ち向かう感じの構図がいいな」
莉暗(りおん)「うむ、早速宮廷画家に依頼しようではないか」
一同「待て待て待て、俺たちの意見を反映するんじゃなかったのかよ」
斬子(きりこ)「何をバカな……先ほど言っただろうが、暇つぶしと」
一同「アンタらの暇つぶしに付き合ってられるかぁ!」
 一同魂の叫びであった。

椛木(もみじ)花「はっ、先生、応援のダンスですけれども……オリンピック感を出すためにパラパラってどうですかね?」
 と、そんな折、厨二病アイドルが突如言い出す

斬子(きりこ)「うむ、いいなそれ」
 いや、どこにオリンピックの要素が……と一同困惑
白拍子かんな「パラリンピックってパラパラのオリンピックの略じゃないよ……」
一同「あ〜」
 すかさずかんなが助け船を出してくれたので、一行納得。

#6
斬子(きりこ)「アートパネルは宮廷画家に任せ、応援合戦は厨二病アイドルに任せる」
莉暗(りおん)「やることがなくなったな」
 本当にな……と一同
 と、言うかそんなんでいいのか……とも思う一行。
 もっと、なんかこうみんなで協力して盛り上げるのが本来の姿なのではないか……と
※まぁ、担任がアレなんで普通になることはないと半ば諦めている節もあるが……
斬子(きりこ)「よし、じゃ、『スポーツのここが嫌いだベストテン』行ってみよう」
一同「行・く・かぁ!」
斬子(きりこ)「な、なんだと!?……みんなスポーツが好きなのか?」
 愕然とする斬子(きりこ)。いや、そこ、驚くところか!?
一同「え?……いや、どちらかというと嫌いじゃないですけど……」
 でもって、好きかと言われると微妙なところ
 と、言うか、スポーツが嫌いなのは寧ろ斬子(きりこ)の方か……と一同が思う
斬子(きりこ)「いいかお前ら、スポーツとはすべからく戦争が由来だ」
一同「はぁ……」
 そ、そうなのかなぁ……と疑問を浮かべる一行
莉暗(りおん)「マラソンなんかは自軍の勝利を一早く国へ伝えるために走ったってなことで有名だな」
 確かに、マラソンの起源はそこですけど……と一行
斬子(きりこ)「剣道、柔道、空手なんてのは言うまでもないだろう」
 人を殺す術が起源である……とそういうわけだ。

斬子(きりこ)「で、やり投げはアレだな、援助交際で金払わず逃げること」
一同「そりゃ『ヤリ逃げ』!」
 ってナニ言わせるんですか!と一行猛抗議であった。
莉暗(りおん)「そして、砲丸投げは源平合戦で義経をぶん投げたことが起源と言われている」
一同「……?」
 え?なにそれ、どういうこと……と一同ぽかんとする。
かんな「……それは判官、『ほうがん』違いですね」
一同「あ〜、……って、解説なしだと分からねぇよ!」
 かんなの解説でようやく納得し、それは違ぇよ!と突っ込む一同であった。
斬子(きりこ)「ちなみに、ハードル走は……」
樫木堅「あ、分かったぜ。ジャン・ジャック・ルソーを劇画チックにしたのが由来とか言い出すんでしょ?」
 すかさずしゃしゃり出てくる堅
斬子(きりこ)「いや、とくに何も思い浮かばなかったので割愛しようと思っただけだ」
一同「うぉい!」
※ちなみに余談だが劇画チックJJルソー = ハード・ルソーってな意味である。

#7
斬子(きりこ)「つまりだ、私が何を伝えたかったのかというとだな……」
 そしてまとめに入る
斬子(きりこ)「スポーツなんてのは突き詰めれば人を殺す術をいかにして殺さないように努力するか競うものであってお前
らにはそんな人を殺すような人間にはなってほしくないと私はそう言いたいわけだ」
一同「いや、いい話だけど、何かが根本的に間違ってますからね!」
 ただスポーツやりたくない理由を作り上げているようにか見えない……と思う一行であった


END

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